日本のエネルギー問題(その2)-化石燃料の枯渇問題

 前回のエネルギーバランスのテーマでは、再生可能エネルギーの全体に占める割合は1.7%程度で、この再生可能エネルギーで原子力の現状20%を補うことはまだまだ時間がかかることを示しました。しかし、その間何か別の方法で代替をすることを考えなければなりません。その目安となるものが下図に示すEPRです。

発電をEPRで評価

 EPRとはエネルギー収支のことで、エネルギーを生み出すために投入されるエネルギーで回収されたエネルギーを割った値のことです。エネルギーの経済性指標のような値で、EPRが5を切ると価格は2~5万円/ℓとなり、埋蔵量はあっても採算は合わないと言われています。

 これを見ると、原子力はEPRが17.40と最も大きく、非常に経済的であることを示しているので、これまで一生県命その割合を増やす努力をやって来た訳ですが、今回の事故で方向転換しなければならない状況です。

 現在、日本では、原子力以外の主力エネルギーは、石油(EPR:6.55)、石炭(EPR:7.90)、天然ガス(EPR:2.14)となっています。しかし、日本はこれら全てを海外からの輸入に頼っていますので、自給自足の国に比べて電気代は高くならざるを得ません。

 一方、現在開発を進めつつある再生可能エネルギーは、太陽光(EPR:2.00)、風力(EPR:3.90)と5に至っておらず、まだまだ経済的に合わないレベルにあることを示しています。確かに太陽光発電は今盛んに設置が進められていますが、これも国のエネルギー買取制度のお陰で成立していると見なせるでしょう。

世界の化石燃料消費量の推移

 ところで、右図の様に石炭・石油・天然ガスの化石燃料の消費量の推移を見てみますと、地球の長い歴史において特にこの100年間の消費量が急激であることが分ります。特に石油の消費が最も激しく、この状況を見て10年程前には、石油はあと50年しか持たないといって大騒ぎをしていたのが思い出されます。

 地球の誕生は46億年前、生命の誕生は40億年前です。化石燃料とは、約6億年前の地質時代を通じて動植物などが地中に堆積し、地球の内部システムを利用してじっくりと熟成したものです。この長期間にわたって溜め込んできた財産を、人類はあっという間に使いはたそうとしているわけです。

世界のエネルギー資源の確認可採埋蔵量

 10年前に良く使われた指標が左表です。石炭はほぼ全世界に埋蔵されており、供給の安定性は最も高い化石燃料ということができます。しかし、石油の埋蔵量に関しては、中東に約63%が集中していることから、産油国の政情不安から、中長期的な安定供給確保の面で懸念があるとされています。一方、天然ガスは、石油と比較すると埋蔵国が世界中にちらばっており、偏りが少ないということができます。

 最近は、シェールガスの開発により、天然ガスの供給量が増えたために、化石燃料に対する枯渇の心配が当面なくなった様にも思えます。皆さんどう思われますか。

コーディネーター's BLOG 目次