日本のエネルギー問題(その1)-エネルギーバランス

 東日本大震災が起こる前の2006年に、(財)日本エネルギー経済研究所は、下図のようなわが国の長期エネルギー需給展望を発表しました。それによれば、石炭の供給は、ほぼ横這いで推移しましたが、石油は減少で推移、そして2030年の石油依存度は現在の47%から37%に低下するものの、依然として石油への依存度は高いものとなっています。また、原子力は現状14%のものが、20%まで上がることが想定されていました。

長期エネルギー需給展望

 しかし、2011年3月11日に東日本大地震が発生し、原子力発電の割合を、現状維持あるいは減少させようとの政策に変わりつつあります。具体的には、原子力の割合をこれまで14~20%と考えていたものを0~14%にまで、最大20%減少させるわけです。その分を何で補うのかが問題となります。今、再生可能エネルギーが大きく脚光を浴びていますが、水力を入れて6%、水力を入れなければ太陽光、風力、廃棄物、バイオマス等で2%に過ぎません。これをどうやって20%レベルまで増やすのかが、我々に突き付けられている課題です。

 再生可能エネルギーで置き換える話は将来的なことで、いずれこのブログでも取り上げますが、まず当面をどうするのかが気になります。

 電気事業連合会がまとめた下図の様なデータがありました。それによれば、2012年度は、原子力の代替として特に液化天然ガス(LNG)の利用が増え、発電電力量は全体の8,307億kwhの42.5%と、2年連続で過去最高だったとしていました。再生可能エネルギーは1.8%とまだまだ僅かで、一方、原子力は1.7%に抑えられています。

電源別発電電力量構成比

 要は、当面はLNGによる火力発電に頼らざるを得ないということです。しかし、円安を背景に輸入価格も上昇し、使用量と価格の双方が燃料費を押し上げています。

 今、米国ではシェールガスと呼ぶ新型資源の登場が世界に「革命」起こしています。これは大資源国としての米国の台頭を意味し、エネルギー需給だけでなく、マネーの流れや産業競争力、安全保障の構図も変える可能性があると騒がれています。

 当面のエネルギー資源を輸入に頼る日本は、この変化に向き合い、資源調達先との交渉に活かし、エネルギー安定調達を実現する必要があると思いますが、皆さんどう思われますか。

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