日本のエネルギー問題(その6)-太陽光発電の仕組みを知る

太陽光パネル

 前回、我国でも太陽光、風力、バイオマス、地熱、水力で発電された電気の固定価格買取制度が、平成24年7月にスタートしたことを紹介しました。約1年経った現在、太陽光発電が圧倒的に他の発電より普及率が高く、全体の9割超を占めるまでになっています。

 そこで、今回から3回に亘って、太陽光発電について色々な角度から眺めてみたいと考えています。まず第1回目は、太陽光発電の仕組みです。


 通常、太陽光発電の仕組みについては、下記の様に書かれています。「p型とn型の2種類の半導体を貼り合わせものが、最も普及している“pn接合型”の太陽光パネルです。パネルに光を当てると、2種類の半導体の接合面から電子が飛び出し、それが外部の回路へと流れることで、電流が発生します。」

 これだとある程度半導体技術を知った人でないと理解できません。少し私の方で噛み砕いてみます。

p型とn型の2種類の半導体




 まず、「p型とn型の2種類の半導体」とありますが、pはpositiveをnはnegativeを表します。p型は下図の左のように、電子(-)が抜けて空孔(+)ができた状態で、全体として+になっている半導体を指します。また、n型は下図の右のように、電子(-)ができて、全体として-になった半導体を指します。



“pn接合型”の太陽光パネル



 次に、この様なp型とn型の2種類の半導体を貼り合わせたものが「“pn接合型”の太陽光パネル」となります。これの意味は、p型とn型の半導体を貼り合わせますと、右図の様に、p型の左サイドには空孔(+)が、n型の右サイドには電子(-)が溜まっていきます。しかし、貼り合わせた面の近傍では、空孔と電子が合体して、空孔と電子がほとんど存在しない領域、すなわち空乏層ができます。空乏層ができると、電子と空孔をそれぞれn型、p型領域へ引き戻そうとする内臓電場が生まれます。


太陽光が当たった時の反応




 この状態の時に、左図に示す様に太陽光をこの貼り合わせた面に当ててやると、合体していた空孔と電子が分離します。電子(-)は内臓電場により半導体の接合面を通過してp型の方へ移動することはできませんので、空孔(+)はp型の方に、電子(-)はn型の方に溜まります。



発電




 そこで、2種類の半導体を回路で繋いでやれば、電子は回路を通ってn型の方からp型の方へ移動します。電子が動くということは、電流が流れることに他なりませんので、発電したことになります。




「シリコン系」のpn接合型太陽光パネルの場合、太陽光のエネルギーを電力に換えるエネルギー変換効率は、製品化された状態で15%前後となっています。エネルギー変換効率が高いほど、太陽光パネルを設置する面積が少なくて済みます。

 pn接合型の太陽光パネルには、シリコン以外の物質を使った「化合物系」もあります。化合物系にも色々なタイプのものがあり、なかには変換効率が約40%というものもあります。但し、このタイプは生産コストが高いのが難点です。

 また、「色素増感型」と呼ばれる、pn接合型とは異なる原理で発電する太陽光パネルの開発も進んでいます。色素増感型の場合は、変換効率は10%程度に留まっていますが、低コストで生産できる、色を付けることができるために、デザイン性に優れているといった長所があります。

 他にも様々なタイプのものが研究されており、今後も太陽光パネルの性能は向上して行くと期待されます。但し、太陽光パネルで発電した電力は直流ですので、各家庭内での使用や電力会社への売電のためには「パワーコンディショナー」と呼ばれる装置で直流から交流へと変換する必要があります。

 太陽光発電の仕組みが分かったところで、少し太陽光発電システムの耐久性を考えてみます。太陽光パネルは半導体でできていますので、非常に繊細で取扱いが難しいという印象を受けます。このパネルが固定価格買取制度で買い取られる20年間の使用に本当に耐えるのでしょうか。台風とかに襲われた場合、他所から物が飛んで来てパネルに衝突すれば、壊れてしまうのではないか、また強風でパネルが吹き飛んでしまうのではないかと言ったことが懸念されますが、皆さんどう思われますか。

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