歴史に学ぶ(No.3)-反トラスト運動が引き金となった1907年金融恐慌

 前回は明治以降に起こった大きな金融恐慌のうち、第1回目の1873年の金融恐慌について紹介しました。今回は第2回目の1907年の反トラスト運動をきっかけとする金融恐慌について追ってみたいと思います。

 1907年の状況は、米国ではUSスチール、ノーザンセキュリティ(鉄道会社)、アメリカンタバコ、スタンダードオイル等の大企業群によるトラストが形成されていました。トラストというのは、一社がその産業を独占的に支配することを言います。

 当然のことながら、単一の大企業の横暴に人々は不満を持ち、反トラスト運動が巻き起こります。最終的には米政府によりこれらの大企業は分割されてしまいました。例えば、スタンダードオイル社は、エクソン、シェブロン、モービルなどでこれらは現在も残っています。

 この米政府による分割を機に、トラスト企業の株価が暴落してニューヨーク証券取引所が混乱に陥り金融恐慌に発展しました。しかし、この時も幸いなことに、1908年にT型フォードが大衆車として発売され、ベルトコンベアによる流れ作業方式を適用して製造されました。ベルトコンベア方式による史上最初の自動車です。これによって、輸送革命が始まり、大量生産時代が幕開けしました。同時に金融恐慌の暗いムードも吹っ飛んでしまったという訳です。

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