Blog20121231

地球温暖化を考える(No.1)-アル・ゴアの訴えかけ

福島原発事故による混乱(その6)-原発ゼロへの方向転換

 民主党政権は、2010年の段階で、2030年時点の原発依存度を約5割まで引き上げる方針を決めていました。しかし、2012年3月11日の東日本大震災時に発生した東京電力福島第1原発事故を受けて、見直しを表明せざるを得なくなりました。

 これを受けて、政府のエネルギー・環境会議は、2012年6月に2030年時点の原子力依存度は下図(朝日新聞デジタルより転載)に示す「ゼロ」「15%」「20~25%」の3案を提案しました。これら選択肢を世論調査や意見交換会などの「国民的議論」を経て政策方針を決定することとし、国民への意見聴取を2012年8月末まで約2ケ月間をかけて実施しました。

2030年エネルギー政策の選択肢


 広く国民の意見を聴くとして、「意見聴取会」を各地で催したり、「抽選3,000人を対象としたアンケート」や「討論を組み合わせた討論型世論調査」および「パブリックコメントの募集」などを行いました。しかし、意見聴取会には電力会社幹部・課長の聴取会出席で不信感を買う場面もあり、脱原発を求める市民からは「アリバイ作り」「反対派のガス抜き」との批判が噴出しました。明らかに、意見聴取会の進め方に問題がありました。

 意見も色々と出ました。原発依存度「ゼロ」案を支持する意見としては、「福島第1原発事故原因がまだ究明されていない」、「使用済み核燃料の処分法が確立されていない」等がありました。「15%」案の支持者は、「国民生活への影響も考慮すべきだ」等を訴えていました。「20~25%」案の支持者は、電気を必要とする産業界が主で、「日本の経済成長を少しでも実現させるには、産業の活性化が不可欠で、それには安定したエネルギーが必要だ」と訴えます。

 今回の政府の一連のやり方には幾つかの疑問点が残っているように思えます。

 その1つは、原子力発電の在り方を3択として提示しましたが、本当にこの3つの方法に分類できるのか、もっともっと選択肢はあるのではないのかと言う点です。例えば、即撤廃か中長期的にやるかの考えを入れると、「当面は15%で進め、行く行くは0%を目指す」と言ったこれら3択の組合せも十分考えられます。国民の意見をこれら3つで分類してしまうというのは、どうも合点が行きません。

 1つは、政治を進めるに当り、その都度国民の意見を聞いて、それを参考にしながら決定していくというのは、政治ではないように思えます。政治では、大局的観点に立ち、こうと決めたらそれをやり、その結果に対して国民の判断を仰ぐということが本来の姿ではないのでしょうか。

意見聴取会の意見表明希望者が指示したエネルギー政策



 ところで、国民の意見を聞いた段階では、下図(朝日新聞デジタルより転載)の様に原子力依存度を「ゼロ」すべきだとの声が7割に達しました。当初、民主党は「15%」案で進める予定であったようですが、結局は、国民の声を優先せざるを得なくなりました。

 国民の意見を参考に政府は「原発ゼロ」を推進するとしたものの、今度は経済界による原発維持の抵抗に遭い、「原発ゼロ」は閣議決定とはせず、民主党の政権公約として2030年時点原発ゼロを掲げる、というように腰砕けに至ったわけです。

 そういうこともあり、今回2012年12月16日の衆議院議員総選挙では、民主党は大敗を喫してしまいました。民主党の決断のなさがこれを引き起こしたのであり、当然のことだと思います。皆さんどう思われますか。


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