コーヒーブレーク…混乱を招く消費増税問題

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 2019年10月から導入された8%から10%への消費増税に伴い、3つの大きな混乱が生じていると感じています。今回はこの混乱を少し整理してみました。


(1) 軽減税率の導入に伴う混乱

・ 軽減税率8%が適用されるものに、ファーストフード店でのお持ち帰り商品、食料品店でのミネラルウォーター、食堂での出前商品、新聞販売の4つがあります。これらを扱う対象事業者は、レジスターを8%, 10%を選択可能に改造する必要あります。

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・ これには自社導入、リース、POSレジがあります。POSとはPoint of sales systemと呼ばれる販売時点情報管理のことです。物品販売の売上げ、実績を単品単位で集計する経営の実務管理手法を指します。こちらは、大手小売業の指示の下に動いているので、特に問題はありません。

・ 問題は、中小市業者が自社導入、リース導入する場合です。まだシステムの改造ができていないとか、やろうと思ってもレジスターの改造依頼が、増税1ケ月前に急激に増え、メーカーの対応が追い付いていない、などの問題が9月初旬の段階で多く発生しています。

・ 対応できなかった中小の事業者は、当面、手作業で8%と10%の仕訳を行うことになります。これは大変なことです。

(2) ポイント還元制度に伴う混乱

・ 消費増税の負担を軽減させることで行われるキャッシュレス決済のポイント還元制度への中小企業の対応でも混乱が生じています。

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・ まず、クレジットカードで決済する場合ですが、中小の小売店での買い物なら5%、大企業のフランチャイズチェーンに加盟する中小企業では2%分のポイント相当金額が請求額から差し引かれる仕組みとなっています。

・ 政府は増税による消費の落ち込みを防ぎつつ、キャッシュレス決済を普及させるため、2019年10月から2010年6月の9ケ月間でポイント還元制度を実施する予定です。事業者の対応が面倒な割には、実施期間が短いという問題です。

・ ポイント還元にも、金額請求時にポイント還元分の金額を差し引く実質値引き対応と、ポイントが付与され後日に使える仕組みの2通りがあります。

・ また、スマホ決済でポイント還元を行なう場合には、対象事業者が国の方に登録して、事業者ナンバーを割り当ててもらう必要があります。

(3) スマホ決済システム導入に伴う混乱

・ キャッシュレス決済には、クレジットカード決済とスマホ決済があります。

・ 北伊勢上野信用金庫は、お客様である中小事業者にスマホ決済システムとして、オリガミのみの紹介となっています。

・ しかし、スマホ決済システムは、「セブンペイの不正利用問題」や「QRコード決済規格の統一難航」、などの問題がここに来て出て来ています。

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・ セブンペイの不正利用問題は、インターネットサービスにおける一般的な2段階認証の仕組みを導入していなかったことに問題の端を発しています。

・ QRコード決済の規格統一難航問題は、LINEペイとソフトバンクグループのペイペイなど大手の2事業者が主力方式に参加しないということで、足並みが乱れている問題です。

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・ 主力方式とは、印刷したQRコードを店がレジ横に掲示し、利用者がスマホで読み取るタイプです。もう1つの方法は、利用者がスマホ画面にQRコードを表示させて、店員に読み取ってもらうタイプです。これはQR読み取り機を必要とし、コストがかかると言われています。

・ スマホ決済は元々インバウンド対応から注目されているもので、東京、大阪、京都では、インバウンドも多くスマホ決済は非常に便利です。しかし、人口30万人の四日市市で本当にスマホ決済が必要なのかという、根本的な問題もあります。

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 キャッシュレスで大胆なポイント還元を使って「お得さ」を訴える日本の市場は、世界的にみて特殊なものに見えます。市場が過熱し、質の低いサービスも出て来ました。セブンペイの不正利用はキャッシュレスの推進に逆風になる可能性もあります。

 消費増税にともなう混乱を、皆さんはどう思われますか。



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