米国シェールガス革命の裏側(その7)-テキサスの街を横切るガスパイプライン

 筆者はこれまで自分の住むペンシルベニア州からスタートし、シェールガス掘削の歴史の長いコロラド州、ワイオミング州とアメリカ西部地域の状況を詳細に見て来ました。
 その後、同じ様な状況をユタ州、アーカンサス州、ニュウメキシコ州、オクラホマ州、カンサス州でも見ました。
今回からは、テキサス州、ルイジアナ州といったアメリカ南部の地域に移ります。
 まず、テキサス州ですが、ここにも大きなシェールガスの層が横たわっています。バーネットシェールです。さて、どんな問題を抱えているのでしょうか。

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 初めに、テキサス州のフォートワースにて、空気の清浄度を研究しているアル・アーメンダイグ医師へインタビューしました。
 アル医師は下図-左を掲げて次の様に話しました。「この図に示すそれぞれのドットは、掘削塔を示しています(下図-右)。そして、それぞれの塔は10の井戸まで掘ることができます。しかしながら、政府はこれまでどの位井戸が掘られたか掴んでいません。私の推定では、フォートワース周辺ではおよそ10,000の井戸が掘られています。そして、井戸には石油掘削装置がありますが、運転にはディーゼル燃料が燃やされますので、多くの炭素ガスが放出されます。
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 その他にも左図に示すような濃縮タンクも多く設置されていて、これもまた大気中に多くの炭素ガスを放出します。これらの炭素ガス放出は、自動車とトラックを合わせた車からの排出ガス総量200トン/日よりも多いと言われています。」
 最後にアル医師は次の様に締め括りました。「クリーン・エア法は、発電所や工場の様な場所で作られる大規模汚染に適用されています。これらの井戸は、あまりにも小さい規模なので、クリーン・エア法が適用されません。しかし、数千の井戸があるので被害は大きいものとなります。彼は、小さな井戸が同じ様にクリーン・エア法に適用できるように、安全規準を変えることを望んでいます。」
 次にテキサス州ディシュ市長カルビン・ティルマンにインタビューしました。ディシュ市は、2マイルスクエアの広さで、150人が住んでいる街です。街中には10本の大きなガスパイプが横切っています。100億ft3ものガスが毎日町を通っているのです。
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 市長は彼自身で色々と調査を行いました。それによれば、大気中には多くの危険な化学物質が見付かりました。ベンゼンは安全基準レベルの55倍に達しています。別の化学物質は、安全基準レベルの107倍に達していました。
 彼自身が調査を進めた理由は、ガス会社はこれらの化学物質は大気中に消え去ったと言っているにも関わらず、ガスの危険な煙が街の一部を覆っているからでした。

 さて、汚染度の高いガスが自分の街の中を縦横無尽に走っていることを想像すると、本当に恐ろしくなります。皆さんいかがですか。

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