第1回 マイナス金利政策の衝撃

 平成28年度の四日市市民大学「21世紀ゼミナール」が、じばさん三重4階研修室にて始まりました。9/7日、10/5日、11/2日、12/7日、1/18日の全部で5回の講義から成り立っています。今年の応募は、定員60名のところ76名と好評でした。嬉しい限りです。

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 初めに、主催者である四日市市市民文化部の松浦文化振興課長より挨拶がありました。「今年で市民大学は39年目を迎えること、三重大学人文学部が企画する21世紀ゼミナールは11年目を迎えたことが紹介されました。21世紀ゼミナールでは、その間ずっと経済金融問題を取り上げて来ました。」

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 今年第1回目の講義は、岡三証券㈱の杉山賢也グローバル金融調査部長に「マイナス金利政策の衝撃」というテーマでお話し頂きました。



 まず、下図は「マイナス金利導入を受けた市場の反応①」というスライドです。

 異次元緩和と言われるマイナス金利政策で、日本の経済がどう変わるのか、今最もホットなテーマです。まず、講師の見立てですが、「2016年1月にマイナス金利政策が発表されますが、図に示す様に必ずしも上手く行っているとは思えない。むしろ、悪い方へ振れているというのが、金融業界での全体的感触です」とのことでした。その上で、金融政策の全体的な立ち位置について色々と話がありました。

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 下図は、「日米欧の中央銀行の金融政策スタンス」というスライドです。

 米国、欧州、日本では、政治が相場を動かす要因になっており、世界は過去数十年続いた経済中心の時代から、政治中心の時代にシフトしています。金融市場は、年後半から翌年にかけても、国内外の政治情勢に大きな影響を受ける公算が高いとの判断でした。

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 下図は日銀の「非伝統的金融政策は第5段階へ」というスライドです。

 以前は日銀の金融政策は、公定歩合をコントロールするのが常套手段でした。しかし、最近は、非伝統的金融政策ということで、速水日銀総裁(1992.2~2000.8)が「ゼロ金利政策」を、福井日銀総裁(2001.3~2006.3)が「量的緩和政策」を、白川日銀総裁(2010.10~2013.4)が「包括的緩和政策」を、そして、黒田日銀総裁(2013.4~)が異次元政策ということで、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」進めていることが大きな特長となっています。黒田総裁による異次元緩和第2弾までは、円安株高の流れとなりましたが、マイナス金利以降は円高株安になっています。現在行われている日銀の総括論証も難航しているという状況にあるようです。

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 また、下図は「欧州は政治の季節へ突入」というスライドです。

 英国のEU離脱(Brexit)は、リーマン・ショック以降の低成長時代を、大胆な金融緩和とヒト・モノ・カネが行き交うグローバル化の推進によって乗り切ってきた先進国の政策が岐路に立たされたことを意味します。「英国のEU離脱決定を受けて、欧州では反EUの機運が高まっています。今秋から翌年までに、主要国では国政選挙が相次ぎ、EUの求心力が試されています。」と講師は述べておられます。

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 最後は、「米時価総額上位企業の変遷」というスライドです。

 米国のリーマンショック後の状況は、日本と同じ様に金融緩和策を取りましたが、成長戦略への移行が比較的上手く行きました。すなわち、ITとベンチャーを中心とした民間企業の新しい技術革新が効を奏し、「米国株は熱狂なき上昇相場」です。

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 以上、講師が一番述べたかったのは、「政治が経済を牛耳っている」ということでした。