21世紀ゼミナール

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 平成27年度の21世紀ゼミナールは、統一テーマを「“地方創生”新たな豊かさを求めて」に設定して展開しています。今回、第3回講義(11月4日)として、三菱UFJリサーチ&コンサルティング社の加藤義人副部長に講義をお願いしました。講師からは「人口減少下の公共経営のゆくえ」というテーマで話を頂きました。

 話の概要は次の様なものでした。

 まず、日本は現在、世界で最初の事例となる人口減少時代が到来していること。そして、世界中が日本の対応を注目していることが示されました。

 少子高齢化が我が国にもたらす大きな問題は、働き盛りの人口が減って税収不足に陥り、日本の経済成長が止まってしまうことです。それでは、この問題を打破するにはどうすれば良いのでしょうか。講師の回答は以下です。

 少子高齢化が生じても、我が国の経済成長を止めない方法は、地方創生をもってこれを打破することであると、講師は言われます。この地方創生を達成させるためには、少ない財源の中で、公共事業をいかに上手く進めるかがポイントとなります。

 公共事業を上手く進めるには、民間活力の導入に工夫をこらす必要があります。この民活を進めるための制度としては、下記の3つが挙げられるとのことです。

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 1つは、公共事業の設計、建設、資金調達、運営を「一括して民間に委ねる」ことにより、民間のノウハウを最大限活用するもので、PIFと呼ばれています。

 2つ目は、条例で設置される公の施設を対象として、管理主体を民間事業者、NPO法人等に広く開放する指定管理者制度があります。

 3つ目に、民間事業者の創意と工夫が反映されることが期待できる一体の業務を選定して、官民競争入札または民間競争入札を実施する市場化テストがあるそうです。

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 そして、我が国の公共事業において新しい民活が期待できる領域を示す概念図として左図の紹介がありました。

 バブル時代にはやった第3セクター方式は、公共事業よりも民間事業に近い領域に位置しているものでしたが、バブルがはじけると同時に民間が手を引いてしまったために、多くの事業が失敗に終わりました。一方、最近はどちらかと言うと民間事業よりも公共事業に近いところに位置する領域の事業を対象にした方が成功するのではないかと講師は言われます。

 従って、今後は今日的民活方式に期待できる領域を新たに構築すべきであり、そしてそれをPIF方式で進めるべきだと言うわけです。

 最後に、東海地区の地方創生戦略として「リニア時代の名古屋大都市圏のポテンシャルを見直す」ということでの話がありました。

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 リニア開業後の120分圏人口で推計すると、名古屋地区が全国最大の人口集積規模を示しています。このことにより、リニア開通後10年後に、下図に示します様に、愛知県のGRP(Gross Regional Product)は全国第2位に躍り出ることになり、GRPで愛知は大阪を追い抜きます。

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 そして、最後に背後圏人口の増大がもたらす新しいポテンシャルとして、この東海地区がどの様に発展して行くかということについてのコメントがありました。

 「技術力のある企業と大学が連携を結び、そしてその中でIT産業集積が大きく伸びて行くことで、大きな影響を受けるロボット産業が必ず成功する。」と結論付けられ、本日の講義は終了しました。