パンデミックの脅威(その14)…我が社「(有)クレバープラニング」のBCP
妻が学習塾を経営しています。その学習塾は有限会社クレバープラニングという会社組織で運営されています。今回三重大学四日市フロント主催のBCPセミナーに参加して「わが社のBCP」を策定しましたので紹介します。
1. 会社概要、業種の特徴
学習塾ですが、生徒数は50名余りです。常時10数名の生徒が授業を受けていて、10km以内の自宅から通っています。大半は保護者が車で送り迎えしています。
BCPの基本方針ですが、最も重要なことは、生徒の命を守ることです。第2は、生徒の安否確認情報を素早く保護者の元へ伝達することです。第3は、教室再開に全力を挙げることで、2週間以内を目標とします。第4は、地域に根ざす学習塾としての社会的責任を果たすことです。
2. 周辺地域の被害想定
周辺地域の被害想定ですが、事業所のある地域は四日市市の街中で、海岸から2km以内の所に位置します。従って、津波浸水5.0m以下、液状化は危険区域と見なしました。液状化については、色々と調査しましたので、後で紹介したいと思います。避難は、津波情報に応じて2段階に分けることにしました。第1段階は、5m以下の想定内の津波の場合には、事業所の3階に避難します。しかし、避難した段階で5m超の想定外の津波警報が出た場合には、徒歩で30分かけて市役所に移動します。状況判断を2段階に分けて対策を考えている点が、ポイントです。
"3. 重要経営資源の被害想定と対策"
次に重要経営資源の被害想定と対策です。建屋は耐震構造ですので、地震が来たら、生徒や講師は、まず机の下に隠れます。教室には、本棚の転倒の恐れがありますが、机がカバーになってくれます。揺れが納まったら、教室前の駐車場に集合し、その後は、事業所の3階へ避難します。その後、保護者へ生徒の安否確認情報を発信します。「生徒は、親が迎えに来るまで保護する」ということを守りたいと考えています。
4. 緊急連絡網
保護者への生徒の安否確認の連絡は、学習塾にとって非常に重要です。教室のパソコンまたは携帯から、保護者の携帯へ発信します。また、バックアップはノートブック型パソコンに取っておきます。携帯番号の登録のない場合には、先方から連絡してもらえるようにします。
5. 四日市地区の液状化について
BCP策定で苦労した点は、液状化の判断についてです。液状化は、地盤の強度は関係なくて、埋め立てがなされた土地かどうかで決まります。明治3年頃から、四日市は港湾の埋め立てが始まり、現在はここに示すような状況になっています。昔の海岸線がここにあり、コンビナート地区の液状化は免れないと判断されます。一方、これが液状化に対するハザードマップですが、私の事業所はここですが、もろに液状化を受けることになっています。
6. 風の四日市
これだけのデータでは納得がいかなくて、液状化についてもう少し歴史的な経緯を調べてみました。これが江戸時代、1823年に歌川広重によって描かれた東海道53次での「風の四日市」で有名な浮世絵です。ここで注目したいのは、バックの景色です。葦が生えているので東海道の周りは湿地帯であることが分かります。これは200年前の話です。
7. 噴砂の記録
その後の古文書に噴砂の記録が残っておりまして、これがその噴砂のあった地域を示しています。1819年から1944年にかけての記録です。私の事業所は、過去の液状化の起こった地域にもろに重なります。これはえらいことだということで、自分の事業所がある場所の地層がどうなっているのかをもっと調べることにしました。
8. 東邦地水㈱のボーリングデータ
これは東邦地水という会社がボーリングをした場所を示しています。すでに四日市市の多くの場所で調査は行われています。事業所のある中町のデータもうまい具合に見付かりました。
9. 柱状図
これは中町の柱状図ですが、液状化は20m以上の深さではおこらないそうです。また、粘土層でも起こりません。ここにN28~N33とありますが、この数字の範囲であれば、液状化の心配はないとのことです。一方、N15~N20では、やや液状化が心配な範囲にあります。但し、N28以上でも長周期地震の場合には、液状化の可能性はあるとのことです。まあ、いずれにしても液状化は考慮に入れておかないといけないと判断しました。
今回BCP策定をやってみて、その地域の色々な情報を入手することが重要であると思いました。これで終わりにするのではなく、新しい情報が入れば、どんどん修正していくことが、必要であると感じています。皆さんはどう思われますか。