SDGsとESG投資(その1)…「環境経営学」発展の歴史
環境経営の定義
環境経営(環境配慮経営)とは、その名のとおり「地球環境に配慮した経営」のことを指します。ただ環境を意識するだけではなく、環境問題に取り組みながら企業価値も向上させることがポイントです。世界的に環境問題が顕在化する中、企業が社会に果たす責任の1つとして、環境経営が注目されています。
企業が環境経営に取り組む意義としては、環境に配慮して事業活動に伴う資源・エネルギー消費も抑えることで、コスト削減にもつながることが挙げられます。グリーン調達や環境に配慮した製品・サービスを提供することで、今だけでなく将来にわたってよりよい経済環境を保つサステナブルな消費・生産活動を促進できることも重要な意義です。
環境経営の歴史
環境経営は、1980年代にマイケルポーターが提唱したCSV(共通価値の創造)という経営戦略が始まりです。それによれば、企業は事業を営む地域社会や経済環境を改善しながら、自らの競争力を高めるはことが重要と述べています。
CSR社会貢献活動
環境経営は、2000年まではCSRという形で行われてきました。CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動について責任を取るための企業行動です。CSR活動はその企業の社会的責任であることを言い、企業が身銭を切って義務を果たすことです。結局はお金のある大企業しか対応できませんでした。環境問題が大きくなるに従い、大企業も社会貢献することが苦しくなってきました。CSRの典型的な例が、各国で発生した公害問題への対応です。
民法に従う限り「どの企業のどの発生源が」、「誰の病気の原因となったのか」を完全に証明しないかぎり損害賠償は認められないとされていました。そこで、環境基本法が制定されて、被害者との協議の中で解決することになりました。
ESG投資
ESG投資とは、従来の財務情報だけでなく、環境(Environmental)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を考慮した投資です。投資にESGの観点を組み入れたものを責任投資原則(PRI)といいます。日本では年金積立金管理運用行政法人(GPIF)が2015年に署名しました。世界の運用資産総額は121兆円にも達しています。
ESG投資は2000年にが始まっています。CSR活動に限界が見えてくると、環境問題をビジネスとして扱おうということになって行きました。すなわち、世界の投資ファンドや機関投資家が、投資先を選定するにあたり、投資先企業がどの程度環境問題に対して真剣に取り組んでいるかを評価し、基準に合致した企業を対象に投資を行なうようになりました。これがESG投資と呼ばれるものです。
CSRとESGの取り組みの違いは、CSRがその企業の社会的責任ことを言い、企業が身銭を切って義務を果たすことであり、ESG投資は、企業環境、社会、ガバナンスを評価してお金を投資・融資して、更なる企業の成長を促すことです。
持続可能な開発SDGs
SDGsは2015年のバリ協定の中で出てきた概念です。環境問題は先進国だけの問題ではなく新興国も関与すべきです。大企業の問題ではなく中小企業も関与すべきです。SDGsとは、持続可能な開発目標を指し、2030年を目標年とし、17ゴール、169ターゲットで構成。中小企業でも適用可能となっています。
ESGとSDGsの関係は、ESGは投資においては環境・社会・ガバナンスを考慮しなさいというものです。SDGsは我々の世界を変革するには、将来の世界を良くする持続可能な開発が重要というメッセージです。ESGもSDGsも環境問題の解決や多様な人々の活躍、教育や医療の普及の実現を目指すものです。
国連の動き
(1) 2030アジェンダ
2015年、国連創設70周年を記念する国連総会において、2030アジェンダが採択されました。ここに記載されているのがSDGs(持続可能な開発目標)で、SDGsは2015年に誕生したことになります。
(2) SDGコンパス
2016年4月にGRI(Global Reporting Initiative)と国連グローバルコンパクトとWBCSDの3者が共同で作成しました。SDGコンパスとは、SDGsの経営への統合について下記のように謳っています。「持続可能性を事業戦略・企業風土・事業展開に組み込むには、各部門の支持と主体的な取り組みが鍵を握る。」
(3) SDGインパクト
SDGインパクトは、2018年にスタートした国連開発計画(UNDP)が進める、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた民間資金の流れを拡大する取組です。インパクト投資とは、経済的リターンと並行して、社会や環境へのインパクトを生み出すことを、環境面の課題解決への目的とした投資のことです。社会問題や環境問題に取り組む企業、NGO, NPO, ファンドなどの様なセクターに対して行われます。
ESGとSDGsの関係は、ESGは投資においては環境・社会・ガバナンスを考慮しなさいというものです。SDGsは我々の世界を変革するには、将来の世界を良くする持続可能な開発が重要というメッセージです。ESGもSDGsも環境問題の解決や多様な人々の活躍、教育や医療の普及の実現を目指ものです。皆さんはどう思われますか。