米国シェールガス革命の裏側(その6)-最初にガス掘削が行われた街の惨状

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 作者は48時間という短い時間ではありますが、再びコロラド州に戻って来ました。それには理由があります。コロラド州ガーフィールド郡は、天然ガスブームをもたらした最初の地の1つであったからです。ガーフィールド郡には、5,000を超える井戸が掘られています。従って、ガーフィールド郡には井戸掘削の歴史があるわけで、この土地を詳細に見て回れば、最近開発されつつある地域の将来の実態をつぶさに窺い知ることができるわけです。

 特に注目したのは、ガーフィールド郡では、ヘルス・インパクト・アセスメントを実施して、多くの住民が頭痛を訴えていることを明らかにしている点です。しかし、大部分の住民は、ガス会社との間で非公開契約を結んでいるため、健康問題に苦しんでいることを公開できないでいるのです。

 非公開契約にサインしていない数少ない人物にインタビューすることに成功しました。彼女の名前はディートフマイスターです。夫と一緒に50周年結婚記念で旅行に出て、自宅に戻って来たところ、庭には巨大なリグや重機が入り込んでおり、その上非常に強い臭いがしたそうです。それはベンゼンの臭いでした。家のテラスの方へ行ってみると、テラスは巨大なねずみ色の雲の様なもので覆われていました。彼女は急いで家の中へ入りましたが、15分程で気を失ってしまったそうです。そして、正気に戻った時には体中に痛みが走っていました。その後は、杖を使って歩かざるを得ない状態となってしまいました。

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 そこで、セオ・カルボーン医師に面会しました。カルボーン医師は、レイチェルカールソン賞を回も受賞しておられるほどの著名な医者です。カルボーン医師は次の様に証言しています。「我々は井戸を掘るために何が使用されているのかの調査から始めました。その様なデータは政府が採取すべきであるのに、全く採取されていません。我々は自分達でそれをやったのです。フラッキングに用いられる化学成分は、免責となっているが故に、ビッグマックの特別ソースやコカ・コーラの秘密の成分と同じ様に特別なものとなっています」

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 カルボーン医師は、トラックを追いかけたり、材料の安全性データシートを集めたりしてサンプル採取をしました。その結果、900の化学製品の中に596の異なった化学成分を見つけ出しました。




 カルボーン医師によると、人に見られる一般的症状に対する専門的な見解は以下の通りです。

 「最初は単なる頭痛から始まり、次に耳鳴りが起こります。同時に方向感覚が僅かながら無くなり、めまいを感じる様になります。そして、究極的には末梢部分に神経的な痛みを感じます。そしてこの段階に入ると、治ることのない脳のダメージを受けます。そして、腫れが現れます。特に、腕や脚といった末端部に多く現れます。」

 最後にリサ・ブラッケンへのインタビューです。

 彼女は多くの動物を助けてきた人物です。なぜ動物は死んで行くのか。それはガス導管の破裂で115,000,000ft3のガスが水路に放出され、それにより汚染が水路に広がり、これがもとで動物が死んでいくのです。彼女はそれら死んだ動物を冷蔵庫に入れていました。彼女は、動物が何故死んでいくのか実験することを望んでいたのです。

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 2008年に汚染は始まり、多くの野生の動物が死にました。さらにリサの父親ロバート・ブラックアラウドも、しばしば水路から湧き出る水を飲んでいたことから、汚染が広がった2年後に、最悪なことに膵臓がんで亡くなりました。ガス会社は過失を認め、政府に3,711,000$を支払いました。ガス会社の過失で大きな破裂が生じ、ガスが放出されて動物が死に、人間も死んだのです。リサや彼女の仲間は、化学物質が動物を殺すかどうかを、動物で実験することを望みました。ところが、2年後の時点で政府は、汚染の洗浄はしましたが動物実験はいまだにやっていません。

 ユタ州、アーカンサス州、ニューメキシコ州、オクラホマ州、カンサス州のいずれにおいても同じ様な話があり、脳死障害が起こっています。恐ろしい状況が現れ始めていますが、皆さんこの現実をどう思われますか。

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