中小企業診断士の経験則(その1)…中小企業診断士としての私流専門領域

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 私の場合、1999年4月に鉱工業部門での中小企業診断士資格を取得し、企業内診断士として活動を開始しました。私は特殊鋼メーカーの研究職出身ですので、生産現場を熟知している訳ではありません。従って、工場の原価管理や生産管理と言われても、はっきり言って、この現場の改善に当ってのポイントは何かと言われても、ピンと来るものはありません。しかし、研究職出身ということで、診断の対象としている企業には、今、どの様な技術が求められているのか、また、その企業が今後、どの様な技術開発をすれば伸びて行くのかは、企業さんの保有する技術を見るだけでピンと来るものがあります。

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 後年私は、企業を定年退社して診断士として独立する時に、中小企業診断士としてOnly Oneを発揮できるところは、中小企業の現場ではなくて、中小企業と大学あるいは研究機関を結び付ける産学連携分野であると、決めていました。従って、独立すると同時に、M大学およびK信用金庫という金融機関を選択しました。


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 通常、中小企業診断士として独立して事業を始められている方々は、コンサル収入は事業所得として申告します。しかし、当面は、企業内診断士として診断士の経験を積もうと考えられている方にとっては、以下の税務処理のことをきっちりと把握しておかなければなりません。これは重要な事項です。

 中小企業診断士の資格を維持しようとすると、公的診断等への参加が義務付けられ、臨時的にコンサル収入を得ることもあります。当然、年度末に確定申告することになりますが、その際に、住民税・事業税に関する特別徴収・普通徴収の区分があり、いずれかを選択しな
ければなりません。

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 特別徴収を選択しますと、市が住民税・事業税の計算をして、勤めている会社の方へ修正通知を出すことになります。この問題は、企業内診断士である場合、企業が従業員の副業を認めておれば何等問題は発生しないのですが、原則認めていない場合には、会社の方へ予め承認を貰うなどの手続きをしておく必要があります。ややこしいことになる場合もありますので注意が必要です。

 一方、普通徴収税扱いの方を選択しますと、市が住民税・事業税の計算をして、自宅の方へ通知を出します。そして、確定申告に際しては、給与所得ではなくて、事業所得として申告すれば、勤めている会社で受取る給与所得とは切り離して取り扱うことができます。

 企業内診断士がコンサル収入を誤って給与所得として申告してしまうと、給与をA社、B社の2社から受け取っていると見做され、これは自動的に特別収入とされて、A社、B社のいずれへも通知が入りどちらの給与が主な給与であるかの選択を迫られます。

 ところで、私の場合、1999年に中小企業診断士資格を取得した後、企業内診断士からスタートしました。診断士資格を取ったその年からNEDOへの出向に決まり、国の補助金行政に1999年~2002年にどっぷりと浸かることになります。これは、私にとっては大きな収穫でした。その時に知ったことの1つに、補助金は、これに頼り過ぎると麻薬の様なものであるということでした。また、補助金が終了した時は、次の一手を予め準備しておかないと、その瞬間に折角培ってきた技術がぽしゃってしまうということを学びました。補助金は、技術開発の段階だけに抑えて、事業化の段階では、できるだけ自己資金あるいは融資でやっていかないといけないと思いました。

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 さて、産学連携分野で、私が力を発揮できるものと言えば、
1つは、企業の技術開発を含めた企業との事業計画作りとフォロー
1つは、技術開発に必要とされる補助金への申請
となります。

 1つ目の事情計画作りで、私が常に活用するテクニックは、1枚絵による企画書です。これは、高橋憲行著「企画書の作り方が手にとるようにわかる本」を参考にしていますが、これを活用してから20年以上経っています。従って、1枚絵企画書の作成枚数は、100枚以上になりました。この1枚絵のメリットは、全体像と各要素の因果関係が直ぐに理解できる点で、最初にこれを作っておけば、アドバイスの核がぶれません。

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 また、もう1つとしての核は、補助金の申請です。これを作成するための、私自身が作成したテクニックがありますので、以下に紹介します。

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 中小企業診断士として独立することを考えるのであれば、オールラウンドで対応するワンストップサービスも重要ですが、自分だけにしかできないオンリーワン領域を準備しておくことも必要です。皆さんどう思われますか。


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