日本の制約条件(その3)-借金大国日本

 日本の課題を考える場合、絶対に外してはならない制約条件として、「少子高齢化問題」、「GDPの成長死守」、「世界トップクラスの借金大国」の3つがあります。

 先回と先々回で、すでに「少子高齢化問題」と「GDPの成長死守」の2つを紹介しましたので、今回は3つ目の「世界トップクラスの借金大国」について取り上げます。

 御承知の通り、ヨーロッパではギリシャが、もう正に借金でアップアップしています。しかし、日本はまだアップアップまでには行っていません。それは何故でしょうか。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングのエコノミストは、日本のGDPそのものがまだ世界3位というレベルにあること、そして下図に示します様に、長期債務残高約1,000兆円とGDP(国内総生産)の額500兆円の比がまだ2倍である点だと言っていました。この値が今後3倍に迫って行くと危ないということです。もうあまり時間はないと思います。

 ところで、何によってこれほどまでに借金が積み上がったのでしょうか。少し調べてみました。下図に示してありますように、これまで3回大きく上昇した期間があります。

借金大国日本

 1つ目は、1970年代初頭から80年代の中頃にかけての時期です。オイルショックによる設備投資などの削減を受け、法人税収入が減少し、政府部門の赤字幅が拡大しました。

 2つ目は、バブル崩壊後(1991年2月)からの一時期で、「失われた10年」と言われています。小泉構造改革によって2002年1月を底とした外需先導での景気回復により終結しました。不良債権の発生によるバランスシートの悪化により、企業部門が設備投資を大幅に削減したことを受けて、当時政権を担当していた自民党が積極的に推進した巨額の公共事業によって景気を下支えしようとした時期です。巨額の政府支出が将来の増税を予想させたことによる消費の低迷、企業のバランスシート改善を目的とした設備投資の抑制が強かったこともあり、それらに相殺され大きな効果は得られませんでした。

製造業の最終損益分析

 3つ目は、2008年のリーマンショック以降です。国による財政再建路線により、毎年40兆円の公的債務が増大し、方針とは裏腹に財政は年々悪化しています。下図に2009年3月期の製造業の連結最終損益の状況を示します。2008年3月期は11兆円の黒字でしたが、2009年3月は、電機、自動車、化学と落ち込み、全体で1.12兆円の赤字となりました。

 今、日本は2011.3.11の東日本大震災からの復興のために、大きな復興予算を投入していますので、益々借金は増えます。これらの借金に苦しまない様にするためにも、力強い成長戦略を実現してGDPの成長死守を成し遂げて欲しいと願うばかりですが、皆さんどう思われますか。

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