新世界秩序への誘い(その27)-日本神話にみる日本誕生

 日本の古い歴史書として、古事記(712年)や日本書紀(720年)が良く知られています。これらは共に、天武天皇の命によって編纂された書物です。古事記は、神の出現や人と神との出会いや天皇が国を治める理由や経緯が「物語り風」に書かれています。一方、日本書記は、歴代の天皇が世を統治する根拠を正式文書として、代々天皇家で伝えられてきたもので、「教科書的」なものです。古事記は、後の1798年(江戸時代)に本居宣長が「古事記伝」という解り易い本として出しました。

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 ギリシャ神話では、オリンポス12神が登場しましたが、我々の住む日本にも、神々のドラマ、いわゆる神話・伝説の世界があります。古事記でこれらを見てみましょう。

「神々の誕生」

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 日本の場合、八百万の神々が登場します。「神々の誕生」について、次の様に記されています。

 最初は、天と地は分かれておらず、混じり合っている状態が無限に広がっていました。やがて、天と地が分かれた時、天のとても高い処に高天原と呼ばれる天上界に、次々と神が立ち現れました。これらは三柱の神として特別扱いされています。最初に立ち現れた神は、天の中央にあって天地を主宰する天之御中主神(アメノミナカヌシノ神)。次に立ち現れたのは、天上界の創造神である高御産巣日神(タカミムスヒノ神)と地上界の創造神である神産巣日神(カムムスヒノ神)です。

「日本の国の誕生」

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 また、「日本の国の誕生」については、次の様に書かれています。

 最後に立ち現れた一組が、男神の伊邪那岐神(イザナキノ神)と女神の伊邪那美神(イザナミノ神)です。この2人が神聖な矛を持って、天と地を結ぶ天の浮橋(アメノウキハシ)という架け橋の上に立ち、天つ神から授けられた矛を刺し下ろして、脂の様にドロドロと漂っている地上を掻き回しました。

 矛を引き上げると、矛の先から滴るドロドロとした塩が積り、それが見る間に凝り固まって島となりました。この島が自凝島(オノゴロ島)で、この島を拠点にイザナキ、イザナミの2人は国造りを開始します。まず、淡路島、次に四国、次に隠岐島、次に九州、次に壱岐島、次に対馬、次に佐渡島、そして最後に本州、数えて八つです。このため日本の国を大八島と呼びます。


 この後もイザナミは、様々な神、八百万(ヤオヨロズ)の神々を生み始めますが、火の神を生んだ時に大火傷をし、遂に黄泉の国(ヨミノ国)へ旅たちます。イザナキノ神は、絶望的な悲しみのあまり、イザナミをこの世に連れ戻したいと考え、死者の棲む黄泉の国へ降りて行きます。死者のいる黄泉の国で、現地との間をしっかり閉ざしている御殿の石の扉のところで、イザナミに戻ろうと頼みます。イザナミも、他の神々に相談して来るけれども、絶対に私の姿を見ないで欲しいと頼みました。イザナキは、石の扉の前で待ちますが、イザナミが戻って来ないので、仕方なしにイザナキは石の扉を開け中へ足を踏み込みます。

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 途中、イザナミが横たわっているので、火を近付けてみると、何と体中に無数の蛆(ウジ)がたまり、ゴロゴロと薄気味悪い音を立てています。約束を破ったイザナキに怒ったイザナミは、イザナキを殺しに掛かります。何とか逃げはしましたが、イザナミはこれから日本の国の人々を1日に千人締め殺すと宣言します。一方、イザナキは私は1日に1,500人の子を生ませる産屋(ウブヤ)を建てると宣言します。

 その後、イザナキは次々と神を生みますが、最後に目と鼻を洗います。左の目を洗うと、まばゆい光に包まれた天照大御神(アマテラスオオミ神)が生まれます。鼻を洗うと建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)が生まれます。天照大御神は太陽の神であり女神です。天照大御神は高天原に上って昼の世界を治めます。

「三重県にまつわる神話」

 私事ですが、私の生まれは三重県四日市市です。そこで三重県に関する神話を1つ紹介します。

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 ヤマトタケルノ命(倭建命)は、十二代景行天皇の御子の1人でした。ヤマトタケルノ命は15~16歳の時に、九州のクマソを平定し、続いて出雲国を平定しました。更に、東方十二ケ国の荒ぶる神々や服従しない者どもを平定に向かいました。

 東方平定を終えて大和へ帰る途中、ヤマトタケルノ命は、伊吹山の神の祟りを被り病気がちとなります。病身を引きずりながら、三重県四日市の西方にある杖衝坂(ツエヅキサカ)から三重村に辿り着きました。歩くたびに足が痛む。この時、ヤマトタケルノ命はまた溜息をついてこう言いました。「私の足はもう三重に曲がったまがり餅の様に腫れ上がってしまい、ひどく疲れてしまった。」このくだりが三重村という地名とか三重県という県名とも関わっていると言われています。



「約束を守ることの重要性」

 最後に、日本人にとって約束を守ることがとても大切であることを紹介します。

 冒頭紹介したイザナギとイザナミの話しでは、イザナミが住む黄泉の世界で、約束を破って醜い姿を見られたイザナミが怒り、イザナキを殺しに掛かります。

 また、ヤマトタケルの命の話では、父である景行天皇を敬愛し、父に忠実であり、父に愛されたいという願いが強いあまり、父の勅命が理不尽なもので会ったにも拘わらず、東国遠征に出発しました。しかし、その帰り途に亡くなります。ヤマトタケルの命が悲劇の人と言われる所以です。父との約束は絶対に守らなければという思いが現れています。

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 「鶴の恩返し」という日本の昔話があります。約束を破って、鶴が一生懸命布を織っているのを見たため、結局、鶴は亭主の下を去ってしまいます。

 どうも、日本人にとって約束を破るということは、最も悪いことということなのかも知れません。皆さんどう思われますか。



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