新世界秩序への誘い(その14)-「ヘーゲルの弁証法」と陰謀論

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 ゲオルグ・ヘーゲル(1770年~1831年)は、ドイツの哲学者で、ドイツ観念論を代表する思想家です。優れた論理性から現代の哲学研究も含め、後世にも多大な影響を与えました。特に、「ヘーゲルの弁証法」と呼ばれる弁証法的論理学における業績が有名です。

 ところが、この「ヘーゲルの弁証法」が、陰謀論を駆使するイルミナチの目標達成のために悪用されてしまうのです。今回はその悪用のされ方を徹底追跡します。


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 「ヘーゲルの弁証法」を構成するものは、ある命題(テーゼ=正)と、それと矛盾するもしくはそれを否定する反対の命題(アンチテーゼ=反対命題)、そして、それらを本質的に統合した命題(ジンテーゼ=合)の3つからなります。



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 全てのものは己のうちに矛盾を含んでおり、それによって必然的に己と対立するものを生み出す。生み出したものと生み出されたものは互いに対立しあうが(ここに優劣関係はない)、同時にまさにその対立によって互いに結びついている(相互媒介)。最後には二つがアウフヘーベン(aufheben, 止揚,揚棄)される。このアウフヘーベンは「否定の否定」であり、一見すると単なる二重否定すなわち肯定=正のようである。しかしアウフヘーベンにおいては、正のみならず、正に対立していた反もまた保存されているのである。


 さて、この「ヘーゲルの弁証法」をイルミナチはどの様に悪用したのでしょうか。

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第1ステップ
悪徳政府は、混乱を意図的に創り出します。
その混乱とは、国民を傷つけ殺すことさえも厭いません。この策略は「偽旗攻撃」として知られています。敵方の旗を付けて味方の様なふりをして近づき、攻撃します。



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第2ステップ
悪徳政府は、混乱に対する国民の対応を統制します。
その方法は、意図的に敵を作り上げたり、あるいは自国が有する社会のある側面を徹底的に非難することで、その統制の必要性を国民が要求するように持って行くのです。これこそ、偽旗攻撃と命名された所以でもあります。



第3ステップ
悪徳政府は、自ら作り上げた混乱の解決策を提供します。
この解決策は、まさに戦争そのものであったり、統制の強化といったものです。この解決策は、悪徳政府に都合の良いものであって、国民には一般的に受入れられない内容です。しかし、国が危機的な状況にあるなか、国民に受け入れて貰わないと国は大変なことになると煽り、国民の同意を獲得します。悪徳政府は、さらに統制のレベルを高め、社会が最優先課題として受け取る様にします。その方法は、一連の混乱に伴って起こる反作用と解決策を自ら仕組むことによって導きだすのです。
 ヘーゲルの弁証法の重要な点は、それが如何に邪悪であるかということではなくて、むしろそれがしばしば政府によって選択されて用いられて来たことにあります。

 20世紀から21世紀にかけての重要な戦争は、いずれも「ヘーゲルの弁証法」に従っていることを見逃してはなりません。

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 「ヘーゲルの弁証法」を悪用した例を示します。

 トンキン湾事件は、1964年8月、北ベトナム沖のトンキン湾で、北ベトナム軍の哨戒艇がアメリカ海軍の駆逐艦マドックスに2発の魚雷を発射したとされる事件です。これをきっかけに、アメリカ合衆国政府は本格的にベトナム戦争に介入し、北爆を開始しました。
米国駆逐艦「マドックス」から撮影した北ベトナムの3隻のP-4魚雷艇(上:悪用された写真)

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 アメリカ議会は、上院で88対2、下院で416対0でリンドン・B・ジョンソン大統領支持を決議しました。しかし、1971年6月「ニューヨーク・タイムズ」が、いわゆる「ペンタゴン・ペーパーズ」を入手、事件はアメリカ合衆国が仕組んだ物だったことを暴露しました。

 これは、ジョンソン大統領が「ヘーゲルの弁証法」を悪用して、ベトナム戦争を故意にに始めた例として有名です。

 これから紹介していく世界で起こった戦争の大部分は、この「ヘーゲルの弁証法」で説明がつくとのことです。どうして純粋な哲学が悪に応用されるのか、なにかしらぞっとするものを感じますが、皆さんどう思われますか。




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