世界の温暖化対応(その7)-中国のスタンス

 今回は、世界の国々が参加して、地球温暖化対策の国際交渉が行われている国連気候変動枠組条約締結国会議(COP)の場での中国のスタンスについて考えてみます。中国は表1に示す様にインド、ブラジル、韓国等と共に、新興・途上国の立場を守り通しています。

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 現在中国は、GDPで日本を抜き米国に次いで世界第2位まで成長をとげました(表2)。GDP(Gross Domestic Product)は国内総生産と称し、原則として市場で取引された財やサービスの生産のみが計上されたもので、これは国の経済成長の度合を表す指標として用いられます。そのGDPで見る限り中国は経済大国にのし上がった訳です。

 さらに主要な温暖化ガスである二酸化炭素(CO2)でみますと、近年の全世界の排出量(2008年)は、290億トン強です。このうち、排出量が最も多いのは経済成長が著しい中国で、66億トンを排出し22%を占めています。2位は56億トンを排出した米国で19%で、日本は4%で6位です(図1)。

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 このように、経済的にも成長し世界第2位に、それ故産業が発達しCO2の排出量が世界第1位までになった中国が、COPの場でなぜ新興・途上国に入っているのかという思いです。

 これまでのCOPの交渉でポスト京都の合意が遠のいた最大の原因は、温暖化ガスの二大排出国、中国と米国の同意が得られていないことにあります。特に中国は、国内の削減目標はあるが、自主目標だとして外部による検証は拒否しています。更に中国は、これからも先進国が削減義務を負うよう要請し、「京都議定書の延長を目指すべきだ」との主張を繰り返しています。日本などが延長を受け入れるなら、自らにも緩やかな規制の網がかかる新たな枠組みを受け入れ姿勢を示し、揺さぶりをかけています。

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 この辺りの中国の行動には、新興・途上国の立場で、温暖化ガス排出削減義務のある先進国のCDMの対象になろう、そして資金や技術の提供、排出権の購入等の面で先進国による支援を受け入れよう、それによる恩恵を最大限に享受しようという思惑があるようです。CDMとは、排出削減義務のある先進国が、削減義務のない発展途上国で温暖化対策事業を行う京都議定書の仕組みの1つです。実際、図2に示す様に、国連CDM理事会による登録件数も210件に達し、全体の19.98%を占め、インドに次ぐ第2位となっています。

 中国は、経済大国としての立場と、新興・途上国としての立場を上手く使い分けているように見えます。他国が苦労している間に、実利を稼ぎ、ビジネスを進めているかのようです。

 現在、世界各国が中国でビジネスを進めようとしています。しかし、中国はまだまだ危険を感じる国に写りますが、皆さんどう思われますか。



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