第五回 トランプ政権の経済政策

 三重大学人文学部が企画・運営する四日市市民大学「21世紀ゼミナール」の今年度第5回目講義が、平成30年1月17日(水)じばさん三重で開催されました。
 
 講師は三重大学人文学部准教授森原康仁氏で、テーマは「トランプ政権の経済政策~オバマ政権期に積み残された課題は~」です。

今回の講義のキーワードは、米国における所得格差の問題でした。

 1979~2007年にかけてのブッシュ減税により、総所得に占める上位1%の割合は約10%から20%以上に広がり、所得格差が顕著となりました。

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 2007~2016年のオバマ政権にとってブッシュ減税の廃止は、既定路線でしたが、下院共和党がブッシュ減税の延長を頑なに主張し、結果としてブッシュ減税の全ての項目を延長せざるを得なくなりました。そしてオバマが政権を取る直前に、リーマンショツクが起こり、オバマは市民社会とポピュリズムに立ち向かわざるを得ない状況となりました。

 ポピュリズムとは、政治に関して理性的に判断する知的な市民よりも、情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、その支持を求める手法あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動のことをいいます。すなわち、「エリート」と「大衆」を対立させる集団と位置付け、大衆の権利こそ尊重されるべきだとする政治思想をいいます。



 2017~のトランプ政権では、焦点は実体経済に移り、リーダーシップをどう発揮するかに掛かっているようです。

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 今回の講義では、米国には日本では信じられない所得格差があることを具体的に提示され、驚ろかされました。例えば、米国オラクルCEOラリーエルソンの年収70~80億円/年に対し、トヨタ自動車の豊田社長の年収は数億円/年と、10倍以上の差があるとのことです。

 また、トランプが確率論的に計算できるリスクの人間ではなく、極めて稀な出来事が起こる“不確実性の人間”であることで、全く先が読めないということを認識させられました。