学習教室講師の世界(その13)…新規大学共通テストへの対応策

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 2020年から大学の入試方法がこれまでの共通一次センター試験方法から大学一次共通テストに大きく変わりました。これにともない、これまでの出題方式が大きく変わることになり、講師にとっても、逸早くこの変化に対応できるかどうかが問われることになりました。大急ぎで対応に時間を割きました。また、2020年の初頭からコロナ感染症の広がりで緊急非常事態宣言が出され、延床面積100m2以上の大規模塾の集合学習が規制されることになりました。私共の小規模学習塾には反対に風が吹くことになるのではと予想されます。

 新しい共通テストでは、これまでの大学入試センター試験以上に「思考力・判断力・表現力」が問われる内容になったと言われています。

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 このような内容の問題に対しては、単純に「典型的な解法パターンに当てはめる」と言う考え方では通用しないようです。確かに、例題などを通して典型的な解法パターンを習得することはとても大事なことですが、それ以上に、問題の本質を見通した深い理解が求められます。

 一方、2020年度から新たに始まった大学共通テスト対策については、まだ十分な参考書も出版されていないので、塾専用の問題集を作っておく必要があります。そして、授業の中で適宜取り入れて進めますが、この部分は他の塾ではできないような工夫をおこない、一味違う教えを提供するようにします。

 先ず私の方での対応は
その1…2020年度大学共通テストの数Ⅰ・A、数Ⅱ・B問題を入手し、とにかく自分自身で問題の回答を作成しました。
その2…かんき出版から出た「大学入学共通テスト数Ⅰ・Aが1冊でしっかりわかる本に掲載されている問題の解き方をフォローしました。
その3…数研出版から出ているチャート式解法と演習数Ⅰ+A、数Ⅱ+Bの中に掲載されている実践編の問題を一通りフォローしました。
その4…数研出版メジアン数学演習Ⅰ・Ⅱ・A・Bの例題、Check、A問題をすべてフォローしました。

 その結果私なりの予想問題の順位付けを行なった結果は、下記となりました。

1. 平面ベクトル
2. 数列における恒等式の活用
3. 郡数列へのアプローチ
4. 整数問題の基本パターン
5. 条件付き確率へのアプローチ法
6. 三角関数の合成の基本的考え方
7. データの分析と正規分布の関連性

以下ポイントを紹介します。

1. 平面ベクトル

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① s + t=1 ならば Pは直線AB上
② 特に s+t=1 s≧0、t≧0ならば Pは線分AB上
③ s + t≦1, s≧0、t≧0ならば △OABの周および内部
④ 0≦s≦1, 0≦t≦1 ならばPは平行四辺OACBの周および内部

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ベクトルと内積

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2. 数列における恒等式の活用

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漸化式と数列

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3. 郡数列へのアプローチ

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① 第m群の一般項、第m群の項数をmを使って表わす。
② 第m群までの初めから数えた項数をmを使って表わす。

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4. 整数問題の基本パターン

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N進法に関する問題

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5. 条件付き確率へのアプローチ法

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6. 三角関数の合成の基本的考え方

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三角方程式の解に関する問題
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7. データの分析と正規分布の関連性

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・ 100人の生徒  まったく読書しない 36人 
  読書した  64人  読書の平均値 204分
・ 1週間の読書時間の母平均 m, 母標準偏差 150

(1) まったく読書をしなかった生徒の母比率 0.5
  100人で読書をしなかった場合の確率変数Xとすると、
  Xは二項分布B(100, 0.5)に従う。

  Xの平均期待値 E(X)=np¬=100×0.5
  標準偏差    σ(X)=√V(X)=√np(1-p)=√100×0.5×0.5
              =5

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・ 信頼度95%, 母平均 m, 標本平均 X =204, 母平均標準偏差 σ=150

  C1=X-1.96σ/√n≦ m ≦X+1.96σ/√n=C2
  C1=X-1.96σ/√n、C2=X+1.96σ/√n

  C1+C2=2X=2×204=408
  C2-C1=2×1.96×σ/√n=2×1.96×150/√100=30×1.96=58.8

  信頼区間は、母平均を含むことも含まないこともあるので③。

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 2020年度から新しく始まった大学入学共通テストでは、例えば数学の問題では、太郎君と花子さんが登場し、公式や定理がどの様な過程で導き出されているかを答えさせるものが多いように思います。要は、これまでの公式を丸暗記して試験に臨むやり方では解答できないようになっているように感じます。皆さんはどう思われますか。



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