東日本大震災からの教訓(その3)-マグニチュード9.0地震の発生確率

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、これまでに日本では経験したことのないマグニチュード9.0(以下M9.0と表します。)でした。今回のM9.0の地震は想定外の規模だったのでしょうか。これを少し検証してみます。

 下図は、1700年以降に起きた、世界でのM9.0相当の発生時期と場所を示したものです。太平洋には幾つものプレートがありますが、プレート境界に沿って、M9.0クラスの地震が定期的に発生していることが分かります。

プレート

 地震の専門家は、この発生分布と発生頻度から見て、M9.0の地震がこの時期日本に起きてもおかしくはないと言っています。そして正に今回発生したわけです。決して想定外ではありません。

 ところで、地震にはプレート型の地震と活断層に沿って起こる直下型の地震があります。今回の東日本大震災はプレート型ですが、1995年に起こった阪神・淡路大震災は直下型の地震です。また、今回も本地震の後に多くの余震が起こりました。これは、陸側と海側のプレートが強くくっついた「固定域」が本震の際に壊れた影響で、双方のプレートにかかる力が大きく変化しました。そこで断層に沿ってずれを発生させることで、この変化をバランスさせる訳です。これが余震です。

 この直下型の地震は活断層に沿って発生します。この活断層は日本には多く存在します。例えば、我々が住む四日市付近にも図の様に多く存在します。

地震による揺れと被害

 このように見ると、日本には地震の巣窟の様に見えます。日本は震源の上にできている島国で、地震を避けられません。地震が来るのは当然と考えて、その対策を取らなければならない国なのです。

 日本で建物を作るなら地震を真剣に考える必要があります。日本に新幹線の様なシステムを作るなら、高いビルを建てるなら、まず地震を考える必要があります。発電所を建設する場合にも地震を考えるのは当然のことです。特に、原子力発電所においては、何をかいわんやです。

 それなのに、なぜ中部電力浜岡は震源の真上にあるのか。東海道新幹線は、なぜ地震地帯を走っているのか。世界一の東京スカイツリーを建てたが、東京に地震が来た時に本当に大丈夫なのか、色々と心配になって来ます。

 今後、こういった施設を作る場合には、今迄以上に地震のことを念頭に置き、構築する必要があると思います。これまで日本は地震対応設計を世界に標榜して来ましたが、一気に信頼を失いました。皆さんどう思いますか。

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