コーヒーブレイク…私たちの設計図DNAを探る

画像の説明

 今回は、2008年に発刊されたNewton 「生命科学の基礎がよくわかる!」を参考にしながら、
・DNAの収納場所
・DNAの基本構造
・DNAとタンパク質の関係
・タンパク質の作られ方
について調べてみました。

 私たちの体の形や体質などを決める大きな要素は、「DNA(デキシオリボ核酸)」という細胞の中にある長い鎖状の分子です。DNAはA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)と呼ばれる4種類の化学物質が連なった分子であり、この4種類の化学物質の並び方が、体のつくり方や体内で起る反応を指示しています。この様な働きからDNAは私たちの「設計図」だと言われています。2003年、科学者たちは私たちの設計図であるヒトのDNAについて、化学物質の並び方を一通り決定したと宣言しました。

DNAの存在場所

 私たちの体は、約60兆個もの細胞からできています。この細胞が分裂して増える時、「染色体」というX形の構造が現れます。

画像の説明

画像の説明

 染色体の大きさは、約100分の1ミリメートルだから、高倍率の光学顕微鏡で観察できます。この染色体をほどいて拡大してみると、「ヒストン」というタンパク質に巻きついたひも状のDNA(デオキシリボ核酸)が見えてきます。このDNAこそが私たちの設計図です。すなわち、染色体はDNAがタンパク質に巻きついたものと言えます。

画像の説明

 DNAが持つ一通りの遺伝情報を指して「ゲノム」と言います。1つ1つの細胞の中には、このゲノムのセットが2セット分、46本の染色体に分かれておさまっています。

 DNAをさらに拡大していくと、1本の糸ではなく、2本の糸が対になってぐるぐると螺旋を形成しているのが見えてきます。この二重らせんの直径はわずか2ナノメートル(ナノは10億分の1)しかありません。

画像の説明

DNAの基本構造

画像の説明



 DNAを拡大していきますと、1本1本のひもは、糖と塩基とリン酸の結合した化学物質が、順につながった構造をしていることがわかります。DNAを構成するこの1つ1つの化学物質(基本単位)は「ヌクレオチド」と呼ばれます。





 DNAを構成する糖は「デオキシリボース」という5炭糖です。5炭糖は、5つの炭素を骨格とした糖で、5つの炭素のうちの1つにリン酸が結合しています。そして、リン酸は、次のヌクレオチドの炭素の1つに結合します。この様にして、ヌクレオチドは次々と繋がっていき、DNAの長い鎖を作って行きます。

画像の説明

 糖とリン酸が、どのヌクレオチドについても共通である一方、DNAで使われる塩基は4種類あります。アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4つです。

 これらの塩基が、もう一方のDNA鎖の塩基と結合することによって、二重らせんを形成しているのです。私たちの体の作り方や生命活動を指示する情報、すなわち設計図は、これらの4種類の塩基の並び方によって表されています。DNAでは、A、T、G、Cという“4文字”だけで伝えたい内容を表しているのです。DNAの塩基の並び方にも、意味のある並びと意味のない並びがありまして、意味のある塩基の並び方をもとに、体が作られたり、生命活動が維持されたりしています。

 また、この4種類の塩基には、塩基どうしに相性(相補性)があり、AとTが、またGとCが水素結合をしやすいのです。このため、AACTGといった順に塩基が並んだ1本鎖には、TTGACの順に塩基が並んだ1本鎖が向かい合って、二重らせんを形成しています。

画像の説明

DNAとタンパク質の関係

 DNAには、私たちが日々、生きて行く上に欠かせないあらゆるタンパク質の作り方、および作られるタイミングが書き込まれています。タンパク質には、体内でおこる様々な生命活動を進行させる役割を持ちます。例えば、細胞の成長を促したり、体温や血糖値、塩分濃度などを調節するホルモン、目、耳、鼻、舌などから得られる外界からの感覚情報を脳に伝える神経伝達物質、食べたものの消化を助ける消化酵素などがあります。

 また、体内に侵入してきた様々なウィルスや病原菌を攻撃する際、免疫細胞のB細胞によって産出、分泌される抗体もタンパク質の1種です。DNAはA、T、G、Cのわずか4文字を使って、私たちを支えている10万種におよぶ豊富なタンパク質を作っていてくれます。

 私たちは、父親から23本、母親から23本と、ちょうど両親から半分ずつの染色体を貰っています。23本のうち22本は「常染色体」と呼ばれ、大きい順に1番から22番まで番号が振られています。父親から貰った染色体であっても、母親から貰った染色体であっても、同じ番号の染色体どうしであれば、同じ位置に同じ種類の遺伝子があり、この様な染色体どうしを「相同染色体」と呼びます。

画像の説明

 ヒトのDNAは、30億もの塩基対(文字)を持ちます。このDNAの中には、あらゆる生命活動を担うタンパク質の作り方が書き込まれているのです。ところで、この30億塩基配列のすべてが、タンパク質の作り方を指定しているわけではありません。DNAの中でタンパク質の作り方を指定している領域はほんの僅かなのです。タンパク質の作り方や作るタイミングを指定するDNA領域を「遺伝子」と呼びます。遺伝子は、延々と塩基の並ぶDNA鎖の中に、まるで孤島のようにポツン、ポツンと点在しています。ヒトのDNA全体の内容の内訳を見てみると、60%以上が役割のはっきり分かっていない配列です。「スペーサー領域」と呼ばれるこの配列は、意味不明な繰り返しの配列や、機能を失った遺伝子の化石が多くを占めます。

タンパク質の作られ方

 DNAの設計図から、一体どの様にしてタンパク質は作られるのでしょうか。

 まず、DNAはRNA(リボ核酸)の形にコピーされます(転写)。RNAの基本単位もDNA同様ヌクレオチドであり、DNAとRNAは非常に良く似ています(但し、糖の種類が違います)。コピーの方法も、基本的にはDNAの複製と同じ方法です。但し、RNA鎖では、塩基「T(チミン)」の代わりに「U(ウラシル)」を使います。この様にして、細胞の核内でコピーされたRNA鎖は、「メッセンジャーRNA(mRNA)」と呼ばれています。mRNAは、タンパク質の工場「リボソーム」へと向かい、ここでmRNAには「トランスファーRNA(tRNA)」と呼ばれる別の種類のRNAが結合します。

画像の説明

 tRNAは3つのヌクレオチドと、その反対側に1個のアミノ酸を持っています。tRNAは、自分の持つ3つのヌクレオチドで、mRNA上に並ぶ塩基3つ分を認識し結合をします。mRNAの隣の塩基3つにも同じ様にtRNAが結合して行きます。この様にして、アミノ酸が順に繋がっていき(翻訳)、最終的にタンパク質ができあがるのです。「DNAからRNAを経てタンパク質へ。この流れは、すべての生物の細胞に共通のものである。」と言われています。

 医学の中でも遺伝子情報の活用は大きく進んでする様です。今回少しは遺伝子分野の基本事項が分ったような気がしますが、皆さん如何ですか。



コーディネーター's BLOG 目次