インドの将来性を見る(その15)…インド景気刺激へ消費減税導入

2025月9月11日:日経新聞掲載

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 インドは9月22日から消費税に相当する「物品・サービス税(GST)」を大幅に引き下げまました。トランプ米政権はインドに追加関税を含めて50%の関税を課す方針を示しており、国内経済への打撃を見据えて消費を刺激する狙いがありそうです。



 トランプ氏は各国の消費税を非関税障壁だと主張しており、モディ政権は交渉材料として意識した可能性があります。モディ氏は9月4日、評議会が税制改正案を承認したことを受けて「国民の生活を向上させ、小規模事業者など企業のビジネス活動を後押しする」とSNSに投稿しました。

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 インド政府は2017年に州ごとにばらばらだった間接税をGSTに統一しました。税率は品目ごとに5%、12%、18%、28%と4段階を設けました。ただ制度が複雑との指摘があり、簡素化するための税改革を検討していました。地元メディアによると、政府の素案では従来の4つの税率を段階的に5%と18%の2つに改める見通しです。バターやフルーツジュースなど現在12%が課されている品目の99%は5%に移行するとみられます。テレビ、冷蔵庫、エアコンといった家電など現行28%課税される品目のうち9割は18%に下がります。一方でたばこやオンラインゲームには40%の特別税を課す案があります。

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 ロイター通信は18日、政府当局者の話として排気量1200㏄以下の小型車にかかるGBTを現行の28%から18%に引き下げる方針だと報じました。実現すれば自動車業界にとっては販売拡大につながる可能性があります。インドでは近年、多目的スポーツ車(SUV)の人気が高まる半面、小型車の販売が振るいませんでした。最大手のマルチ・スズキは小型車を武器にインド市場でシェアを広げてきました。

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 米ゴールドマン・サックスは報告書で「広範囲の減税は生活必需品や耐久消費財の価格を下げ、民間消費に一定の押し上げ効果をもたらすだろう」との見方を示しました。英HSBCは減税が印政府の近い将来の歳入減を招くリスクを指摘しました。米政府は8月6日、ロシア産の原油などを購入しているとしてインドに25%の追加関税を課す大統領令を出しました。発動済みの相互関税25%と合わせると関税率は50%に達します。インドにとって米国は最大の輸出先で影響は避けられません。



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 米印関税交渉では米国がインドに農業・酪農分野の市場開放を迫り、それを拒むインドと膠着状態に陥ったままです。モディ氏は「農民の福祉は国家の最優先事項だ」と強調し「絶対に妥協しない」との姿勢を鮮明にしています。

 減税は歳入減に繋がるものの、インド政府は財政健全化の取り組みも進めてきました。S&Pグローバル・レーティングを18年ぶりに引き上げました。こうした動きも減税の判断に追い風になったとみられます。政府のGST評議会のメンバーであるシタラマン財務相は9月9日、改革案は1年半にわたり集中的に検討してきたと明かしました。米関税への対応措置ではないとも強調しました。野党もGST改革の必要性を唱えていました。

 導入手続きを巡っては混乱が生じないか懸念も残ります。政府は製造業者や輸入業者に対し、新税率を反映した小売価格を新聞広告などで消費者に知らせるように義務付けました。在庫使用品は12月末までの価格改定を求めました。インド政府は米国との交渉を続ける方針ですが、商店となる農業分野の開放で妥協する余地はなく協議が進展する兆しは見えていません。両政府は当初は年内にインドで首脳会談を開き、関税を含めた貿易協定の合意を目指す姿を描いていました。

 インドは対米交渉が難航するなかで米国以外にも目を向けます。7月には英国との自由貿易協定(PTA)に署名し、相互に大部分の関税を撤廃すると決めました。欧州連合(EU)ともFTA交渉を加速させており、新たな輸出市場の開拓を急ぎます。インドの米国に対する必死の抵抗を皆さんどう思われますか。



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