米国シェールガス革命の裏側(その3)-コロラド州では燃える水の出現

 作者は次にコロラド州を訪れました。コロラド州の上にはコロラド州を覆ってしまう様な大きなガス田があります。そして、フラッキングが最初に開始された場所の1つでもあるのです。

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 コロラド州では、作者はまずマイク・マーカムとマーシャ・メンデヘルに面会しました。マイクの土地は、ノーブルエナジーガス会社によってフラッキングが行われました。その結果、飲み水は完全に汚染されてしまいました。それにもかかわらず、ガス会社による調査は、「あなたのところの水は清浄で、ガス井戸掘削によって何ら汚染されていません。」と言って来たそうです。

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 そこで、マーシャは自分達の直面する問題について声明を準備して、市の協議会合に行きました。ところが、協議会の活動指導員はマーシャに話す機会を与えませんでした。作者も事実を確かめる目的で早速活動指導員の事務所へ行きました。しかし、活動指導員がカメラに向かって話すことはありませんでした。
 マイクは仕方なく、写真にあるように飲み水が火を出すところを作者のカメラに撮らせ、作者にサンプルを手渡し、問題のアピールを頼むことにしました。


 次に訪れたのは、ジェッセ・エルスワースとアミー・エルスワース夫妻のところで、庭には8つのガス井戸があります。この地域の地図は、井戸の存在示す赤いドットで真っ赤になっています。井戸を掘ったケールマギーガス会社に不満を持っている夫妻は、テレビニュースに出て、自分達の飲料水が天然ガスで燃えると不満をぶちまけました。
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 レニー・マクレアーもニュース番組に登場しました。レニーのところでも、飲料水が炎を出すという問題と同時に、この水を飲んだことで家族全員が頭痛を訴えています。特に、レニーは1年半の間健康を害してしまいました。



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 レニーは石油・ガス保存委員会へ話をし、誰が我々を守ってくれるのかを尋ねました。委員会は次の様に答えたそうです。「これは副大統領のチェイニーによって法律が変更され、ガス会社は環境汚染問題に対し免責となっているから、あなた方は誰も弁護士等を雇えないし、まさに誰も助けてくれないのです。」。このように政府は崩壊しています。

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 次に作者は、環境保護局(EPA)に25年間勤めるウェストトン・ウイルソンを訪ねました。ウェストンは、今から話すことはEPAの意見ではなくて、彼自身の意見であることを前置きして話し始めました。「2004年にEPAはフラッキングによる水汚染を調査しました。しかし、政府はEPAが調査を行う必要はないと言って、EPAの報告書を捨ててしまいました。」

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 ウェストンは議会へ手紙を書き、関係する7人の人々にこの決定を止めるように言いました。しかし、政府の7人は石油会社と何らかの付き合いがあり、お金が動いてEPAが調査をやらないように調整したのです。従って、議会からの報告書は意味のないものでした。その内容は、「水は毒されている。しかし、人々に脅威を与えるものではない」というおかしな結論でした。


 ウェストンは、「このアメリカは、フラッキングの安全性を調査するに値しているし、アメリカの人々が危険な化学物質に晒されるべきではない。」と考えています。EPAの規則では、EPA自ら調査できないし、いかなるデータを保存することもできないとしています。しかし、ウェストンは、いつかはEPAが調査することができ、フラッキングに用いられる化学物質は、非常に危険で、健康に対する極端に危険要素であることを示し、これらの人々を助けることができることを望んでいます。

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 このようなことがおこる背景には、いつもチェイニーが登場します。1995年から2005年に副大統領職にあったチェイニーは、ハリバートン石油会社のCEOでした。副大統領になると同時に、チェイニーはエネルギー特別調査団を形成しました。そして、石油会社関係者とは40回以上の会談を持ったのに対し、環境保護団体とはたった1回の会談のみでした。

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 エネルギー特別調査団は、ガス業界のために1億ドルのロビー活動費をかけて安全飲料水法に対してハリバートン社の免除と呼ばれる重要な免責条項を通過させたのです。それは石油やガスの採掘者が、よく知られている有害な物質を掘削の際に投入することを全面的に認めたものです。すなわち、飲料水を供給しているその場所でまたは近辺においても使用できるようにしたものです。その法案は、2005年にブッシュ政権下でのエネルギー政策法の一部として議会を通過しました。

 以上、コロラド州では、飲み水の中に天然ガスが混じり込んで燃える水に変わってしまう現実を見て来ました。天然ガスが混じり込んで来る位ですから、フラッキングで使用した化学成分も混じって来ているに違いありません。

 本当にこの様な水を飲まさせられたら病気になってしまいます。皆さんどう思いますか。

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