福島原発事故による混乱(その3)-放射能の人体へ影響

内部被ばくと外部被ばく

 放射線物質からの被爆には、図に示すように外部被爆と内部被爆があります。そして、外部被爆の症状例としては、白血病や白内障などが、内部被爆の症状例としては、甲状腺癌、肺癌があります。このように、放射線被爆は癌との関連性が非常に大きいことが分かります。

 原発事故が起こった現場では、外部被爆が大きな問題となります。外部被爆は、対外からの被爆ですが、その場所を離れたり、皮膚や服に付いた放射性物質を取り除くことで、持続的な被爆を避けることができます。

放射線量と人体への影響

 一方、放射線物質が周囲に飛び散ると、その周辺に住む住民が、この汚染を受けた食物等を摂取することになり、内部被爆が問題となります。内部被爆の場合は、水や食品の摂取、呼吸により、体内に取り込まれた放射性物質が体外に排出されるまでの間被爆が続きますので、外部被爆に比べ面倒になるようです。

 広島や長崎の原爆、チェルノブイリの原発事故、いずれも私たちには悲惨な状況、一生に亘って続く被害として記憶されています。特に、福島に住んでおられる子供を持つ親の心配は計り知れません。これからの長い人生を生きて行かなければならない子供たちの健康が損なわれることは、親にとって切実な問題です。特に、妊娠中の女性にとっては、少しでもリスクを避けたいという思いが働きます。そこで、放射線量が人体に及ぼす影響を調べてみました。

 放射線量の人体への影響についての1つの目安としては、国は「1回に浴びる量が100ミリシーベルト以上だと癌にかかる可能性が高くなることが判っている」と言っています。しかし、これは非常に不明確な表現です。100ミリシーベルト未満の被爆では、一体どうなるのでしょうか。

 国の説明では、100ミリシーベルト未満の被爆では、放射線の影響が弱まり、喫煙などの生活習慣の影響の区別できなくなるため、健康被害との関係は科学的に解明できないとしています。しかし、現在では、100ミリシーベルト未満でも線量に比例して癌のリスクが上がると想定し、なるべく被爆を抑えるという考え方が主流のようです。


食品中の放射性セシウムの基準

 一方、テレビや新聞では「食べ物1kgや水1ℓ当り100ベクレルの放射性物質が検出された」と報道しています。そのような水や食べ物をどの程度摂取すると、人体に影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。また、どれぐらいまでなら安全とみなせるのでしょうか。

 ベクレル(Bq)は、放射性物質が放射線を出す能力を示す数値で、食品からの1年間の被爆許容線量を、1ミリシーベルトに設定して設定された値です。食品の場合には、人体への影響がおよばないことを前提にしていますので、1ミリシーベルトという十分に安全を見越した値を採用しているものと推定されます。



 最近、食品中の放射線セシウム基準値が出されました。一般食品で1kg当り100ベクレルです。しかし、流通業界は、より厳しい独自規制値ベクレルを設けて運用しているため、「ダブルスタンダード」という消費者の混乱を招いています。  





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