21世紀ゼミナール

画像の説明

 平成27年度の四日市市民大学が9月2日に開校しました。昭和53年に開設された四日市市民大学(一般クラス)も今年度で38年目を迎えています。三重大学は「21世紀ゼミナール」というコースを提供していますが、平成18年度から参加し今年で10年目となります。

画像の説明

 冒頭、主催者である四日市市民文化部・文化振興課の小林課長様からは、「21世紀ゼミは毎年経済をテーマに、その時々にタイムリーなテーマを取り上げてもらい、人気のある講座となっています。」という紹介がありました。

 本コースは三重大学の人文学部と四日市フロントが担当していますが、平成27年度は統一テーマ「“地方創生”新たな豊かさを求めて」のもとに計5回開催されます。

画像の説明



 人文学部の朝日教授からは、「地方創生はアベノミックスの第3の矢、成長戦略のテーマの1つであり、今後花開いて行くのか、日本の人口減少にどう立ち向かって行くのか、1つの解決策を求めるきっかけになれば良いと考えている。」との挨拶がありました。


画像の説明

 本日の講師は、東洋大学経済学部の鈴木孝弘教授です。「現代の環境と私たちの健康や生活」と題しての講義です。

 鈴木講師の話のポイントは次の3点です。
 1つ目は幸福度
 2つ目は地球環境問題と関係するエコロジカルフットプリント
 3つ目は健康寿命
についてです。

画像の説明

 まず、一つ目の幸福度についてですが、講師からの最近の研究データによれば、日本の幸福度は149ケ国中44位であること、三重県は日本47都道府県中10位前後であることが紹介されました。

 この幸福度は、健康、経済、政治・社会、生活・文化、資源・環境の5分野の38種類の指標を統計的に解析して検討するのだそうです。それによれば、三重県の特徴は、貯蓄が多いお金持ちの県だそうです。

画像の説明

 次の第2のエコロジカルフットプリントは、地球環境問題を考える上で最近注目されている指標であるとのことです。1人の人間が環境に関連して1年間に必要とする地球上の面積で表わされています。

 この中で重要なのが、カーボンフットプリントであり、我々人間が排出したCO2を吸収する森の面積で表わされます。日本はこれが65%となっています。膨大な土地を必要とします。

 日本のエコロジカルフットプリントは、2007年値が4.73と平均値3.2に比べ大きいようです。また、三重県は4.42と比較的高い値を持ちますが、これは四日市市に石油コンビナートがあり、多くのCO2を排出していることが原因しています。CO2固定のために大きな森林が必要であることを示しています。

 「いかに環境負荷を与えない生活を送るかを考える必要がある。」と講師は言われます。

画像の説明

 3つ目の健康寿命についてですが、2013年の日本の平均寿命は女性86.61歳、男性80.21歳で総合世界第1位だそうです。しかし、本当に重要なのは、傷害や介護を必要とする期間を差し引いた健康寿命のようです。

 具体的な例として、現役ドクターで毎日講演をこなしている日野原重明さん(2014年10月4日現在103歳)の実生活の紹介がありました。とにかく、1日で使い切るだけのカロリーを取る、低カロリー生活を送ることが長寿命の秘訣のようです。但し、栄養とのバランスを取ることも重要なことのようです。 

 また、先生からは下記に示します様に、長寿命に関する各種の説が紹介されました。
 ・B型血液を持つ人は、長寿命傾向の可能性が高いこと
 ・ミトコンドリアと活性酸素と寿命遺伝子の間には強い関係があること
 ・米国ボストンで発表された長寿遺伝子「サーチュイン」が注目されていること
 ・ルーマニアのアンチエイジング剤プロカインGH3が話題になっていること
等々、色々な説明がありました。

 ただ先生による結論は、「長寿命を決定する要因はまだ特定できていない。」というものでした。