第4回 “伊勢志摩サミット”からはじまる観光立県への道

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 四日市市民大学「21世紀ゼミ」の今年第4回目の講義が、12月7日(水)の18:30~20:30しばさん三重4階研修室にて開催されました。企画運営は三重大学人文学部が担当しています。

 今回は、三重銀総研別府孝文調査部長・主席研究員に「“伊勢志摩サミット”からはじまる観光立県への道」というテーマでお話し頂きました。

 別府講師からは、冒頭、伊勢志摩サミットの開催となった三重県伊勢志摩地域の産業構造について説明がありました。「伊勢志摩は、伊勢神宮、伊勢志摩国立公園など、歴史文化と自然環境の両面で観光資源に恵まれた県を代表する観光地です。伊勢市を中心に都市圏が形成され、交通アクセスに恵まれた場所では、製造業の立地も結構あります。一方で、地域内の多くを占める中山間地域では、過疎・高齢化が深刻な問題となっています。」

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 また、2016年5月26日~27日に開催された伊勢志摩サミットの効果については、次の様な説明がありました。伊勢志摩サミット開催を先取りする形で、2015年の外国人宿泊数増加率は119.4%で、三重県は全国2位と伸び率としては大きな値となっています。しかし、外国人宿泊者数は、三重県は全国12番目で、僅か全体の4.1%を占めるに留まっています。更に、三重県鈴木知事のコメントにあるように、「泊ってくれるが、お金を落としてもらえていない。」という課題も抱かえていると言えます。

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 地方創生と観光振興という観点からは、講師は「発地型」から「着地型」への動きが必要ですと主張されます。

 発地型とは、観光客が多く居住する都市部の旅行会社等が主体となって旅行商品を企画・設計し、地域に送り出す形の旅行形態です。

 一方、「着地型観光」とは、観光客を受け入れる側の観光地が主体となって、地域の資源をセールスポイントにして、旅行商品を企画・設計し、地域自らが売り出す形の旅行形態です。そして、各地で地方創生が進む中で、日本各地で自らの地域資源を発掘・ブラッシュアップし、着地型観光に取り組む動きとされています。

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 最後に、当地の観光振興に向けた3つの観点とし、
  (1)数量(域内観光客数)
  (2)単価(域内消費額/人)
  (3)自給率(域内調達率)
の3つの観点を挙げています。

1つ目の数量については、クルーズ船誘致・受入による外国人観光客の増加を。
2つ目の単価については、連携による地域内滞在時間の長期化。
3つ目の自給率については、高付加価値化、地元資材の活用
です。

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特に単価における農業×観光の組合せは、
  (1) 宿泊とキャンプを融合させ、施設内の農園で収穫体験やバーベキューを提供。
  (2) 修学旅行に農業体験を組み込んだプログラムを開発。
  (3) 高級果物などの輸出で興味を持った外国人を産地につなぐ事業など
の提案がなされました。

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以上、今回の三重県の観光立県への道として色々と参考になるデータを紹介して頂きました。