世界の温暖化対応(その4)-日本のスタンス

 これまで3回に亘って、地球温暖化問題が全世界の中でどのように捉えられているかを知るために、国連の気候変動枠組条約の経緯を追ってきました。そこで解ったことと言えば、各国の利害関係が前面に出て、議論がスムーズに進展しないという状況に現在まさに陥っているということでした。

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 全世界は、1997年に定められた京都議定書に基づいてこれまで行動してきました。しかし、2014年からのポスト京都議定書への移行が上手く行っていません。そこで、今回から各国のお家の事情を覗いてみたいと考えています。まず、最初は我々が住む日本の立場についてです。

 京都議定書が定められた時に、実は日本は嫌な思いをしています。1990年対比として各国のCO2削減量が設定されましたが、1990年の段階で日本のCO2削減対策は相当なレベルまで来ていて、それからの6%の削減は、非常に厳しいものでした。敢えてそれを受け入れさせられたと聞いています。日本や欧州など先進国がまず地球を守る責任を果たそう、参加国は後から増やそうという、欧州諸国の圧力に屈した形でした。

 それから、15年後の現在、一部の先進国だけが削減義務を負う枠組みを固定する京都議定書の延長には真っ向反対するという立場を取っています。CO2の排出量の多い米国、中国、インドが入って初めて議定書足りうる。これが日本の主張するポスト京都議定書であるわけです。

 そして、CO2削減を実現するために、政府は次の3つの大きな対策を掲げています。
(1) 環境税の設置
(2) 国内排出権取引制度の運用
(3) 再生可能エネルギーの全量買い取り制度の設定

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 環境税は、石油や石炭といった化石燃料に対する税率を高くし、これにより化石燃料の消費を抑え、かつ、税収を低炭素技術の普及に活かそうというものです。また、2つ目の国内排出権取引制度の運用については、排出権取引制度を導入することによって、各企業にCO2削減の目標値設定を義務付け、それに向かってCO2削減の努力をさせます。但し、どうしてもクリアできなかった企業には、その不足分をクリアした企業から買って、目標値をクリアしようというものです。更に、風力、太陽光、バイオマスは再生可能エネルギーと呼ばれます。これらのエネルギーを利用する限り、CO2は発生しません。従って、政府はこれらのエネルギーを全量買い取って、その利用を促そうとするものです。

 それでは、実体はどうなっているかと言えば、現在のCO2削減の状況は、図に示しますように、このまま行くと6%削減どころか、反対に1990年時に比べ、4~5%オーバーしてしまうという状況です。そんな中、2006に麻生政権は8%削減を打ち出し、また、2010年には鳩山政権は25%というとてつもない目標を掲げました。

 今、日本は経済、政治、外交、色々な面で岐路に立たされています。その中で、環境問題を政府がどの様に舵取りをするのか、目が離せません。皆さん、このような日本に何を期待しますか。



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