学習教室講師の世界(その9)…朝虹は雨・夕虹は晴れで甦る子供の頃の情景

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 虹という言葉を耳にすると、いつもある情景が浮かび上がります。それは、子供の頃、親に叱られて泣きべそをかいていると、突然、雨の後の虹が現れて来ました。親に叱られた嫌な思いを捨てるために、虹の向こうに自転車を走らせる、そんな光景です。




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 アメリカの1939年の「オズの魔法使い」という映画の中で、ジュリー・ガーランドが「虹の彼方に」という歌を歌っています。誰もが効いたことのある有名な歌です。その歌詞は下記です。




Somewhere over the rainbow way up a high 虹の向こう はるか彼方に
There’s a land that I heard of once in a lullaby. 昔、子守歌で聞いた国がある
Somewhere over the rainbow skies are blue. 虹の向こうはいつも青い雲
And the dreams that you dare to dream really do come true.
そこではどんな夢でもかなうの

Someday I’ll wish upon a star and wake up where the clouds are far behind me.
星に願い、目覚めると私は雲のはるか上
Where trouble, melt like lemon drops away above the chimney tops.
悩みなんて飴玉みたいに溶けてしまうの 煙突より高い場所
That’s where you’ll find me.

Somewhere over the rainbow bluebirds fly. 虹の向こう 青い鳥が飛び回る
Birds fly over the rainbow why then, oh why can’t I?
鳥が虹を超えるなら 私だって行けるはず
If happy little bluebirds fly beyond the rainbow why oh, why can’t I?
青い鳥が行ける場所なら 私だって行けるはず

 何度聴いてもいい歌です。一方、日本にも昔から虹に関することわざがありますので、今回はそれを紹介したいと思います。

朝虹は雨・夕虹は晴れ

 まず諺の意味ですが、朝の虹が西の空に見える時はその日は雨模様となり、夕方の虹が東の空に見える時は次の日は晴れになると述べています。

 諺の意味を正しく捉えるには、「日本では太陽は東から昇り西に沈む」という事象と、「日本では雲の流れは西から東へ進む」という事象が同時に起る地域であることを理解する必要があります。

 最初の「太陽は東から昇り西に沈む」という事象ですが、これには地球の自転が大いに関係します。下図より日本は北半球にあるため、明け方6時に太陽は東にから昇り始め、夕方6時に西へ沈むことになります。

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 次に、「日本では雲の流れは西から東にすすむ」という事象ですが、これは北半球での偏西風と大いに関係します。下図のように、北半球では偏西風は西から東に動いています。一方、世界地図からわかりますように、福岡は西に東京は東に位置していますので、雲は偏西風の移動の方向と同じ西から東へと流れて行きます。



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 以上、基本事項を把握したところで、朝虹はなぜ雨となるのか、その理屈から説明します。北半球では地球の自転により、「太陽は東から昇り、西に沈む」という事象が起きます。下図の様に、朝方、太陽に背を向けて、やって来る雨雲の方を向いて立っているとします。背中は東向き、視線は西向きです。太陽の光が、背中越しに目の先の雨雲に差し込みます。雨雲の下では、まだ、大粒の雨が降っています。雨粒に当った太陽光線は反射もしますが、一部は雨粒の中に入り込みます。色によって異なる角度で雨粒の中を進んだ光は、雨粒の向こう側で反射して雨粒から出て来るときには再び屈折し、朝虹を形成します。

 朝から虹が現れているということは、雨雲が西にあるということです。ですから、その雨雲がまもなくやって来ます。また、夏は夕方になると地面が暖まることで上昇気流が発生し、それが夕立をもたらすこともありますが、朝から雨雲が出ているということは、すでに空気が相当湿っているか、低気圧が近付いている証拠です。その後の天気は下り坂とみ間違いないでしょう。

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 一方、夕虹は晴れの説明ですが、今度は下図で背中は西向き、視線は東向きとなります、太陽の光が、背中越しに目の先の雨雲に差し込みます。雨雲の下では、まだ大粒の雨が降っています。雨粒に当った太陽光線は反射もしますが、一部は雨粒の中に入り込みます。色によって異なる角度で雨粒の中を進んだ光は、雨粒の向こう側で反射して雨粒から出て来るときには再び屈折し夕虹を形成します。

 夕虹の場合、雨雲が東に去って、西からはきれいな夕日が指しているということです。直前に雨が降ったかもしれませんが、西の空は良く晴れているということですから、翌日も晴れることが予想できます。ただし、翌日も夕立はあるかもしれません。西から東へ天気が変わる日本ならではの諺です。

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 次に虹が出来る理屈ですが、すべての光は同じように屈折するのではなく、光の波長によって屈折率が異なります。光の波長というと難しそうですが、可視光線で言えば、赤はあまり屈折しないけれど、青は屈折しやすい、といったように、色によって屈折の角度が違うと思えば大丈夫です。色によって異なる角度で雨粒の中を進んだ光は、雨粒の向こう側で反射して、雨粒から出てくるときには再び屈折します。

 この2回の屈折のせいで、太陽光線は赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の、いわゆる虹の7色に分かれて、雨雲のほうから我々の目に飛び込んできます。上の方、あるいは左右に角度のある雨粒からは屈折率が小さい赤い光が、その下のほうや角度の小さい視線の中心よりにある雨粒からは屈折率の高い紫の光が飛び込んで来るので、我々の目には弧を描いた虹が見えることになります。だから、虹は必ず太陽を背にした方角に見えるのです。

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 最初に紹介した「オズの魔法使い」という映画は、約80年間子供たちに愛されてきました。時が流れてもその魅力は変わりません。皆さんはどう思われますか。



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