地球温暖化を考える(No.7)-キリマンジャロの雪

 今回紹介するキリマンジャロの雪の消失は、前回のアフリカ・チャド湖の消滅と同じ類の現象です。ノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア氏は、ドキュメンタリー映画「不都合な真実」の中で、地球温暖化による局地的な気候変動が主要因であるとして取り上げています。これに対しても、2007年のイギリス高等裁判所の判決は、アル・ゴア氏の主張が科学的根拠に乏しいとして、学校における上映を差し止めました。全部で9ケ所ある事実誤認の第6番目の指摘です。

 キリマンジャロは、標高6,007mの雪に覆われた山で、アフリカの最高峰と言われています。その西側の山頂は、マサイ語で“ヌガイエ・ヌガイ”神の家と呼ばれていました。写真は、1970年と2000年のキリマンジャロを比較した写真です。1970年の写真には有名な雪と氷河が写っています。ところが、2000年の写真では、明らかにもの凄い変化が起きています。たった30年の間に氷も雪も激減しています。

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 アル・ゴア氏の友人で、山岳氷河に関する世界でも指折りの専門家である、オハイオ州立大学のロニー・トンプソン博士も下の写真を撮ってきました。

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これは2000年にキリマンジャロの山頂にいる博士の写真で、隣に写っているのは、キリマンジャロの誇る壮大な氷河の1つの、哀れな最後の1塊です。博士は、10年もしないうちに「キリマンジャロの雪」は、ひとかけらもなく消えてしまうだろうと予測しています。

「武器よさらば」「誰がために鐘は鳴る」の著者として有名な米国の作家ヘミングウェイも、74年前の1936年に「キリマンジャロの雪」という短編小説を書いています。当時アフリカの大地でライオンを追うヘミングウェイは、アメーバ赤痢に罹って、一週間ほどナイロビの病院に入院しました。そのサファリの現地から病院に向かう途中で、キリマンジャロの威容を機上から目のあたりにして、「キリマンジャロの雪」という小説を発想したそうです。

 アフリカで唯一雪が見られる場所キリマンジャロ。そのキリマンジャロの雪が無くなってしまうのは、その雪がアフリカを象徴するものであっただけに、寂しい気持ちになります。皆様の感想はいかがですか。

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