世界の温暖化対応(その2)- 京都議定書

京都
 温室効果ガスの削減という問題を議論する場合、必ず1997年に京都で開催された国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)において定められ、かつ、法的な拘束力を持つ京都議定書を良く理解する必要がありそうです。当時、米国副大統領であったアル・ゴア氏も、この会議に出席し、温暖化汚染物質の抑制を目指す画期的な条約の草稿を作ったそうです。一方、日本はと言えば、他の先進国に比べ不当に高い削減目標を負わされるという、悔しい思いをしてきました。

COP3

 京都議定書は、
① 先進国の削減義務を数値化したこと
② 排出権取引を認めたこと
の二つに大きな意味があります。

 まず、「先進国の削減義務を数値化したこと」に関して見てみます。先進国とは、日本、EU加盟国、オーストラリア、ロシア等を指します。米国は2001年、ブッシュ政権が京都議定書からの脱退を宣言しています。そして、日本は、2013年までに、温室効果ガスの合計排出量を、1990年対比マイナス6%と設定されました。京都議定書は「国連気候変動枠組条約」の一部であり、そこで定める温室効果ガスの6%マイナス目標には、法的な拘束力があります。

 また、「排出権取引を認めたこと」に関しては、排出削減目標を達成させるために京都メカニズムと呼ばれる道具を準備しました。この京都メカニズムには、図に示すような
① 国際排出権取引(IET:International Emissions Trading)
② クリーン開発メカニズム(CDM:Clean Development Mechanism)
③ 共同実施(JI:Joint Implementation)
の3つが準備されました。

京都議定書
 国際排出権取引は、「国が持っている排出権」を買ったり売ったりすることができる制度です。
② クリーン開発メカニズムは、発展途上国で実施する温室効果ガス削減活動に対して、国連が排出権を付与する一連の制度を言います。先進国は「その活動から生じる排出権」を購入することができます。
③ 共同開発は、先進国で実施する温室効果ガス削減活動に対して、その活動の実施場所となる国が、国が持っている排出権の一部を相手国に分け与える制度を言います。従って、新たに排出権を発行するクリーン開発メカニズムとは制度とは異なりますし、温室効果ガス削減活動を必ず実施するという点で排出権取引制度とは異なります。

 炭素ビジネスを打ち出しているEUは、京都議定書をいち早く批准し、排出量取引制度を開始しています。最近では、全面的にオークション方式で排出枠を割り当てる新段階に入ったとも言われています。

 この京都議定書の有効期限は2013年です。現行の京都議定書を引き継ぐ「ポスト京都議定書」を巡っては、今大混乱に陥っています。多国間の交渉というのは本当に大変なものですね。皆さんどう思われますか。

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