(その1)…環境SciLets事業の展開経緯

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 2016年2月に以前よりコーディネーターの仕事で関係のあった三重大学生物資源学研究科の佐藤邦夫教授から電話が入りました。今度、文科省からの運営費交付金を使って地域環境人材育成事業を進めることになり、現在概算要求をする段階にあるとのことでした。しいては、コーディネーターとして参画して欲しいと言う要請でした。当時私は三重大学社会連携研究センターの四日市フロントに所属していて、産学連携コーディネーターという職についていましたが、2016年3月末にて年齢的制約(68歳)から引退することが決まっていました。その様な事情も勘案して国際環境教育研究センターの方で雇っていただけるのなら、喜んで受けたいと申し入れを受けることにしました。

 当時、三重大学は、人文、教育、医学、工学、生物資源学部の5学部と人文、教育、医学、工学、生物資源、地域イノベーション学研究科の6大学院研究科が中心的な教育機構であり、これと連携する形で社会連携研究センター、生命科学研究支援センター、国際交流センター、総合情報処理センター、高等教育創造開発センター、学生総合支援センター、国際環境教育研究センターの7センターがありました。今回話があったのが、国際環境教育研究センターで、それまで所属していたのが社会連携研究センターでした。

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 2016年6月から2017年3月までは、コーディネーターとして、それ以降は業務委託として2019年11月まで国際環境研究センターにお世話になることになりました。私の担当は、これから制作の始まるSciLetsのビデオ講座を社会人対象に展開するにあたり、地域の中小企業に連携パートナーを引受けて貰うと同時に、ビデオ講座の受講生を指名して貰えるようお願いすることでした。当面は40人を集めるというのが私の目標として課されました。

 事業の概要は下記の通りです。
1. 事業名:「地域に必要とされる「科学的地域環境人材」育成のための社会連携・教育・研究体制の確立」
2. 事業概要:過去に公害問題を経験した四日市を擁する三重県にあって、学術的立場から地域の環境保全、さらに地域の活性化を求められている三重大学が、持続的な発展を地域から志向する「科学的地域環境人材」を育成するための社会連携・研究体制を確立する。
3. 事業実施主体:国際環境教育研究センター、他関係部局
4. 事業計画期間:平成28年度~平成32年度(5年)
5. 概算要求額:総額79,000千円

(1) 役職について

2016年6月~2017年3月:国際環境教育研究センター産学連携コーディネーター

 三重大学のコーディネーター職は68歳で完全打ち切りでしたので、本来ならば就職できない状況にありました。しかし、今回の事業は新規に立ち上がった事業ということで、特例として1年延長を認めて貰いました。

2017年4月~2019年9月: (有)クレバープラニングへの業務委託

 2008年7月に三重大学社会連携研究センターに産学連携コーディネーターとして就職した時に、今後の自分の仕事のやり方について方針を決めていました。それは「1つの職に就いたら少なくとも5年以上は続ける、1つの事業を担当したら少なくとも3年以上は続ける」というもので、以来それを忠実に守ってきました。結果的には、今回の環境SciLets事業も3年以上携わることになり、満足感を味わっています。

(2) 業務目標について

 2016年6月から2017年3月の1年間は、アンケート調査やビデオ講座システムの構築の準備に明け暮れました。もちろん、地域の中小企業に対してビデオ講座の勧誘を始めていました。具体的なビデオ講座の開始は、2017年の6月6日のキックオフミーティングからでした。

 業務の具体的な目標値は、企業としての連携パートナー賛同社数と企業としてのビデオ受講者数です。連携パートナーというのは企業としてSciLets事業に賛同し本事業の推進をバックアップするというものです。これら目標数は下記の様に設定されていました。これらの目標値は何とか達成することができました。

2016年6月~2017年3月  連携パートナー  50社  受講者  40名
2017年4月~2019年3月  連携パートナー 150社  受講者 160名

(3) 業務展開について

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 上記スケジュール表に基づいて業務展開を図りました。なお、アンケート調査結果については、別途紹介させて頂きます。

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 行動スケジュールを見てみますと、特に2017年の三重県下8市4町の長(全体で14市5町)への説明は圧巻でした。訪問団は、加納理事が長になり、佐藤教授、倉野副室長、佐野NPO法人ハートピア三重理事長、伊藤産学連携コーディネーターの5人のメンバーででかけました。この時期は、三重大学駒田学長が三重大学地域拠点サテライト事業を推進しており、我々もそれに同調する形で展開しています。

 2017年12月22日には、四日市市の吉野県議より紹介して頂いた、熊野の藤根県議、尾鷲の津村県議に同行していただき、熊野市長、尾鷲市長、紀宝町長、御浜町長、紀北町長と面会しました。その時の状況を写真に示します。

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 2017年の尾鷲、熊野地域での事業展開では、NPO法人ハートピア三重の佐野理事長の助けを借りることになり一緒に行動しました。佐野理事長は、熊野・尾鷲地域への展開にあたり、相当な苦労が想定されることから、家族会議を開いて「最後の勤めとさせて欲しい」と家族の同意を取ったほどでした。実際にその年は、複数回熊野・尾鷲地区に通うことになりますが、朝5時には四日市を出て、朝の8時頃には伊勢市の海岸で日の出を見ながら通過し、午前10前には熊野市庁舎に到着していると言う離れ業をやりました。その佐野理事長もこの時の無理がたたって、2018年5月には帰らぬ人になってしまいました。佐野理事長は、2018年1月に100年ぶりに新種登録された「クマノザクラ」の取り組みや、藤堂高虎との絡みで色々と熊野・尾鷲地区と連携を図ろうとしていましたが、とても精力的な人でした。

 また、2018年は、三重銀行、第三銀行、北伊勢上野信用金庫と言った金融機関を対象に事業展開を行いました。2018年4月28日には、北伊勢上野信用金庫金庫に市川理事長を訪問し、説明をさせて頂きました。コラボ産学官の懇話会セミナーでも話題提供をさせていただきました。

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 一方、私自身も、2017年7月から2017年12月にかけてビデオ講座を受講し、アナリスト資格とエキスパート資格を得ることができました。2018年2月13日に表彰式がおこなわれ、これは日刊工業新聞の記事にもなりました。

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 その時のスピーチ原稿が残っていますので紹介します。

 「今回、お蔭さまで、科学的地域環境人材育成事業サイレッツでエキスパート資格を得ることができました。実は、私はこの2月23日で古希を迎えます。満70歳になったということです。恐らく皆さんは、70歳を迎えてなぜエキスパート資格を取りに行くのかというふうに思われているのではないかと思います。私にも、色いろと考える所がありまして、このエキスパート資格を取ろうと思い立ちました。

 最近、高齢者の学習が結構話題になっているのをご存知でしょうか。つい最近ですが、2月3日のニュースになりましたが、82歳のプログラマー若宮正子さんが、国連で講演を果たしています。60歳からパソコンを学んで、81歳でプログラミングを開発したということでした。

 また、最近小説家五木寛之が「百歳人生を生きるヒント」という本を出しました。これは今ヒットしているそうです。もちろん、私も購入して読みました。その中で、70歳代は「人生の黄金期」で、学びの楽しさに目覚める時だと言っています。勉強の面白さを味わうなら、歳を取ってから再度トライをした方が絶対に良いと言っています。それは、歳を取ることによって、経験が積めて、頭で分ったつもりでいたことが、ぜんぜん違う角度から実感できるからです。

 そういうことで、これからもこのエキスパート資格を武器に環境に関わる活動を続けていかなければと思っておりますので、宜しくお願いします。本日は有難うございました。」

 三重大学環境SciLets事業は、現在エキスパートに資格を活用して、中学生・高校生への啓蒙、金融機関の職員への教育という形で続けています。



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