東日本大震災からの教訓(その6)-注目を浴びる事業継続計画(BCP)

 東日本大震災の後、中小企業におけるBCP(事業継続計画)が注目されています。新聞等でも、「大学や商工会議所、金融機関などが連携し、中小企業のBCP策定を支援する動きが加速している」と紹介しています。

東北大震災

例えば、東日本大震災では、写真の様な大きな災害に遭った企業が続出しました。BCPとは、会社を倒産させるのではなく、事業を継続できるように、事前に人・物・金について計画しておくということの様です。

 下図はBCPを説明するのに良く使われる図です。BCPが作成されていないと廃業に追い込まれますが、BCPが存在すると、数週間後に復興を開始し、数か月後には被害を受ける前にまで復帰するというものです。

BCP導入効果

 ところで、従来から良く似たものに防災計画があります。この防災計画とBCPとの違いは一体何なのでしょうか。両者の定義を身比べてみると、BCP計画は、「人命を守る」「会社・事業を守る」点は防災計画と同じです。ただBCPが防災計画と異なる点は、「会社としての社会的責任を果たす」という企業としての責任、更には、「地域を守る」という地域の一員としての責任が追加されている点です。

 このように、中小企業にとって頼りになりそうなBCPですが、BCP策定において何にポイントを置いて作成すべきかを見てみますと、次の4つがポイントのようです。
1つ目は、人命と絡んで、避難場所、避難ルートの確保
2つ目は、人命と絡んで、緊急連絡網と連絡手段の確保
3つ目は、事業と絡んで、生命線となっている部門または工場の再興
4つ目は、事業と絡んで、人・物・金の代替戦略の立案
ということでしょうか。すなわち、まずは人の人命を助ける手立てを考え、次に会社の復興を如何に速く進めるかということを考えましょうということです。

 こんなBCPですが、意外と知られていません。こんなデータがあります。下図に示しますように、東日本大震災の時点でBCP策定済みと答えた大企業は30%となっています。更にその内の63%のみが有効であったと言われており、まだまだその普及率は小さいものです。ましてや、中小企業だけを見ると、BCP策定済みは大企業の半分の13%であり、さらにBCPを知らないと回答している割合の高いことにも驚かされます。

BCP導入状況

 通常、BCPマニュアルというと、よく大企業が作成するような文字が並んで、分厚いマニュアルを想像します。そして、それはただ在るというだけで、誰も読みません。中小企業にBCPマニュアルを普及させるためには、そういうBCPマニュアルでは駄目だと思います。もっと簡易的なもので、会社に持ち帰って活かすことができるもの、これがポイントの様です。

 東海・東南海・南海大地震が、30年以内に87%の確率で起こると言われています。中小企業にとっても、大災害発生時に早期に事業再開できる計画を立てておくことは急務です。自分自身の会社に見合ったBCPマニュアルを作成し、被害を最小限に留めるという様に、自分自身の身は自分で守る以外に道はないようです。皆さんどう思われますか。

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