日本のエネルギー問題(その4)-燃える氷「メタンハイドレート」

 エネルギー資源はほとんど無いと思われていた日本にも、資源が存在することが明らかになりました。それが今、世界的に注目を集めている海底資源の1つ、「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートです。

燃える氷



 メタンハイドレートは右の写真に示す様に、水分子が籠状の構造を作り、メタンガスを閉じ込めたものです。見た目は氷状で、物性的にも氷に似ていますが、火を近付けると燃えだすので「燃える氷」と呼ばれているのです。地層中に含まれる植物や動物が分解されて発生したメタンガスが、低温・高圧の環境で水と結合してメタンハイドレートになったものと推測されています。

 メタンハイドレートから得られるメタンガスは、家庭の都市ガスや燃料電池など、さまざまなエネルギーとして利用可能であり、二酸化炭素などの排出量も少ないクリーンな資源として期待されています。いずれ石油が枯渇すれば、主力燃料に浮上する可能性もあると言われています。
実は、日本近海にはこの新エネルギー源として期待されるメタンハイドレートが豊富に眠ることが分ってきました。1万メートルの深海を掘削できる探査船「ちきゅう」などによりその実態が明らかにされたのです。そして、ここに来て採掘・利用が現実味を帯びてきました。

メタンハイドレート分布図

 メタンハイドレートは、左図に示す様に海底の地下100~300m前後の比較的浅い地層にあります。音波探査では、日本近海の6万平方km以上に分布するとみられています。正確な埋蔵量は不明ですが、日本の天然ガス消費量の100年分が存在するとの試算もあります。相当な量であると見なせるのではないでしょうか。

 先回、シェールガスが米国・カナダで開発され、日本にとっても天然ガスの調達コスト削減に繋がる可能性があるとして紹介しました。資源小国の日本にとって、メタンハイドレートが採掘できるとなれば、これからの諸外国との駆け引きを更に有利に進めることができます。国産エネルギーの確保という、エネルギー安全保障上の悲願を達成できる可能性が高まって来ました。

 採掘試験は2018年度にも終え、商業採掘への早期移行を目指すと言われています。採取方法は、井戸を掘って地下水を汲み上げて、圧力を100気圧から30気圧に一気に下げ、メタンハイドレートを染み出させる「減圧法」を使う様です。採掘コストは、1m3当り146~174円と試算され、天然ガスの最大2倍程度です。

 さて、エネルギーバランスが滅茶苦茶崩れている日本ですが、一刻も早くメタンハイドレートの実用化を願う1人です。皆さんはどう思われますか。

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