ゲームの理論を探る(その1)…ジョン・ナッシュが登場する映画
30年来のゴルフ仲間にK氏がいます。彼は、いささか変わった経歴の持ち主です。1981年に滋賀大学経済学部を卒業後、現在のパナソニックに勤務しました。その後1985年に父親の死去にともない不動産業を継ぐために名古屋に戻りました。しかし、経営理論に大きな関心があるのか、不動産業を営みながら2002年に愛知学院大学の博士課程に学び、経営学博士号を取得しています。これまでに6冊ほど不動産に関する書籍を出版しており、私もほとんどに目を通しました。
その川津さんから2021年6月19日に、私のスマートフォンに突然下記メールが送られてきました。「ビューティフルマインドという映画知っていますか? 一度見て下さい。」彼からは、以前にも「Money ball」「The Big short」という映画についても、一度見て見ないかといわれ、いずれも直ぐにDVDを購入しました。

さて、今回は「A Beautiful Mind」です。天才数学者でノーベル賞学者であるジョン・ナッシュの一生を描いたものです。ジョン・ナッシュは天才ではありましたが、統合失調症を患い精神病院に通いながら研究を続けていました。映画「A Beautiful Mind」は天才数学者としての偉業と成功、及び統合失調症に苦しむ人生を描いた作品です。2001年に4部門でアカデミー賞を受賞しています。
映画のストーリーですが、ラッセル・クロウが演じるナッシュは天才数学者であるがゆえに国際的な諜報活動に巻き込まれます。ところがこの国際的な諜報活動は彼の統合失調症により引き起こされる幻覚的なものでした。かれの異常行為は周りからおかしな目でみられることになりますが、ジェニファー・コネリー演じる妻アリシアのみが献身的な愛でただ1人夫を支えます。映画ではナッシュとアリシアとのやり取りが見ものです。

記録によりますと、彼の統合失調症は1959年(31歳)から始まり、1960年代には精神病院に通いながら研究を続けています。1970年(42歳)ごろから快方に向かい、1990年は症状が出なくなったと言われています。
このような統合失調症という精神病と闘いながら彼は研究を続け、1994年(66歳)にゲームの理論の経済学への応用に関する貢献により、ラインハルト・ゼルテン、ジョン・ハーサニと共にノーベル経済学賞を受賞しました。
映画での圧巻の場面は、ノーベル賞授賞式でのセレモニースピーチで、長年彼を支えてきた妻アリシアに向けた感謝の言葉を述べる場面でした。
さて、今回川津氏が私に「A Beautiful Mind」の映画を紹介して、何を言いたかったのかと言う点が気になります。「Many Ball」では、会社経営では数学というかデータを大事にするべきだよということであったと思います。私も(有)クレバープラニングという小さな会社を32年間運営していますが、データは非常に大事にしてやってきました。「The Big Short」では、アメリカの不動産市場で起こったリーマンショックの裏側をしっかり把握することが大事で、その中で不動産債務を担保にした悪名高きCDOの真の姿を数学というものを使いながら炙り出すべきだということを何度も彼から言われました。

さて「A Beautiful Mind」では、彼は何を言いたいのか。彼がこの映画を薦めてくれる少し前に、日本RITE投資信託を用いた長期投資戦略の話を彼との間で交わしています。これに関係あるなと思って色々と調べていたら、ジョン・ナッシュはゲーム理論ですが、このゲー理論の中に長期投資戦略に関する部分が含まれていました。
早速ジョン・ナッシュのゲームの理論に関する本を購入しそれを理解に努めました。今度彼に会った時、どういう意図で私に「A Beautiful Mind」を紹介したのか聞いてみようと思っています。
ゲームの理論は、ナッシュ均衡とパレート最適の組合せパターンにより、環境問題、社会問題、経営戦略、経済問題、教育問題など、多くの分野に応用されてきました。
具体的には、以下があります。
(1) 「囚人のジレンマ」というパターンは、環境問題やいじめ問題に応用されています。
(2) 「チキンゲーム」は、私はロシアのウクライナ侵攻の問題に応用してみました。
(3) 「男女の争い」は相手の意見に如何に妥協していくのかを示しています。
(4) 「支配戦略の応用は」核兵器の保有問題に応用されます。
(5) 「巨大企業に挑むベンチャー企業」のパターンは投資戦略に使えそうです。
(6) 「コイン合わせやジャンケン」は確率でゲームを展開するので、混合戦略のパターンとなります。
(7) 「2社の販売戦略は」先読みや確約といったものを駆使する戦略となります。
理論は非常に難しいものなのですが、ここではその理論をゲームとして応用して行きます、皆さん宜しくお付き合いください。