歴史に学ぶ(No.8)-最近の印象に残る日本の芸術

 前回は1973年の石油ショックによる世界不況について触れましたので、この時期以降現在までにおける芸術の面での変化についても見てみます。これまで、写実主義、印象主義、表現主義、キュービズムと様々な画風が登場しましたが、これらは多かれ少なかれある理念や美学によって支えられて来たものです。だが、それ以外にも何ら特定の運動に加わることなく、自己の世界を表現し続けた多くの画家たちがいます。世界の各地からパリにやって来て、放浪の生活の中で抒情性の強い作品を生み出して行った「エコール・ド・パリ」の画家たちなどが代表的なものです。

 最近私が東京の美術館で見てきた2名の作品を紹介します。レオナード藤田(1886~1968)と加山又造(1927~2004)です。

 レオナール藤田は20世紀初頭のパリに渡り、エコール・ド・パリ(パリ派)の寵児と呼ばれました。この日本人画家は、帰国を果たすもやがてまた渡仏し、日本に戻ることはありませんでした。レオナール藤田展が今年各地で開催され、フランスに帰化した天才画家、レオナール藤田(藤田嗣治)の人間像に触れることができます。彼の絵の特徴は、日本画の技法を油彩画に取り入れつつ、独自の「乳白色の肌」と呼ばれた手法で描かれた裸婦像などは西洋画壇の絶賛を浴びました。そして、エコール・ド・パリの代表的な画家となりました。

 一方の加山又造ですが、日本画の伝統的な様式美と現代的な感覚で表現したことで有名です。下に紹介したものは、彼の代表的な作品の夜桜(1998年)です。現代的な女性美、光琳風の構成美など「現代の琳派」と称され、新たな表現を求めて変貌を重ねています。また水墨画にも意欲を示し、1984年山梨県・身延山久遠寺大本堂に天井画「墨龍」と水鳴楼の襖絵16面を、1997年には京都市・天龍寺法堂に天井画「雲龍」を完成させました。また、国立近代美術館の壁画として製作された「雪」「月」「花」の3部作は圧巻です。

 レオナール藤田はパリ派の画風の中に日本的センスを取り込んだものであり、加山又造は日本画の中に現代的センスを取り込むというように、いずれもグローバルの視点を重視しているように見えます。それは、日本的センスを生かした日本の絵画が開花してきたということです。これは“日本人よ”自信を持てということかも知れません。この点は技術と合い通じるところがあるように思えますがいかがでしょうか。

前回は1973年の石油ショックによる世界不況について触れましたので、この時期以降現在までにおける芸術の面での変化についても見てみます。これまで、写実主義、印象主義、表現主義、キュービズムと様々な画風が登場しましたが、これらは多かれ少なかれある理念や美学によって支えられて来たものです。だが、それ以外にも何ら特定の運動に加わることなく、自己の世界を表現し続けた多くの画家たちがいます。世界の各地からパリにやって来て、放浪の生活の中で抒情性の強い作品を生み出して行った「エコール・ド・パリ」の画家たちなどが代表的なものです。

 最近私が東京の美術館で見てきた2名の作品を紹介します。レオナード藤田(1886~1968)と加山又造(1927~2004)です。

 レオナール藤田は20世紀初頭のパリに渡り、エコール・ド・パリ(パリ派)の寵児と呼ばれました。この日本人画家は、帰国を果たすもやがてまた渡仏し、日本に戻ることはありませんでした。レオナール藤田展が今年各地で開催され、フランスに帰化した天才画家、レオナール藤田(藤田嗣治)の人間像に触れることができます。彼の絵の特徴は、日本画の技法を油彩画に取り入れつつ、独自の「乳白色の肌」と呼ばれた手法で描かれた裸婦像などは西洋画壇の絶賛を浴びました。そして、エコール・ド・パリの代表的な画家となりました。

 一方の加山又造ですが、日本画の伝統的な様式美と現代的な感覚で表現したことで有名です。下に紹介したものは、彼の代表的な作品の夜桜(1998年)です。現代的な女性美、光琳風の構成美など「現代の琳派」と称され、新たな表現を求めて変貌を重ねています。また水墨画にも意欲を示し、1984年山梨県・身延山久遠寺大本堂に天井画「墨龍」と水鳴楼の襖絵16面を、1997年には京都市・天龍寺法堂に天井画「雲龍」を完成させました。また、国立近代美術館の壁画として製作された「雪」「月」「花」の3部作は圧巻です。

 レオナール藤田はパリ派の画風の中に日本的センスを取り込んだものであり、加山又造は日本画の中に現代的センスを取り込むというように、いずれもグローバルの視点を重視しているように見えます。それは、日本的センスを生かした日本の絵画が開花してきたということです。これは“日本人よ”自信を持てということかも知れません。この点は技術と合い通じるところがあるように思えますがいかがでしょうか。

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