学習教室講師の世界(その10)…フィボナッチ数列と黄金比の繋がり

 ダン・ブラウン著の「ダ・ビンチコード」(2004年)という本があります。これはキリスト教聖杯伝説を取り上げたものです。冒頭、ルーブル美術館長ジャック・ソニエールが殺される際に、全身を使ってダ・ビンチの最も有名な人体図を模した形で横たわり、胸には五芒星の印を刻み、フィボナッチ数列とダイイングメッセージを残しました。

 小説の中ではフィボナッチ数列はダイイングメッセージを解きほどく役割をしていると同時に、ダ・ソビンチとの関わりが強いと言う意味がありました。また、五芒星は女性の神性を示す印であり、これかダ・ビンチの描いた最後の晩餐の絵に繋がっていきます。更に、その絵からキリストの妻だと言われているマグダラのマリアに、そしてその娘サラへと展開し、このサラを守護するシオン修道会、テンプル騎士団へと繋がって行きます。

 今回は、小説で使われているフィボナッチ数列の意味について考えてみます。

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 フィボナッチ数列は、隣り合う二つの項の和が次の項の値に等しいことで有名です。しかし、それ以上に隣り合う二つの項の比がある数へ近づいて行くと言う性質も持っています。その数こそ黄金比すなわち約1.618です。

 1-1-2-3-5-8-13-21はフィボナッチ数列ですが、最後の21と13の比は1.615で、この項数を増やして行くと、この比が1.618に近づくという訳です。

 そして、驚嘆すべきは、黄金比が自然界の事物の基本的な構成に深く関わっていることです。植物や動物、そして人間についてさえも、さまざまなものの比率が不気味なほどの正確さで1.618対1に迫っています。

 「黄金比はいたるところに見られます。偶然の域を超えているのは明らかで、だから古代人はこの値が万物の創造主によって定められたにちがいないと考えました。古の科学者はこれを“神聖比率”と呼んで崇めたものです。

生物学の世界

・ 世界中のどの蜜蜂の巣を調べても、雌の数を雄の数で割ると同じ値1.618が得られます。

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・ 巻き貝の螺旋形の直径は、それより90度内側の直径の1.618倍です。

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・ ひまわりの頭花では、逆方向の螺旋がいくつも渦巻いて並んでいます。それぞれの渦巻きを、同様に90度内側と比較したときの直径の比率は1.618です。

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・ 松かさの鱗片に見られる螺旋模様もフィボナッチ数列に従っています。

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・ 植物の茎に葉が付く配列の角度はフィボナッチ数列に従います。

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・ 昆虫の体の分節もフィボナッチ数列に従います。

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・ 人体を形作るさまざまな部分の関係がつねに黄金比を示すことを実証したのがダ・ビンチです。例えば、頭のてっぺんから床までの長さを測り、つぎにそれを、へそから床までの長さで割ると、その答えは1.618となります。また、
(1) 肩から指先までの長さを測り、それを肘から指先までの長さで割っても。
(2) 腰から床までの長さを、膝から床までの長さで割っても。
(3) 手の指、足の指、背骨の区切れ目も黄金比となります。

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芸 術

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 ミケランジェロ、アルブレヒト・デューラー、ダ・ビンチなど多数の芸術家の作品の構成において、意図的かつ厳格に黄金比に従っています。






建造物

 ギリシャのパルテノン神殿、エジプトのピラミッド、ニューヨークの国連ビルも黄金比に従います。

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音 楽

 モーツアルトのソナタ、ベートーヴェンの交響曲第5番、バルトーク、ドビッシー、シューベルトの作品には、黄金比が至る所で現れてきます。

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楽 器

・ ストラディヴァリウスのバイオリンのf字孔の正確な位置決めも、黄金比と関係します。

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 フィボナッチ数列からたどり着く1.618の黄金比は、単に美術的に美しいと感じることの他に、神の摂理に近づくことに意味があるように思えますが、皆さんどう思われますか。



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