REITで資産運用するテクニック

 REIT(不動産投資信託)は、不動産投資のために設立された法人が運営しています。投資家から集めたお金や金融機関からの借入金で実物不動産を取得し、家賃収入や売却益を投資家に分配します。投資家はREITを通じて、わずかな割合とはいえ「大家さん」になるわけです。

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J-REIT市場での資産運用

 具体的にREITを活用するには、J-REITシステムを通して証券取引所に上場している「投資法人」の投資口を購入することになります。投資法人とは、不動産に投資するための一種の会社であり、投資家は不動産投資の結果の収益を配当として受け取ります。この投資法人の投資口は株式の様なもので、市場で流通し、流動性が高い反面、価格が日々変動し、景気によって大きく上下する可能性があります。

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J-REIT市場分析

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 2018年の年末から2019年の年初にかけて、世界的に株価市場が大きく下落しました。それを受け、資産保全や分散投資の選択肢として、J-REITが大きく買われました。2019年の東証REIT指数は11年ぶりの高値を付けたこともあり、予想ではありますが、比較的高いリターンが見込めそうです。

 米中貿易戦争で輸出関連や外需の銘柄が大幅に下落したため、海外投資家を中心に、資産を株式からREITへシフトさせたことが背景にあります。FRBがこれまで2年連続で利上げを続け、2019年の1~3月で利下げに転じましたが、世界の金融環境が再び緩和的になったことがターニングポイントと言えるでしょう。その結果、米国は同年の上半期で金利が3%から2%に低下し、日本は引き続きマイナス金利局面に入りました。このように、世界的に照す金利局面にありますが、日本は今後も強い金融緩和を続ける見通しです。

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 そんな中、国内の金融機関は世界的な低金利環境下において、債券への投資では利回りが確保できず、厳しい運用業績が続いています。そこで金融機関をはじめ国内投資家は、約4%弱の安定的な利回りが見込めるJ-REITに目をつけ、現在買を強めています。

 一部では2020年の東京オリンピック以降には不動産市場が緩和し、J-REITが落ち込むのではという懸念もありますが、オリンピックの影響だけではそこまで大幅な市場の変動は生じないと考えられます。一時的には少々下がることはあっても、リーマン・ショックのような大幅な急落はまずないと見て良いでしょう。

 また、2019年の下半期以降もJ-REITは引き続きファンダメンタルが安定しており、基本的にはどのセクターも堅調な動きを示しています。賃料の上昇圧力が働き、J-REITは長期的に緩やかな上昇基調を続けるでしょう。今後も国内投資家は買い姿勢が売りを上回る見込みです。

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投資家としての目利きが試される実物不動産投資

 不動産投資の代表的な投資スタイルには、「実物不動産投資」と「REIT投資」があります。同じ不動産を対象とした投資ですが、それぞれ仕組みが異なります。双方のメリット・デメリットを考える前に、まずは、特徴を整理しておきましょう。

 実物不動産投資しとは、物件の“経営者”になることです。購入した物件を第三者に貸し出せば、入居者から家賃収入を得ることができます。これが、実物不動産投資の主な収益源となります。また、購入した物件の価格が購入したときより値上がりすれば、売却して売買差益を得ることができます。

 実物不動産投資の収益は、「どんなタイプの物件を、どんな場所に保有するか」で大きく変わります。例えば、物件の種類にはアパートやマンション、駐車場などがありますが、閑静な住宅街を選ぶのか、それとも人通りの多い繁華街エリアを選ぶのか、その地域のニーズを見極める力が試されます。地域ニーズに合った物件を選ぶことができれば、入居者の集まる空室知らずの物件にすることができるでしょう。このように、実物不動産投資は「物件タイプ×場所」による地域ニーズとの合致が成功を左右すると言えるでしょう。投資家としての目利き力が試される点が実物不動産投資のおもしろさだと感じる人も少なくありません。

 実物不動産投資の収益を左右する要素は、それだけではありません。日々の大家さんとしての業務コストも考慮する必要があります。例えば、保有物件の入居者の家賃の回収をはじめ、日々の清掃や点検のほか、古くなった箇所の修繕、苦情の対応、住民同士のトラブルの仲介などもあります。また、固定資産税や保険料、物件を購入したときにローンを組んでいれば、借入金に応じて支払う利息もコストとして計算に入れる必要があるでしょう。

 このように、実物不動産投資の収益は、家賃を最大化し、空室にすることなく継続して収入を得つつ、諸々の支出を最小限に抑えてこそ生み出すことができるものです。どれだけ収益を出せるかは、物件を保有する人の経営者としての能力にかかっているのです。

プロにお金を託して投資成果の恩恵を受け取る

 一方、REITとは、不動産へ間接的に投資をする金融商品のことです。REITを購入すれば、他の金融商品、例えば株式と同じように購入した口数に応じた利益の分配を受け取ることができます。

 実質的に投資家は、不動産投資法人と呼ばれる投資専門会社が発行する証券に投資を行なっています。投資家が証券を購入した後のお金の流れを整理すると、まず証券の購入資金は、不動産投資法人のもとにわたります。投資法人は、複数の投資家から集めた資金をもとに、さまざまな不動産を取得・管理・運用し、そこから得られた賃料収入や売買差益などを投資家に分配します。つまり、不動産投資を行う投資のプロに自分のお金を託して、代わりに不動産投資をしてもらい、その投資成果の恩恵を受け取るというのがREITと呼ばれる金融商品の仕組みです。

 元本保証のない投資ですから、REITを購入した投資家の損益は保有するREITの投資成果に左右されます。購入したREITが不動産投資で好成績を出していれば、投資家が受け取るお金も増えますし、うまくいっていなければ減ることだってあります。

 また、REITの種類は豊富で、オフィスビルや商業施設、ホテル、マンションなど、投資対象とする物件の種類によって収益が異なります。実物不動産投資のように自分の好きな物件を個別に選ぶことはできませんが、それぞれ投資対象が異なるREITの中身を見て選ぶことができます。もちろん、不動産を投資対象としているため、実物不動産投資と同じく不動産市況全体の影響を受けます。

 2つの違いを整理すると、実物不動産投資は、「物件や土地の取得から管理・運営の方法まで、すべてを自分で選んで決める投資スタイル」と言えるのではないでしょうか。

 不動産投資に関してまったく初心者であり、かつ、いきなり物件を購入する資金もない、
実物不動産を経営していく自信がないという方は、少額から購入できて、投資のプロに物件の取得・管理・運営をお任せできるREITで、不動産投資を検討してみてはいかがでしょうか。

REITファンドやREIT-ETFについて

 投資信託(ファンド)やETF(上場投資信託)を活用すれば、個別のREITに投資するよりも更に少額から不動産投資が実現します。これらをREITファンド、REIT-ETFと呼ばれます。

 REITファンドとは、複数のREITに分散投資して運用する投資信託のことです。一度に複数の不動産に投資できるのがREITですが、その特徴をさらに追及して分散効果を高めたのがREITファンドです。

 REIT-ETFとは、複数のREITに投資する投資信託でかつ株式の様に取引所に上場するのがREIT-ETFです。あらかじめ指定した価格で売買する指値注文ができるなど、非上場の投資信託と比較して取引の自由度は高いと言えます。

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 立地が良く価値の下がりにくい優良物件を見極めて所有すれば、長期に亘って安定した賃料収入が期待できるということで、近年、不動産投資への関心が集まっています。もっとも、実物不動産に投資するには数千万円のお金が必要で、初心者にはハードルが高いものです。そこで、選択肢になるのが株式のように小口投資ができる金融商品「不動産投資信託(REIT)です。これかREITを推薦する殺し文句ですが、皆さんどう思われますか。



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