21世紀ゼミナール

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 今年の統一テーマは「“地方創生”新たな豊かさを求めて」です。今回の講義(12/2日)は、岡三証券㈱の保科チーフエコノミストによる“金融革命「市民ファンド」は地域を救えるか”です。

 図は「地域まちづくりにおける市民ファンドの役割と促進策の検討」ということで、名古屋市市民活動促進基本方針の中で示された図だそうです。地方創生を前提として、誰がどの様にこれを達成すべく努力するかを示したもので、非常に分かり易い図だと思います。この図によれば、地方創生を推進する機関は3つ考えられると保科講師は言われます。

 1つ目は政府・自治体で、これはまさに前回の加藤講師による話に重なります。すなわち、地方創生を有効に推進するために、地方公共団体が民活制度を上手く活用して、地方の活性化を推進するという内容でした。

 2つ目が金融機関で、預金・融資という本来の金融機関の業務の中で、地方創生への貢献があります。これは金融機関の1つの生き方です。

 3つ目が今回、保科講師が説明される市民ファンドです。図によれば、税制優遇を受けられる法人格を持った市民ファンドが、市民や地域企業から集めた寄付中心の原資をNPOに分配する仕組みと定義されます。

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 ここで重要なことは、市民や企業が、市民ファンドに対してお金を供給する「寄付」と、これらのお金を集めた市民ファンドが地方創生を行うNPO法人にお金を渡す「助成」をはっきりと区分しておいた方が良いというのが、保科講師の主張です。

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 市民ファンドの位置付けについては、講師は次の様に説明されます。

 事業や活動の特定性からみると、その資金は、市民が自ら共鳴する公益性、社会性の高い特定の事業や活動に対して、資金が活用されることを前提として供給されるとのことでした。

 また、市民の参加意思ですが、市民が本当にわずかなお金を活動に提供するわけですから、そこには、お金を提供する市民が自らの選択と責任のもとで、資金が投資される公益的・社会的事業に参加・協力という包括的な意思を持つことが重要と講師。

 また、市民が資金を提供する見返りに少なくとも社会的リターン(公益の実現など)を得ようとするものや、その他に、経済的リターン(利息や配当)を得ようとするものがあります。

 最近、図の市民による出資の形態としてクラウドファンディングと呼ばれるものが脚光を浴びているとのことです。事業のアイデアをウェッブサイトに投稿し、資金の出し手を募る手法です。米国ではデジタル機器で成功する企業が生まれるなど、イノベーションを促す仕組みとしても注目度を高めています。

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 日本でも、ベンチャー企業が自社製品の提供を見返りにしたり、ファンドを組んだりして資金を調達する動きが広がっています。この手法で地方を活性化することも可能でしょうということで、本日の講義を締め括られました。