高齢期の投資戦略(その17)…自分流投資戦略の構築

 私は1948年生まれで、2022年2月に74歳を迎えました。私も含めて老後の資金作りが叫ばれている現在、どのようにして行けば良いのかを今回は考えてみます。

1. 分散投資の考え方

 まず最初に自分の資産をどの様に分散して投資に回すかを決めておく必要があると思います。いわゆる資産ポートフォリオの実践です。私の場合は、35歳頃のサラリーマン生活をしていた時には、財テクと呼ばれる投資ブームの最中でしたので、「株式」「現金・預金」「不動産」という3分野に分散投資しました。

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 一方、近年は超低金利環境が継続しており、預貯金で得られる利息はごく僅かになってしまっていますので、老後資金を貯蓄のみに頼って準備するのは難しいケースもあります。それもあり、政府も株式や投資信託などの資産運用商品には、個人の長期的な資産形成においてその役割を果たすことを期待しているようです。

 このような状況の下、現在はどうしているかと言いますと、資産運用商品として投資信託を選び、ポートフォリオとして「不動産分野」「金商品分野」「株式分野」の3分野への分散投資という形で運用しています。これら3つの商品は、それぞれの性格が異なるので、その時々の経済状態に合わせて適宜購入しています。

2. 金融商品選択の考え方

 金融商品をどの様な方針で運用するかについて考えて見ます。金融商品は大きく2つに区分されます。それは安全な金融商品とリスクのある金融商品です。私は、安全な金融商品として、投資信託を選択しました。投資信託がなぜ安全資産となるかについては、次の統計理論に基づいています。

 『投資信託とは、金融の専門家が数百種類の株を選び、セットにして販売するものです。このセットをファンドと称します。個々の株式がバラツキを持っている場合、これらを集めたファンド全体のバラツキは、株式の数が増えれば増えるほど、ある一定値に近づくという統計学上の法則があります。従って、投資信託においては、それに含まれる個々の株式の変動は相殺されてしまうと考えられます。したがって、ファンドは安心できます。』

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 ところで、安全な金融商品の代表は債券です。債券の場合は元本が保証されるので、安心して投資できます。従って、お客様からお金を預かって、かつ、安全な運用を求められる年金機構などの機関投資家が債券を購入する構造になっています。機関投資家が対象ですから、取扱い金額は莫大なものとなります。債券の利息はそれほど大きくはありませんが、取扱い額が大きいので、プレミアム額は馬鹿にはなりません。

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 我々のような個人投資家からみると、投入額が小さいので債券での運用は面白味がありません。そこで、債券よりは少しリスクのある商品は何かということになりますが、REIT指標に連動する商品、日経平均株価指数に連動する商品が、我々一般投資家からみて安全な金融商品ということになりそうです。

 ちなみに、債券について、長期金利がマイナスになったのは、政府が発行した国債を日銀がどんどん買い取っていった結果であり、債券価格が大幅に上昇したからです。

3. 金融商品の相互関係と個別の魅力

 株式投資信託とREIT投資信託と金商品投資信託の3つをその時の経済状況に応じて運用方法を選択します。

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 株式相場は経済が活性化すると大きく上昇します。株式市場とREIT市場は逆相関の関係にありますので、投資家がリスクオンを狙って株式市場に向かう時には、REIT市場はおとなしく、株式市場が反落した時には投資家は安全指向でREIT市場にやって来ると考えます。一方、金相場はドル安となると上昇する関係にあります。

 2020年はインデックスタイプのJ-RETEを500万円ほど購入しました。毎月4%の配当が魅力的です。最初は日経平均株価のコロナ禍(2020.2.13日に1回目の暴落)の後の2番底を買いに行く予定をしていましたが、予想に反して株価は上昇を続け買う機会を逃しました。その時に、まだ好転していないJ-RETEを購入したという訳です。

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 ここで、株式と債券とREITで何が利回りに効いてくるかを見てみます。これらの商品の利益構成式は下記となります。

株式…キャピタルゲイン+配当-手数料-利子所得税20%
債券…キャピタルゲイン+プレミアム-手数料-利子所得税20%(元本保証)
REIT…キャピタルゲイン+配当-手数料-利子所得税20%

 なお、キャピタルゲインは資産価値の上昇による利益のことであり、これに対し、配当、プレミアムはインカムゲインと呼ばれます。これより株式ではキャピタルゲインに、債券では元本保証に、REITでは配当に魅力があることが分かります。

 現在のJ-REITの平均分配金利回りは約4%です。あくまで試算ですが、毎月21,900円を積み立て、年率4%で複利運用すれば、35年後には元利金トータルで2,000万円に届きます。さらに、この2,000万円をJ-REITで保有していれば、この資産がさらに利回り4%で年間80万円を生み出します。金融庁のレポートによれば、公的年金だけだと毎月5万円の赤字、つまり年間60万円が足りないと指摘されています。年間80万円の現金収入があれば、老後生活費の一部として、大きな足しになりそうです。

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 一方、リスクオン商品をどれぐらい運用するかについては、100万円~500万円くらいが妥当だと思います。この程度であれば、リスクオン商品の運用をゲーム感覚で楽しむことができると思います。自分の経験を活かして、どの分野のどの銘柄が現時点で将来的に有望かを目利きを自分で行うことになります。

3. 経済動向によって安全指向かリスクオンかを判断する

 金融商品として何を仕込むかを決める時は、現在経済がどうなっているかで判断します。

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 一般に投資家が安全指向を選択する場合は、経済が悪い時で、金利は下がっています。また、米国では金利が下がっているのでドル安・円高となります。経済は悪化しているので、当然株安となり、安全回避となるため債券高となります。また、ドル安ということで金価格は高くなります。

 一方投資家がリスクオンを選択する場合は、経済が上向きの時に行です。経済が上向きの時には金利は高くなっており、ドル高・円安です。経済は上向きなので株式は上昇し、反対に債券は見向かれません。また、ドル高ということで金価格は安くなります。

 日銀が行う金融政策、政府がおこなう財政政策についても検討します。

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 まず、日銀の行う金融政策ですが、日銀は金融緩和と金融引締めを実施して景気をコントロールしています。金融緩和の場合には、

利子率低下 ⇒ 投資・消費の増大 ⇒ GDPの増大

というメカニズムが働きます。一方、金融引締めの場合には、

利子率上昇 ⇒ 投資・消費の減少 ⇒ GDPの減少

というメカニズムが働きます。

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 一方、財政政策とは、政府が行う経済活動の収支についての政策のことです。国の歳入は税金、歳出は公共事業などにあたります。例えば不景気の時に、公共投資を行なったり、減税をしたりなど、景気対策を織り込み、予算編成することが財政政策となります。


 金融商品を購入するに当っては、私の場合はまずは現在の経済状態はどの様になっているかから、検討を始めます。次に、日本あるいは米国がどのような対策を講じているかを検討します。その結果、金利、為替がどうなるかを検討します。この投資戦略を皆さんはどう思われますか。



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