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第二回 「ローカル鉄道の最先端」~四日市あすなろう鉄道の明日を考える~

 三重大学人文学部が企画・運営する四日市市民大学「21世紀ゼミナール」の平成29年度第2回目講義が、平成29年10月4日(水)にじばさん三重で開催されました。

 講師は三菱UFJリサーチ&コンサルティングの近藤洋平副主任研究員です。テーマは「ローカル鉄道の最先端」~四日市あすなろう鉄道の明日を考える~です。

 今回の講義では、ローカル鉄道の例として、(1) 四日市あすなろう鉄道、(2) JR北海道、(3) 岐阜明知鉄道、(4) 高松琴平電気鉄道、(5) 福井鉄道、(6) くま川鉄道、(7) 弘南鉄道大鍔線、が取り上げられました。

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 ローカル鉄道は、地域の「資産」なのか「負債」なのかについては、使い方次第で「資産」にも「負債」にもなるとのことです。そして人口10万人以上の都市であれば、「資産」にできる可能性は大きいという考えを示されました。これに従うと、四日市あすなろう鉄道は十分に「資産」としての価値を有することになります。

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 このローカル鉄道の活性化をどのようにして行けば良いのかについてですが、1つの判断材料として、

(1) まずは生活目線で路線の活用を考える。
(2) 次に補完的立場で観光を考える。

を提案されています。

 NHKテレビの「あまちゃん」で有名になった三陸鉄道、猫のタマ駅長で有名になった和歌山鉄道があります。ところが、テレビで取り上げられて大勢の観光客が来たかと思いきや、いずれも、1,000人以下/日という状況で、観光目的は必ずしも上手く行かないことの実証例であるとのことでした。

 また、運賃比較をすると、高校生1人が定期券を買えば、年間約200日(400回)の乗車が見込めるが、400人の観光客を集めるのは至難の業とのことです。しかも観光は人手が必要であるため、ボランティアの活用が不可欠で、年間変動も大きくなります。

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 それでは生活目線をポイントとした場合、どの様な方法が考えられるのかですが、それには、以下の3点を提案されました。

(1) 地域活性化として大型ショッピングセンターの前へ新駅設置や住宅開発を目指す等々「都市計画」として鉄道が便利な仕組みづくり
(2) 歩いて暮らせる街づくり
(3) 駅前に病院等公共施設の移設
(4) 電車の乗り継ぎを改善して、最寄りの駅まで車で来て、そこからは電車を乗り継いで出掛けるという利便性確保

 これらを目指すべきだと主張されました。

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 そして最後に私達市民は何をすれば良いのかについては、1人ひとりが「地域の資産」と認識し、自ら行動することが重要と締め括られました。