世界の温暖化対応(その3)- ポスト京都議定書のゆくえ

 1997年に京都で開催された国連気候変動枠組条約締結国会議COP3では、法的拘束力を持つ「京都議定書」が定められました。これまで約15年間この「京都議定書」は世界の環境問題をリードしてきましたが、遂に2012年で期限が切れます。 2013年以降は、これを引き継ぐ「ポスト京都議定書」の枠組みが必要となるわけです。

 その検討は、すでに2006年のCOP12から開始されています。2009年にコペンハーゲンで開催されたCOP15では、ここで「ポスト京都議定書」が採択されるのでは、ということで、多くの期待が集まりました。しかし、COP15は、先進国と新興・途上国の間、先進国の間でもEU、日本、ロシア、カナダ、米国の間、新興・途上国の間でも、中国と他の国々の間で論争が起こり、三つ巴の大混乱に陥りました。そして、次の年の2010年にメキシコ・カンクン開催されたCOP16での会議では、「ポスト京都議定書」で行くのか、「京都議定書の延長」で行くのか、の選択に焦点が集まりました。

COP15会議での混乱

 「ポスト京都議定書」の枠組み構築の方は、日本とロシア、カナダが主張しています。これを押す理由は、世界の二酸化炭素(CO2)排出量のうち、京都議定書で削減を義務付けられている国が占める割合は27%、米・中の排出は2国で41%に達するため、米・中が不参加では意味がないと訴える訳です。

 一方、「京都議定書の延長」の方は、中国やインド等の新興・途上国は、経済成長のため、エネルギー消費を続けたいという思いと、温暖化を招いた先進国が義務を負うべきだ、という2つの観点を主張しています。一方、欧州連合(EU)は空白期間が生じると、これまで排出権取引でリードしてきた努力が無駄になるとりの思いから、延長容認の立場に立ちました。日本はこれに強く反対しています。当然だと思います。

メキシコ カンクン COP16会議場

 結局、会議では
(1) ポスト京都につながる原案文書
(2) ポスト京都の枠組みができなかった場合の京都議定書延長案文書
の2つを取り敢えず採択しました。日本が反対した京都議定書の延長は、ひとまず回避したものの、協議は続けられることになりました。一方で、各国はポスト京都議定書で合意を目指すわけですが、米・中などを含めた枠組みを作れるかは、依然不透明です。

 いずれにしても、今回の会議を通して、ヨーロッパ勢のあせりが見えます。英国のキャメロン首相が会議場から菅総理に直接電話して圧力をかけてくるなど、やることが見え見えではありませんか。日本側もこれらの攻勢に対し、上手く外交を行って欲しいとおもいますが、皆さんどう思われますか。

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