(その3)…馬野川小水力発電事業計画書 1, 2, 3, 4

          馬野川小水力発電復活プロジェクト事業計画書

          閉管路による流れ込み式小水力発電設備の構築と
             地域振興(地方創生伊賀モデル)に関する取り組み

               1. 事業名
               2. 新規事業を行う動機
               3. 市場の動向
               4. 事業経過
                            

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                  平成29年5月

                  株式会社マツザキ

目  次
1. 事業名 1
2. 新規事業を行う動機 1
2.1 背景 1
2.2 事業開始当時の思い 1
2.3 現在の事業目的 2
3. 市場の動向 2
3.1 市場の規模・成長性 2
3.2 競合性 5
4. 事業経過 5
4.1 これまでの取組み 5
4.2 流量に関する概略検討 10
4.2.1 流量観測 10
4.2.2 発電利用可能流量 13
4.2.3 発電電力量と水量の関係 14
4.3 新導水路工法 18
4.3.1 未利用水活用の可能性 18
4.3.2 導水路の運用方法案 19
4.3.3 実証実験 19
4.3.4 実証実験結果 24
4.4 補助金等の活用 24
4.4.1 地域における再生可能エネルギー導入支援事業 24
4.4.2 平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金 26
4.4.3 平成28年度水力発電事業化促進事業費補助金(水力発電事業性評価支援事業) 27
5. 発電事業等の計画 29
5.1 設備設計 29
5.1.1 水車機種と発電機の選定 29
5.1.2 土木・建築設計 32
5.2 事業評価 36
5.2.1 年間発電電力量の算定 .36
5.2.2 売電収益 46
5.2.3 建設コスト試算 46
5.2.4 定常的操業費 48
5.2.5 その他の費用 48
5.2.6 キャッシュフロー計算 49
5.2.7 事業実施会社の設立 54
5.3 事業リスク 55
5.4 事業実施スケジュール 56
6. 地域活性化への効果 57
6.1 当該地域の活性化 57
6.1.1 地域協議会の設置とその使命 57
6.1.2 事業スキーム 58
6.1.3 「緑の贈与」による出資スキーム 59
6.1.4 「資源リサイクル活動との連携」による出資スキームの検討 65
6.1.5 グリーンファンドの活用 72
6.2 他地域への波及、展開のポイント 73
6.2.1 「緑の贈与」の実現可能性 73
6.2.2 「資源リサイクル活動との連携」の実現可能性 75
6.2.3 「馬野川小水力発電とさるびの温泉復興による地域おこし」の実現可能性 76

1.事業名

『馬野川小水力発電復活プロジェクト』~ Revive Banogawa Hydropower ~

2. 新規事業を行う動機

2.1 背景

 株式会社マツザキは伊賀地域で60余年にわたり建設業を営んでおり、経営理念として『We construct Human and Community  ~人と地域の創造~ 』を掲げている。インフラや田舎ならではの困りごとを解決し、地域の人々や従業員が少しでも便利で豊かな生活を送ることができるように、土木工事を中心とした「建設業サービス業」を展開していくことを方針としている。

 2011年3月11日の東日本大震災により、多くの方が地震や津波により命を亡くされた。東北のために少しでも力になりたいと思い、弊社では震災があった翌日から会社の蛍光灯を間引き、僅かながら電力の融通に協力してきた。震災から1年3か月後、弊社から4名が代表して東北へボランティアに行き、何も無くなってしまった海岸沿いの畑の復旧作業を手伝ってきた。震災から2年が過ぎるころから東日本大震災のような大きな災害がこの地域で起こったらどうなるのだろう?私たち建設業者は一体地域のために何ができるのだろう?という思いが芽生え、東北のために何かしたいから、伊賀のために何かしたいという思いに変わってきた。

 三重県の調査では、伊賀市において東海・東南海・南海の3連動地震の被害想定では震度5強の揺れが想定されている。また、内陸活断層による地震として布引山地東縁断層帯西部(M7.4)の被害想定でも震度5強が想定されている。大山田地区に焦点を絞れば、阿波地区、布引地区ではこれら災害発生時には幹線道路の崩壊による地域の孤立が最大の問題だということがわかってきた。

2.2 事業開始当時の思い

 大規模な災害により地域が孤立すれば、数日間は地域住民だけで協力しあって生き延びる必要があるということだ。ライフラインの内、代用できないもので、現代社会ではなくてはならない電力が防災拠点へ供給できれば、情報収集や避難住民の安心感といった面で期待できるのは言うまでもない。よって防災拠点への非常用電力供給は地域の防災計画の中核であると言える。

 一方で本業の建設業では、公共工事の入札制度の改変からくじ引きにより施工業者が決定することが多くなっている。このような状況の中では将来にわたって安定的に持続可能な事業計画をたてることができないのが現状である。よって、本業である建設業をサポートできる新規事業をスタートさせることで、経営の多角化を図る必要がある。安定した経営を行うことで、従業員の雇用を守り、適切に納税し、地域社会へ将来に渡り貢献したいと考える。

 インターネットの情報により小水力発電のことを知った時に、既存の土木技術を活かし、且つ弊社の想い【建設業者としての地域貢献】と弊社の抱える課題【安定的経営の一角となる事業】との両方を解決できる唯一無二の方法だと直感した。

2.3 現在の事業目的

 2013年6月に関西広域小水力利用推進協議会主催の小水力発電実務講習会に参加したところ、200kw以下の小水力発電の実現には様々な課題があることがわかった。地域の理解を得ることや地域と協働で行うことが成功への鍵であると教えて頂いた。小水力発電の事業事例を調査すると、自治体が建設主体となり、土地改良組合等が運営主体となっている事例はあるものの、民間企業やNPO等の組織が発電所を建設し、運営も行っているという事例はほぼ皆無であった。しかし、太陽光発電の分野においては、民間企業の参入は勿論のこと、NPO組織や自治会等が建設運営を行っているという事例も見られた。NPO組織や自治会等が事業主体となる事例では、固定価格買取制度を利用し、電力会社に売電を行い、その売電収益の一部を地域に還元するという手法を用いていることが多かった。金銭面で公的な支援を得ることなく、地域住民自らが事業計画から資金調達、建設、運営に参画しており、売電収益を活用しながら、且つ自治体と連携を図り、地域振興やまち興しを行っているなど参考となる事例も見られた。

 メガソーラー級ではない太陽光発電では一般的に事業計画から建設までを1年程度で終えることができる。一方で、小水力発電では建設するまでに2~3年程度要するのが通常であり、参入障壁の高い所以である。しかし、気象条件に左右されず、年間を通じて安定して発電ができるのが小水力発電のメリットの1つであることから、参入障壁を乗り越えれば、安定して事業運営ができるということが言える。収益の一部を地域に還元し、地域振興を図りながら事業運営を行う事ができれば、地域貢献の形態は事業開始当時の思いとは異なるものになるが、小水力発電を通じて、【建設業者としての地域貢献】と【安定的経営の一角となる事業】を両立が実現できる。これが本事業の主目的である。

 100年前、先人たちは“オラが村に電灯を”との思いからこの地に水力発電所を建設した。当時としては最先端の夢の事業であったと推測する。時代の変遷により途切れてしまった夢を、100年後の世代の者が懐かしく新しいエネルギーとして復活させ、この地域を良くするためにその恩恵を地域に還元していきたい。

3. 市場の動向

3.1 市場の規模・成長性

 三重県内の水力発電施設としては、関西電力(株)が管理する1箇所、中部電力(株)が管理する18箇所、電源開発が管理する3箇所、水資源機構が管理する1箇所、土地改良区が管理する2箇所の合計25箇所がある。(表3.1-1)

               表3.1-1 三重県内の水力発電設備

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 1,000kw以下の水力発電を一般に「小水力発電」と言う。表3.1-1の結果から、小水力発電に分類される三重県内施設は11箇所(青色着色欄)であり、うち8箇所は電力会社が事業者である。また、事業主体は全て電力会社、電力卸最大手である。固定価格買り取制度を利用した小水力発電所は平成28年に2件が稼働開始した。(中勢用水小水力発電所及び青蓮寺用水発電所)これらは、国等の事業(税金)にて設計・建設し、地元の土地改良区が管理・運営を行っている。しかしながら、いわゆる民間事業者や個人が事業主体となっている例はない。したがって、固定価格買取制度で地産のエネルギーを活用し、その恩恵を地域に還元し地域振興を行うという水力発電事業は三重県内では初の事業となる。

 安定性に関する観点では、表3.1-1の使用開始時期を見ても、建設後100年を経過したものもあることから、水力発電は技術的にもすでに確立され、長期に安定した事業であるということができる。

 固定価格買取制度がスタートした後、太陽光発電を中心に民間事業者や個人による本制度を利用した太陽光パネル設置の建設が加熱気味である。小水力発電に関して言えば、水利権の取得が容易でないことや初期調査に掛かる期間が長いこと、発電所建設に係る初期費用が高額であること等が参入障壁となり、太陽光発電のように一気に拡大することは考えられないが、天候に左右されることなく、長期に安定的に発電が可能であることを考えれば、1,000kw以下の小水力発電事業は成長産業であると言える。

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         図3.1-1 中小水力発電導入ポテンシャル推計(出典:2012環境省)

2012年3月に環境省がまとめた中小水力発電の導入ポテンシャルの推計値をグラフ化し、図3.1-1に示す。この上段には各設備容量区分に相応する累積設備容量(左側)及び地点数(右側)を示し、下段は区分ごとの各数値の割合を示す。これらの図から、200kW未満の累積発電容量は小さい(全体の7%)が、地点数は全体の43%もあるということがわかる。 
図3.1-2は全国小水力利用推進協議会がまとめたFIT導入後の規模別設備認定容量の割合を示したものである。本図と図3.1-1下段左の図を比べると、発電出力200kW未満は全体の3%しか設備認定を受けていないことが読み取れる。以上の結果から、

(1) 発電出力200kW未満の水力発電は全国的に開発可能な地点が多い。
(2) しかし、発電出力200kW未満の水力発電が実際に稼働している割合は小さい。

と言える。これは発電規模の割に建設費が高くなることが要因である。当社が実際に算定した馬野川新水力発電所での建設費も、コスト面が課題となっているのが現状で、とりわけ導水路の建設費が高いことが判明した。そこで、新たな工法を取り入れた導水路の構築方法を開発すれば、これまでそれほど開発されてこなかった発電出力200kW未満の領域に新たに大きな需要を見出すことが可能になる。

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              図3.1-2 規模別設備認定容量(2014)

3.2 競合性

 3.1で記載したように、高い参入障壁がネックになり現在までのところでは固定価格買取り制度を利用した小水力発電事業を行っている事例は三重県ではまだ2例しか無い。最大の問題は水利権取得と各種河川法手続きの煩雑さである。通常、新たに水力発電を行う場合は、農業用水路等の既存の水利権を利用した従属発電を行うことが一般的である。これは既に取得された水利権に従属すると考える水利権であることから、新たに水利権を取得する必要もない上に、河川法の適用も受けないため、手続きが簡単なことが理由に挙げられる。平成25年の6月の河川法改正により従属発電の申請書類が簡素化されるなど法改正の動きも見られることから、農業用水路を利用した小水力発電との競合が考えられる。(県内の2例も農業用水利の既存の水利権による従属発電によるものである。)

4. 事業経過

4.1 これまでの取組み

 2013年5月より旧大山田村内の河川調査を実施し候補地の検討を開始した。2013年8月に馬野川を第1候補地として選定すると共に、地権者及び布引地区住民自治協議会の会長に事業主旨および構想を説明した。また、2013年9月4日には地元自治体である伊賀市に対して事業主旨と構想の説明を実施すると共に、市に対して情報公開請求を行い、平成7年に馬野川の最下流に建設された浄水場建設の際に提出された水利権取得に関する資料を入手した。また、三重県に対しても情報公開請求を行い馬野川の水利権取得者リスト(許可水利、慣行水利とも)を取得した。2013年9月末には地権者から事業に対する同意を得ることができた。2013年12月よりFacebookページを立ち上げ、対外的にも広く情報発信を継続している。その後、2014年1月より2か月に1回のペースで三重大学と勉強会を実施している。2014年3月には、三重県雇用経済部エネルギー政策課を訪ね、事業構想を説明し、県の政策に対する説明を受けた。実務では2014年5月に三重県伊賀農林商工環境事務所や三重県伊賀建設事務所に流量調査のための申請書を提出し、2014年6月12日より馬野川の流量調査を開始した。

            表4.2-1 事業化に向けたこれまでの取組み

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(1) 地域協議会

 本事業の実現に向けては、自治体や地域住民との協力体制を構築し、新規水利権を取得する必要がある。そのためには、どういった手段で合意形成を図るかがポイントである。その方法の一つに地域協議会の開催が挙げられる。以下にこれまで開催した地域協議会の開催内容を報告する。

              表 4.1 地域協議会の開催内容

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(2) 先進地視察
前項に記載した第2回地域協議会(2014年9月9日開催)において、先進地視察についての打合せを行い、岐阜県郡上市石徹白地区に視察に行くことに決定した。
2014年10月25日(土)に総勢35名で石徹白地区に伺った。石徹白地区では現在4基の水車が稼働しており、視察した2基ともが系統には接続せず独立電源として利用されている。図4.2-1にその概要を示す。

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                図 4.2 1 独立電源タイプの水車概要

また、石徹白地区では視察以後に2つの水力発電所が稼働した。これら2つの小水力発電所は導水路とヘッドタンクを共有し、一方が地元郡上市が事業主体で平成27年6月に稼働開始した。もう一方が集落の住民全員が参加する石徹白農業用水農業協同組合が事業主体となって運営されており、平成28年6月より「石徹白番場清流発電所」として稼働を開始した図4.2-2にその概要を示す。

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            図 4.2 2 固定価格買取り制度を利用した水車概要

 石徹白農業用水農業協同組合が運営する水力発電所の建設費は総額2億4千万円で、その内訳は図4.2-3に示す通りである。岐阜県や郡上市からの財政上の支援はあるものの、地元住民の出資が全建設費の10%を占めていることが分かった。

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                 図 4.1 3 建設費の内訳

 地域住民全員が参加し設立された石徹白農業用水農業協同組合の設立趣意書には以下の記載がある。

 この先人がつくってくれた農業用水には大きな落差があります。この落差を活用した小水力発電を導入することによって、石徹白の集落全体で使う電力を十分まかなうことができる発電をするということが明らかになりました。私たちはこの農業用水での小水力発電に、地域を挙げて一致団結して取り組みます。このことによって、先人から受け継いだ農業用水を次世代に引き継ぐと共に、売電益を石徹白地域の農村振興に役立て、この石徹白が将来に渡っても存続していくことを目指します。

 また、視察の案内役を引き受けて頂いた「特定非営利活動法人やすらぎの里いとしろ」の久保田理事長によると、地元の地域づくり協議会との協働で事業を行うことで、地域づくりの観点からの視察も含め、現在年間3000人を超す方々がこの地区を視察に訪れているとのことで、小水力発電を核とした地域づくりができつつあり、その波及効果も大きいことが分かった。

4.2 流量に関する概略検討

4.2.1 流量観測

 2014年6月12日~2015年6月11日までの1年間の流量観測の結果を以下に示す。観測場所は旧発電所上流の砂防えん堤上流側に圧力水位計を設置し実施した。(図4.2-1及び図4.2-2)

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               図4.2-1 調査実施箇所

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               図4.2-2 圧力水位計設置状況

一級河川馬野川はその上流からの2つの普通河川が合流してきた箇所が起点となる。旧発電所はその合流部から50m程度下流を取水口としていた。本事業でも同位置を取水口と想定し、その下流部で流量観測を行った。その結果を図4.2-3に示す。(ただし、図4.2-3において流量1.0m3/sec以上の値は省略している。)流量観測データの取りまとめ手順は以下の通り。
(1) 流量測定は30分毎に行っており、1日分(48個)のデータの平均値を当該日当たりの流量として採用し、それを365日分集める。
(2) 流況図は365日分のデータを1日当たりの流量が最大のものから最小のものまでに順番に並べて図を描く。

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                図4.2-3 馬野川流況図

           表4.2-1 馬野川流況表(2014年実測値)

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図4.2-3には2014年6月から実際に観測した流量の値と、比流量法を用いて推定した結果との2つを示している。比流量とは単位流域面積当たりの流量、すなわち流量を流域面積で除したものをいう。比流量法で用いる流量は国土交通省等が観測している近傍河川における流量観測結果を使用する。今回の場合は、馬野川近傍にある国土交通省管理の荒木観測所の流量データ(2003—2012年の10年間分)を利用し、荒木観測所の流域面積(A=93.512km2)と馬野川の流域面積(A=6.046km2)とを比例させて使用した。流域地形等の状況に差異があり、単純面積比例では誤差が大きいことから、荒木観測所の10年間の日平均流量と今回観測した日平均流量との相関を考慮して比流量を決定した。なお、表中に表記する水量に関する用語は次のように定義している。
 豊水量…1年を通じ95日より下回らない流量
 平水量…1年を通じ185日より下回らない流量
 低水量…1年を通じ275日より下回らない流量
 渇水量…1年を通じ355日より下回らない流量

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       図4.2-3 実際に観測した流量の値と、比流量法を用いて推定した結果

4.2.2 発電利用可能流量

 発電利用可能流量の算定は、図4.2-3の流況図の流量から維持流量等を差し引く必要がある。図4.2-3における2014年の実測値と10年間平均比流量との比較では、特に豊水量以下の水量(この領域の水量の多くを発電に利用できる)に差異があるのでどちらの値を採用するのかは事業性に大きく影響を及ぼすため慎重に取り扱う必要がある。これらを判断するための根拠として、近傍の笠取山山頂での雨量観測結果を指標とする。

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               図4.2-4 笠取山気象観測位置

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               図4.2-5 笠取山雨量観測結果

図4.2-5は2002年から2014年までの13年間の笠取山観測所の年間雨量データをグラフ化したもので、グラフの一番右側には2003年から2012年まで(荒木観測所の流量観測データと同じ期間)の10年間の平均値を示している。これによると、流量観測を行った2014年6月からの1年間の雨量は過去の2003年6月から2012年6月までの10年間の平均値よりも約15%小さい結果となっており、且つ過去13年間で年間降雨量が最も少ない年であった。よって、事業リスクを回避するためにも2014年6月からの1年間の実測データを採用して発電利用可能流量を算出する。表4.2-3に発電利用可能流量の流況表を示す。

              表4.2-3 発電利用可能流量の流況表

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4.2.3 発電電力量と水量との関係

 年間発電電力量と水量の検討は下記手順で行った。

 Step1. 100kw, 150kw, 200kwを満たすために必要となる流量 Q(m3/sec)を求める。

 発電出力は一般に次式によって表される。本式は高い処にある水が持っている位置エネルギーの公式から誘導されたものである。

ここに、P:発電出力(kW)、h:有効落差(m)、Q:流量(m3/sec)、η:発電効率(水車効率と発電機効率の積)

 今回計画している発電所の有効落差を70m、発電効率を70%とした場合に、出力100(kW)、150(kW)、200(kW)をそれぞれ満たすために必要となる流量Q(m3/sec)を表4.2-4に示す。

 また、維持流量については、発電取水口等における集水面積100km2 当り概ね0.1~0.3(m3/sec) 程度とするものとするという発電ガイドラインの通達により100 (km2)当り0.2(m3/sec)を採用する。馬野川流域面積は6.0(km2)あるので、維持流量は0.2(m3/sec)÷100(km2)×6(km2)=0.012(m3/sec)となる。

            表4.2-4 発電出力と水量の関係
 

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 2014年6月からの流量調査の結果から、調査箇所で1年間に流れた総流量は15,216,446(m3)となる。出力100(kW)、150(kW)、200(kW)の水車が利用する水量はQ(m3/sec)×24(h)×3600(s)×365(日)として計算すると、表4.2-5の結果となる。

 Step2. 1日当たりの発電電力量を求める。

1日当たりの発電電力量の計算に用いた流量Q(m3/sec)は各出力ごとに必要な水量と各日の実測した水量との比較を行い、実測値の方が多い場合は、表4.2-4より100(kW)では0.208(m3/sec)を、150(kW)では0.312(m3/sec)を、200 (kW)では0.416(m3/sec)を採用した。1日当たりの発電電力量を計算した式を以下に示す。発電効率ηは上述と同じ70%とした。

ここに、h:有効落差(m)、Q:流量(m3/sec)、η:発電効率(水車効率と発電機効率の積)

 Step3. 各日の発電電力量を365日分集計して年間発電電力量を求める。

 実測値の方が少ない場合は実測値を採用して1日当たりの発電電力量の算定を行い、それを365日間集計し年間発電電力量とした。

           表4.2-5 発電電力量と水量の関係

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 以下表4.2-5の発電電力量と水量の関係の具体的計算例を示す。

(1) 総水量(m3)
2014年6月からの流量調査結果から調査箇所で1年間に流れた総流量は、15,216,446 (m3)となる。

(2) 維持流量(m3)
 発電取水口等における集水面積100km2当り、概ね0.1~0.2m3/secを採用するという発電ガイドラインの通達により、100km2当り0.2m3/secを採用する。馬野川流域面積は6.0km2あるので、維持流量は
0.2m3/sec÷100km2×6km2=0.012m3/sec
0.012m3/sec×3,600sec×24hr×365日=378,432m3
となる。

(3) 水車使用量(m3)
100kw…0.208m3/sec×3,600sec×24hr×365日=6559,485m3
150kw…0.312m3/sec×3,600sec×24hr×365日=9,839,232m3
200kw…0.416m3/sec×3,600sec×24hr×365日=13,118,976m3

(4) 未利用水量(m3)
100kw…15,216,446 m3-6559,485m3=8,656,958m3
150kw…15,216,446 m3-9,839,232m3=5,377,214m3
200kw…15,216,446 m3-13,118,976m3=2,097,470m3

(5) 発電電力量(kwh)
計算流量と実測流量の低い方の値を使い、1日当りの発電電力量を下式で求める。
1日当りの発電電力量(kwh)=9.8×h×Q×η×24h
 (P:発電出力(kW)、h:有効落差(m)、Q:流量(m3/sec)、η:発電効率(水車効率と発電機効率の積)

 次に、各日の値を365日間集計し、年間発電電力量とする。
 100kw…736,487kwh
 150kw…904,619kwh
 200kw…1,022,882kwh

 (参考)1秒間当たりの電気出力 1kw=1kw/sec 1kw/sec=1joule
     1秒間、1時間に使う電気電力量 1kwsec, 1kwh
     1kwh=1kw×1h=1kw×3,600sec=3,600joule

(6) 理論発電電力量(kwh)
計算流量を使用し、1年間の発電電力量を求める。
100kw…9.8×70(m)×0.208×0.7×24(h)×365(日)=876,000kwh
150kw…9.8×70(m)×0.312×0.7×24(h)×365(日)=1,314,000kwh
200kw…9.8×70(m)×0.416×0.7×24(h)×365(日)=1,752,000kwh

(7) 設備利用率(発電電力量/理論発電電力量)
(5)÷(6)×100で算出する。
100kw…84.1%
150kw…68.1%
200kw…58.4%

(8) 総流量の利用率(水車使用量/総流量)
(3)÷(1)×100で算出する。
 100kw…43.1%
 150kw…64.7%
 200kw…86.2%

4.3 新導水路工法

4.3.1 未利用水活用の可能性

 表4.2-5の最下欄に各出力ごとの総流量に対する利用率を記載した。また、近傍の笠取山の雨量観測データは流量観測期間の2014年6月からの1年間が過去13年間で最も少雨であった。このことから、馬野川に流れる例年の流量はもう少し多く、総流量に対する利用率も低いことが想定される。

 地形の高低差が小さい導水路を使ったこれまでの水力発電所では、河川からの取水量が常に一定量以下であるため、発電出力(kW) を大きくすると、発電電力量(kWh) は増えるが設備利用率の低下や、建設コストの増大が課題であった。逆に発電出力(kW) が小さいと、設備利用率が向上し、建設コストも低下するが、発電電力量(kWh)が増えないという課題が生じる。流量調査の結果から、建設コストを加味しながらこれらの調整をはかることが設備設計において特に重要であった。

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              図4.3-1 未利用水の考え方

4.3.2 導水路の運用方法案

 多雨期には未利用水が多いにも関わらず、発電電力量を大きくできない課題を解決するために、本事業では図4.3-2に示す方法を立案し、実証実験を行ってデータを採取し、最適管径の割り出しや制御方法の検討を行う。

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               図4.3-2 導水路の運用方法案

 図4.3-2の上段の図は、高さを基準にして発電所の縦断的な構成を書いたもので、下段の図は距離と水頭の変化を示す。埋設管の径を小さくしてイニシャルコストを下げると共に、水量が多い時期にも大流量を確保するために導水管途中に下がった水頭を上げ、圧力を確保する昇圧ポンプを設置する。水頭低下分をポンプで補うことにより、年間を通じて安定的に電力回収が可能になる新たなシステムを構築する。

 新システムの構築にむけて『平成26年度ものづくり・商業・サービス革新補助金』事業において、「地形の高低差が小さい小規模水力発電における新導水路工法の開発」の計画が採択を受けたことにより、机上理論を実証実験設備で実験し、技術的課題の解決を図ることにした。次項でその詳細を示す。

4.3.3 実証実験

 実スケール(実プラント)を想定したミニスケールでの実験設備で、流量変動時のポンプ切替え(ON-OFF)や水の特性(真空圧発生抑制)を考慮し、実際のプラントに適用する場合に想定される課題(特に圧力脈動やウォーターハンマーの発生を抑えること、キャビテーションの発生を抑制させること)を解決するために取水口~導水路~ポンプ~水車間の相関を調べ、水車を年間通して安定に運用させる手順を検討することを目的とした。

 導水路系実証設備の全体フローを図4.3-3に、設置状況写真を図4.3-4に示す。実スケール(実プラント)を想定したミニスケールでの実験設備を閉回路で構成し、導管用ポンプの回転数を制御することにより、導管内の水量を少雨期、多雨期を想定し変動させる。閉回路にある弁を閉じて抵抗を持たせ、どのタイミングで昇圧ポンプを駆動させ、多雨期に大きな水量を確保することができるのかの実証試験を行う。

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              図4.3-3 実証試験設備の全体フロー

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              図4.3-4 実証実験設備設置状況

 未利用水活用の目的は、小口径の導管を用い雨が多い時期にも導水路に流す水量を極力増やすことを検証することである。馬野川のケースのように取水口と小水力発電所までの水平距離が長い(水平で約800m)と、管内の水量が増えると管摩擦抵抗が発生し、下流に行くほど水の相対圧(ゲージ圧)は低下し、いずれかの地点で水の温度により定まる飽和蒸気圧を下回ると、水は気泡(キャビティ)となり、最悪の場合には、配管系で水撃(ウォーターハンマー)現象が発生し、導管路や水車に損傷を与えることが懸念される。

 そこで今回の実証試験では、以下の項目を明らかにすることを目的とした。
ア) 水の流れの安全性検証
 管内の流速を上げ、水圧飽和蒸気圧付近に低下させても、安定的に導管路に水を流すことができるか検証する。
イ) 昇圧ポンプの制御の安定性検証
 導水路の圧力損失は式(1)に示すように、管径が決まると、流速の二乗に比例する。

         h=λ    ・・・・・・・・・・・・・・・・(1)

          h:損失水頭
          λ:管摩擦損失係数(レイノルズ数(Re)と管壁の粗度(ε/d)
          εは管壁の平均突起の高さ)
          d:内 径
          ℓ:管 長
          g:重力加速度
          v:管内平均流速

 一方ポンプのQH(流量-揚程)特性は非線形である。このため、管内の流量が増加したら昇圧ポンプを稼動させるが、ポンプの必要な揚程と流量は単純に決めることはできない。実際に水量が増えた時に昇圧ポンプを稼動させるが、ポンプが必要な稼動条件は、導管内を流れる流量(Q)と、損失した水頭(h)から決められる。

 この稼動条件を満たすためには、ポンプの運転点を任意に動かすことが必要であり、そのため、ポンプに回転数を制御するインバータを設けた。流量を変動させ、これに応じてポンプを可変速で制御させても、配管系に気泡を発生させず、圧力脈動も生じさせない運用方法を検討する必要がある。

 図4.3-5は実証実験の全体フローを示す。水の流れは閉ループとし、ポンプは2台構成とした。うち1台は導管ポンプ(WP1)であり、このポンプで水の流れを作る。もう1台は昇圧ポンプ(WP2)である。導管ポンプで大流量を作り、擬似抵抗弁(V1)を絞ると、昇圧ポンプの入口圧(P1)が低下し、長距離導管の流れを模擬的に作ることができる。この時昇圧ポンプを稼動させ小流量の配管系から大流量時の配管系に水の流れを切り換えられるようにした。閉管路内の水量を広範に変化できるよう、導管ポンプに可変速インバータを付け、同様に、昇圧ポンプにも揚程、流量を変えられるようにインバータを設けた。圧力、流量やポンプ駆動用インバータの周波数(Hz)各ポンプ用電動機の電流(A)は、いずれも自動計測用データロガーに取り込んでいる。図4.3-6はポンプ(導管、昇圧ポンプ)の主要仕様、QH特性を示す。

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                図4.3-5 実証実験フロー図

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                図4.3-6 ポンプ(導管・昇圧)の特性

<実験方法>
(1) 弁V1、V2を全開にし、ポンプ起動条件を整える。
(2) 導管ポンプを起動する。(低周波数から高周波数へ増速し水量を増加させる。)
(3) 擬似抵抗の弁を部分閉し、昇圧ポンプへの入口圧力を下げる。
(長距離輸送の模擬的条件を作る)
(4) 流量が増え入口圧力が低下してきたら昇圧ポンプの起動操作に入る。
(5) 初めに弁V3、V4を全開し、その後ゆっくりと小流量用弁V2を全閉にする。
(6) その後昇圧ポンプの周波数を上げ、系全体の流量が増えたら各プロセス量を計測する。
同時に系全体の安全性(脈動や振動・騒音など)を確認する。
(7) (2)から(6)の動作を各条件を変えて試験を実施する。

 昇圧ポンプの起動が遅れた場合のキャビテーション発生の確認についての実験例を図4.3-7に示す。

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                図4.3-7 実証実験項目(例)

4.3.4 実証実験結果

(1) 水の流れの安定性検証

 非圧縮性流体である水の特性を良く理解した上で、圧縮脈動や真空(キャビテーションが発生し易くなる低圧)に近づかないように流量の変化や弁の開閉を比較的緩やかにすれば、水の流れを安定化できることがわかった。今回のミニスケールモデルでは圧力、流量の変動を5~10秒単位で変化させても安定した流れを確保できた。

(2) 昇圧ポンプの制御の安定性検証

 ポンプの起動停止のロジック(手順)はON/OFFの不感体をどの程度にするか決定することが重要である。

 ポンプ停止→ポンプ起動
主導管の弁と昇圧ポンプ側の弁を開け、ポンプを起動させる。昇圧ポンプの回転速度が40%(インバータによる制御)になったら、主導管の弁を2秒間で閉動作すると安定的に切り替えることができた。

 ポンプ起動→ポンプ停止
主導管を始めに10秒間で開け、続いてポンプを停止させ、ポンプへの入口弁を閉じる手順で安定的に切り替えることができた。

 不感体の設定領域
不感体は切り替え水量の±20%で安定運転を確認した。

4.4 補助金等の活用

4.4.1 地域における再生可能エネルギー導入支援事業

 資源エネルギー庁の委託事業として三菱総合研究所が実施した平成26年度新エネルギー等共通基盤整備促進事業の中の地域における再生可能エネルギー導入支援事業に採択を受けた。この事業は以下の内容を目的としている。
 各地域ならではの地域資源と専門家のノウハウを活用し再エネ事業を運営してく担い手を作る。
 市民の合意や共感を獲得し、地域の金融機関の協力のもと、民間事業者等を自治体がサポートする形となって地域活性化を行う。
 再エネを活用し自立的に資金循環する仕組みにより事業が継続的に普及拡大するモデルを構築する。
当社が行った事業概要を表4.4.1に示す。

       表4.4-1 地域における再生可能エネルギー導入支援事業の概要

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 小水力発電を核とした地域復興モデルに関する調査では、主に事業性、地域振興、リスクの3点について検討行った。調査結果の概要を表4.4.2に示す。

       表4.4-2 小水力発電を核とした地域復興モデルに関する調査の概要

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 表4.4.2に示したような調査を行ったところ、事業実現に向けての主な課題は以下のようになった。
 流量調査が365日未達であったため年間発電電力が不正確。
 建設費の算出精度が低い。
 事業リスクや資金調達等のコスト面の精査がなされていない。

4.4.2 平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金

 中小企業庁の委託事業で三重県中小企業団体中央会が行った平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金に申請した。この補助金は以下の内容を目的としている。
 国内外のニーズに対応したサービスやものづくりの新事業を創出するため、認定支援機関やよろず支援拠点等と連携して、革新的な設備投資やサービス・試作品の開発を行う中小企業を支援する。
本事業における認定支援機関は北伊勢上野信用金庫であり、試作開発を伴う設備投資を行う事業類型にて採択を受けた。当社が行った事業概要を表4.4.3に示す。

    表4.4-3 平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金の概要

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 地形の高低差が小さい小規模水力発電における新導水路工法の開発では、前年度に実施した小水力発電を核とした地域復興モデルに関する調査で特に課題となった事業性の評価について、年間発電電力量と建設費との比較が、それぞれに確度のある根拠に基づいて算出することを目標として実施した。

 具体的には、長距離の導水路を要する小水力発電の建設において、建設コストを削減させ、かつ同時に回収電力量を増加させる新しい導水路工法を開発することを目的に、必要となる基本計画の策定やミニスケールでの実証実験、さらに現地での実プラント構築に向けての測量や作図を行い、事業性の判断を行った。事業の概要を表4.4.4に示す。

   表4.4-4 地形の高低差が小さい小規模水力発電における新導水路工法の開発の概要

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 表4.4.4の検討結果は、本事業計画書にさらに詳細な記載があり、5.2.6キャッシュフロー計算に多年度の財務計画としてまとめているが、前提条件として以下の点を挙げる。
 流量調査を行った2014年6月から1年間の流量データは過去13年間で最も雨量が少ない年のデータであることから、収入の算出根拠としては下限値であると言える。
 土木工事費に関する費用の積上げ精度は高いが、水車や発電機、制御盤等は実プラントを想定した詳細設計を行っていない概算見積り額である。(価格の上限値として捉えている。)
 以上の前提条件により、最も厳しい条件下での財務計画となっている。

 また、本補助事業の実施後、事業実現に向けての主な課題は以下の点を挙げる。
 昇圧ポンプを用いる場合は、制御が複雑になることも想定されるため、選定した水車の特性を考慮し、その水車独自の制御方法を設計に反映させる。
 コスト調査のための作図や見積もり徴収は終了したが、実際の施工を行うための詳細図の作成を行い、関係行政機関への届け出(河川法等)が必要になる。(詳細図とは、例えば鉄筋配筋図や単線結線図等の実施工の際に必要となる図面)
 使用する水車や発電機を特定し、電力会社との協議や固定価格買取りのための申請業務が必要になる。

4.4.3 平成28年度水力発電事業化促進事業費補助金(水力発電事業性評価支援事業)

 平成27年度の事業の成果を受け、事業実施に向けた最終段階の検討・設計が必要との観点から、資源エネルギー庁が一般財団法人新エネルギー財団(NEF)に委託する平成28年度水力発電事業化促進事業費補助金(水力発電事業性評価支援事業)に申請し、採択を受けた。本事業は以下のことを目的としている。
 民間団体等が行う、水力発電の事業性評価に必要な調査及び設計等を行う事業(水力発電事業性評価支援事業)に要する経費を補助することにより、水力発電の導入を促進し、内外の経済的社会的環境に応じた安定的かつ適切なエネルギー需給構造の構築を図ることを目的とする。

当社が行う事業概要を表4.4.5に示す。

            表4.4-5 馬野川小水力の事業性評価調査の概要

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 馬野川小水力発電所の事業性評価は、これまでに流量調査、水車候補の選定、主要土木施設(取水施設、導水管路工法、圧力管路)を検討し、実施図面の作成を行ってきた。また、平成27年度事業では昇圧ポンプシステムを採用した導水管路の実現に向け、種々の条件を模擬した実証実験を行い、小水力発電における昇圧ポンプシステムの原理を構築した。そこで、昇圧ポンプシステムを実際に採用すべく実施検討を進めた中で、昇圧ポンプ稼働のための商用電源が実際に確保できるのかが課題になった。中部電力との打合せや現地協議を進めた結果、岩盤が多く露呈している場所への電柱の建柱ができないとの正式回答があり、昇圧ポンプシステムが採用できないことになった。

 このような結果になったことは非常に残念ではあるが、これまで進めてきた負圧下でも送水できる閉管路の調査・検討は引き続き進めることとし、本年度の補助事業の具体的調査を進めた。事業の概要を表4.4-6に示す。

              表4.4-6 馬野川小水力の事業性評価調査の概要

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