地球温暖化を考える(No.10)- サンゴ礁の白化

 いよいよこの地球温暖化を考えるシリーズも最終回となりました。2007年にイギリスの高等裁判所が、ノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア氏の「不都合な真実」のドキュメンタリー映画に対し、科学的根拠に乏しいとして、学校における上映を差し止めました。全部で9ケ所ある事実誤認の最後の第9番目の指摘について紹介します。地球温暖化と大規模なサンゴの白化の間には関連があるのか、ということが今回のテーマです。

 色とりどりの元気なサンゴ礁が、白や灰色の骨格だけになってしまう現象を、サンゴ礁の白化と言います。下の写真は、アル・ゴア著「不都合な真実」に掲載されているものです。左側は正常なサンゴ礁、右側は白化したサンゴ礁で、比較して示してみました。サンゴの骨格を覆う透明な膜に棲んでいる小さな有機体は、熱などのストレスを受けると、抜け出てしまいます。有機体が抜け出ていなくなってしまうと、サンゴ礁の透明な薄い肌についていた鮮やかな色の褐中藻もなくなるので、その下にある無色の炭酸カルシウムの骨格がさらけ出されることになります。大抵の場合、見た目にサンゴが白くなってくると、そのサンゴはまもなく死んでしまいます。

サンゴ礁  白化したサンゴ礁 

 サンゴ礁が消えつつある背景には、たくさんの要因が考えられます。近くの岸から流れて来る汚染物質、開発の進んでいない地域でのダイナマイト漁法、海水の酸化性の進行、強力なエルニーニョ現象などです。しかし、アル・ゴア氏は、ここ最近、前例のないほど急激にサンゴ礁の状態が悪化している状況を取り上げ、最も致命的なのは、地球温暖化の影響で、海水温が上がって来たことだ、と主張しています。

 2005年と1998年の気温の高い年を例に上げて、彼は「観測史上最も気温の高い年となった2005年、多くのサンゴ礁が姿を消した。なかには、コロンブスが初めてカリブ海に辿り着いた当時から、生き生きと元気だったものもある。1998年は、観測史上2番目に気温の高かった年だが、この年には世界のサンゴ礁全体のうち、16%が失われたと推定されている。」と述べています。

 さて、イギリスの法廷では、これらの事実が、サンゴ礁の白化に対する科学的な説明になっているかが問われた訳です。皆さんはどう思われますか。

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