第一回 ESG投資マネー新たなうねり

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 四日市市民文化部が主催する「四日市市市民大学」は、開校が昭和53年(1978年)ですので、今年で41年目となります。また、三重大学人文学部は「21世紀ゼミナール」というコースを平成18年(2006年)から提供していますが、今年で13年目となります。

 平成30年度の三重大学「21世紀ゼミナール」の統一テーマは「脱炭素社会実現に向けた取組み」としました。全体で5回の講義となります。

 第1回目の講義(H.30.9.5)は、岡三証券㈱ グローバル金融調査部長 杉山賢也氏による「ESG投資マネー新たなうねり」と題しての講義です。杉山講師は、証券会社のリサーチ部門部長という立場から、世の中の足下での大きなお金の動きを解説して頂きました。今回の講義では、
(1) 世界経済・金融市場の動き
(2) ESG投資と統合思考
(3) 人生100年時代の資産運用
の3点に焦点が当てられました。

 現在、政治リスクは米国・中国を中心に回っており、「中国が愛する世界の真空状態」が世界10大リスクのトップに選ばれたそうです。特に、米中の貿易戦争が技術覇権を巡る争いとなっているそうです。

 米国の代表的成長企業はGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)で、中国の代表的企業はBAT(バイトウ、アリババ、テンセント)です。なかでも、米国のアップル、アマゾンの時価総額は200兆円で、日本の上場企業の時価総額600~700兆円の4割に匹敵しているそうです。その中で、日本はどうするのか。政治的にはアメリカに付くが、民間投資は中国の果実を取りに行く、というスタンスが日本です。

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 SDGs(Sustainable Development Goals)とは、持続可能な開発目標で、貧困の撲滅、不平等の是正、気候変動への対応等を目標に、2015年の国連サミットで日本を含む193ケ国が採択。17の目標と169のターゲットを持つ活動のことです。

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 またESG投資とは、SDGsの目標の1つで、世界の投資家は現在、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治・ガバナンス(Governance)に配慮した企業に投資しています。環境とは化石燃料への依存度、社会とは地域密着型、企業統治・ガバナンスとは女性や老若男女の活躍応援を指し、このような多様性を配慮する企業を投資に当っては優先します。、ESG投資の背景にある2つの流れには、成長の視点と持続可能な社会構築の視点があります。

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 今回の講義を通して、我々個人としての課題は、人生100年時代が注目されるなか、も無形資産を高める意識を持つことで、人生とは健康寿命に合わせて「資産寿命」の延伸を考え、自らデザインすることがポイントと杉山講師は締め括られました。

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