地球温暖化を考える(No.8)-ハリケーン・カトリーナの猛威

 2007年にイギリスの高等裁判所が、アル・ゴア氏の「不都合な真実」の映画に対して下した9つの事実誤認判決のうち、第7番目が今回紹介する「ハリケーン・カトリーナの猛威」です。これまで、万年雪の融解、環礁の海水面上昇、南極「氷床コア」のデータ、海洋コンベアベルト、チャド湖の消滅、キリマンジャロの雪を見てきましたが、とうとうハリケーンにまで話が及んできました。ノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア氏は、ハリケーン「カトリーナ」の災害についても、気候変動がもたらした仕業と主張しているのに対し、イギリスの判事は、気候変動が直接原因であるとする科学的根拠に乏しいと切り捨てました。

 アル・ゴア氏は、ハリケーン「カトリーナ」が米国を襲う1ケ月足らず前の2005年7月31日に、「温暖化によってハリケーンはより強力に、より破壊的になっている」という科学的な共通認識を裏付ける重要な研究が、マサチューセッツ工科大学(MIT)から出されていると主張します。その内容は、1970年代以来、猛威をふるう大型の暴風雨は、大西洋でも太平洋でも、その勢力を保つ期間も強度もかつての1.5倍となっている、というものでした。

カトリーナ

 そして、カトリーナがやって来たのでした。湾岸へ進みながら、2005年8月26日の朝、最初にフロリダに上陸したカトリーナは、カテゴリー1の嵐に過ぎませんでした。ハリケーンには、カテゴリー1から5まであり、1分間の最大風速で規定されます。カテゴリー1が33-42m/秒、以下2が43-49、3が50-58、4が59-69、5が70超となっています。

 それから、カトリーナは、例年になく水温の高いメキシコ湾の海域上を通過しました。ニューオリンズに上陸した時、カトリーナは猛烈な破壊力を持つカテゴリー5の巨大な暴風雨と化していました。その結果は、どんな言葉をもってしても、到底言い表すことはできない、まるで地獄絵巻のようなものでした。ニューオリンズの8割が水没し、死者1,836名、行方不明者705名というとてつもない災害となりました。
(写真はいずれもアル・ゴア著:「不都合な真実」より転載)
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