(その6)…ESG投資に対する金融機関の立ち位置

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 現在、世界レベルでは、ESG投資(Environment/Social/Governance)を通して多くの環境マネーが動いていますが、これを担っているのは金融機関です。地球環境問題は、当初、環境エネルギーに特化したESG投資で動いていました。ところがESG投資で扱われる金額は世界に君臨する金融機関、大企業でしてとても地域の金融機関、中小企業が扱えるレベルのものではありません。そこで考え出されたのが、持続可能な開発すなわちSDGsという概念です。SDGs の開発目標の中には、17の開発目標がありますが、エネルギー、異常気象というお金のかかる領域の他に、飢餓とかジェンダーとか、食料とか言う様に、地域の金融機関、中小企業でも十分にあつかえるものが設定されています。

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 EGS投資関連で都市銀行や地方銀行がやりはじめたことは、ESG投資、ESG融資、ESG預金の3つです。






ESG投資の具体例

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 ESG投資が最も早く、20年近く経ちます。ESG融資とかESG預金はいずれも最近始めたものばかりです。ESG投資ですが、世界の資産運用会社や機関投資家、投資銀行、信託銀行が大企業が参加し、2300兆円の規模に達しています。世界の一流企業が発行するグリーンボンドを、世界の資産運用会社や機関投資家が購入しています。そしてその仲介役を世界の大手銀行が担っています。場合によっては、銀行自身がグリーンボンドを直接購入ということも考えられます。しかし、ESG投資では金額のスケールがおおきすぎて、地域の金融機関には手が出ません。

ESG預金の具体例

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 次にESG預金ですが、環境定期預金ということで三井住友銀行が扱い始めています。これは企業に定期預金をしてもらいます。現在、定期預金の利息は低いですから、預金としての魅力は全くないと思います。しかし、企業はグリーン預金をすることで、企業が環境に貢献していることを外部にアピールすることができます。そして、ESG投資家のお金を提供してもらおうという戦略が採れるのです。結局、これは大企業と都市銀行だからできるもので、地方の金融機関では無理だと思います。

環境融資の具体例

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 次にESG融資ですが、これは企業のESG対応を促すため、環境数値目標の達成で金利を引き下げると言う融資です。これだと、銀行と企業が一緒に目標を作るため、ESG対応が遅れている企業や、規模が小さい企業も検討しやすいのが特徴です。金融機関が企業と一緒になって開発目標を作るということになりますので、銀行側にもそれなりに環境について勉強しておくことが求められます。このあたりが、北伊勢上野信用金庫が取り組んで行く上で、十分参考になる事例ではないかと思います。

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 全国銀行協会の新会長に1日、就任した高島誠・三井住友銀行頭取は日本経済新聞のインタビューで、「気候変動問題への対応が最重要アジェンダ(課題)だ」と述べました。取引先の脱炭素化に向け、銀行界の旗振り役を担うとし、課題解決力を高め、脱炭素や新型コロナウィルス対策などで銀行がコンサルティング能力を発揮していくことの重要性を強調しています。

 高島新会長は、大手行などが投融資先を含めた温暖化ガスの削減目標を掲げていることに触れ、「カーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)に向けた取引先の取組みをどう支援するかが一番需要なポイントだ」と指摘しました。「顧客の行動計画を銀行が理解して、よりグリーンな事業になってもらうべく対話していく」とも述べました。

 コロナ対策としては、3月末に終了した民間金融機関の実質無利子・無担保融資を通じて計約12兆4,000億円(決定額ベース)を融資しました。「資金繰り支援には最優先で取り組んできており、今後もこの方針は変わらない」とした上で、コロナ後を見据え「取引先のビジネスを持続的にしていくために、経営のコンサルティングを通じて支援していく」と強調しました。

 11月にも施行される改正銀行法で金融以外の新事業参入や、事業会社への出資に関する要件が大幅に緩和されることなどを念頭に「ソリューションを提供していくことが銀行界が目指していく方向だ」と述べました。グループ内の銀行と証券会社間で顧客情報の共有を制限する「ファイアウォール規制」を緩める案を金融庁が示したことに「日本の資本市場全体の活性化に寄与する」と歓迎しました。



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