21世紀ゼミナール

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 平成27年度の四日市市民大学「21世紀ゼミナール」は、『“地域創生”新たな豊かさを求めて』の統一テーマで展開しています。第2回講義は、10月7日に開催され、「地方分権から地方創生へ」と題して、㈱三重銀総研 調査部副部長 主席研究員 別府孝文氏より話題提供がありました。

 講義は、地方創生は、アベノミックスの評価の中で、「少子・高齢化と人口減少を克服し、地方創生に向けたローカルアベノミックスの実現にあると」位置付けられている、との説明から始まりました。

 それでは、地方創生はどの様な背景で出て来たのでしょうか。

 これについての講師の答えですが、

 「2010年に第1次アベノミックスは、(1) 金融政策、(2) 財政政策、(3) 成長戦略、という3本の矢で始まりました。これが進む中で、政策効果の受益格差が顕在化してきました。特に大都市と地方での格差が顕著となりました。」という様なものです。

 これを裏付けるものが、増田レポートと呼ばれる地方消滅の衝撃です。出産の中心世代である20~39歳までの女性が2010年に比べて2040年に半減する都市を消滅する可能性が高いと定義しています。

 このうち、人口が1万人を割り込む自治体を消滅の可能性が高いとしています。三重県内市町の消滅可能性都市をみると、8市町が消滅可能性のより高い市町となっています。

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 この様な状況の下、アベノミックスの第2ステージである新3本の矢が発表されました。
(1) 強い経済(GDP600兆円)、
(2) 子育て支援(出生率1.8へ)
(3) 社会保障の構築(介護離職ゼロ)
です。子育て支援は、少子・高齢、人口減少に関わる1つの支援でもあります。

 さて、この地方創生を政府はどの様に動かそうとしているのでしょうか。

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 講師によれば、「中央から分け与える分配型の地方分権ではなくて、地域自らが生み出す地方創生と捉えるべき」と主張されます。

 すなわち、地方における産業、賑わい、生活の場、雇用で、地方から中央への人口流出をそれによって抑えるのです。


 そして、具体的な施策として、すでに2014年度補正予算の中では、プレミアム付商品券の様な地域消費喚起・生活支援型の事業を進めています。

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 更に、2016年度予算では、まち・ひと・しごと創生総合戦略を推進する計画を立てています。

 具体的には、
(1)地方における安定した雇用を創出する。
(2)地方への新しい人の流れをつくる。
(3)若い世代の結婚・出産・子育ての希望を叶える。
(4)時代にあった地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する。
というものです。しかし、これをやるには、現在の予算規模では難しいのでは、というのが講師の感想でした。

 まち・ひと・しごと創生の具体的なプランが幾つか紹介されました。

(1)徳島県神山町では、カバー率98.8%のFTTH網と公設民営方式の光CATV(加入率
  88.3%)を全県域に整備し、全国屈指の高速ブロードバンド環境を実現し、過疎
  地域にサテライトオフィスを整備、ICTベンチャー系の誘致を推進しています。

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(2)岡山県真庭市では、バイオマス発電による産業創出を推進しています。

(3)兵庫県養父市では、国際戦略特区を活用し、農地規制の緩和を目指し、六次産業化、
  農商工連携の活性化を促しています。

 最後に、地方創生成功への着眼点として、
(1) 先ずは地域内の課題を徹底的に抽出し把握する。
(2) 地域内のあらゆる資源を改めて見つめ直す。
(3) 当該地域が置かれている歴史的、地理的、経済的な位置付けを把握する。
(4) 総花的ではなく特化して強みを生かす。
(5) 関係当事者のベクトルを一致させる。
べきと結論付けられました。