日本の制約条件(その2)-GDP(国内総生産)成長の死守

 日本の課題を考える場合、絶対に外してはならない制約条件として、「少子高齢化問題」、「GDP(国内総生産)成長の死守」、「世界第2の債務残高」の3つがあります。

 そして、前回はそのうちの1つ「少子高齢化問題」を紹介しました。今回は、2つ目の「GDP(国内総生産)成長の死守」を取り上げます。

 下図は縦軸にGDPの成長率、横軸に年代を取って、1900~直近までのGDP成長率の変遷を示したものです。

GDPの低成長率

 1990年頃は、まだ5%近くあったものが、直近ではゼロまたはマイナス成長となっています。日本が今後生き延びて行くための最低条件は、低くても良いから成長し続けることだと言われています。

 GDPそのものは、現在500兆円であり世界3位です。まだまだ日本の経済力はあります。問題はその成長率であり、ゼロまたはマイナスがここ続いていることです。これを何とか少しでも良いからプラス成長にしなければならないということです。

 これを達成するため、現在の安倍首相は3本の矢の1本として成長戦略を挙げています。まさに日本産業の再興プラン、国際展開戦略、TPPなどの政策を大きく進めてGDPの成長を死守することが強く求められています。

TPPで予想される経済効果

 右図はTPPで予想される経済効果を示したものです(日経新聞2013.2.24掲載)。TPPは成長戦略の柱であり、アベノミックスが早晩失速してしまうかどうかの試金石であるとも言われています。

 TPP交渉は、米国やオーストラリアなど11カ国が参加していますが、これらの国で自動車などにかけている関税が撤廃されれば、日本企業はより安い価格で販売できるようになるため、輸出が増えます。これによって、GDPを2.7兆円押し上げると内閣府は試算しています。生産性の向上なども加味すると、経済効果は数倍になるとの見方もあります。また、製造業の国外流出も緩やかになると期待されます。

 しかし、「成長を牽引する企業の活性化に照準を合わせるのは良い、ただ、聞こえの良い文句ばかりが先に立つのでは意味がない」ということが、テレビでは良く聞かれます。

 成長戦略の良し悪しが、GDPの成長率を押し上げることにもろに繋がりますが、どれが効果的なのでしょうか、皆さんはどう思われますか。

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