(その6)…地域づくりに不可欠なさるびの温泉のリニュアル化

さるびの温泉復興による地域おこし

 旧大山田地区には、2001年に開場したさるびの温泉がある。現在は一時の賑わいが衰え、1日当りの来場者数は500人から300人にまで減っているが、温泉の効能も高く、根強い人気を保っている。

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地域づくりに不可欠なさるびの温泉のリニューアル化

 温泉は、通常は灯油やC重油をボイラーで焚いて35℃程度の源泉を42℃程度に温めるのが一般的である。しかし、最近では、温泉運営の効率アップを図るため、ヒートポンプシステムを温泉のボイラーシステムに置き換える試みが検討されている。

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 上図は、温泉に使用されたヒートポンプの1例である。これまで使用されていたボイラを使用しなくても、42℃までの温熱を発生させることが可能である。右側のヒートポンプシステムでは、温水ユニットにヒートポンプを内蔵し、低温側では温泉の排水を利用して熱エネルギーを取り込み、高温側では冷媒を活用して、35℃の源泉湯を42℃の温泉湯に温めている。

 ヒートポンプで熱を汲み上げる原理は下図の通りである。一般的に温度と圧力の関係を利用する。すなわち、「気体は圧力がかかると温度が上がり、圧力をゆるめると温度が下がる。」(ボイル・シャルルの法則)、「熱は温度の高い方から、低い方に流れる。」(熱力学第2法則)という、二つの基本的な性質を利用する。

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 1の蒸発器には、外部より低い5℃の液体が入っている。この蒸発器の液体は、35℃の排湯で温められ、蒸発して10℃の気体になる。次に、10℃の気体は2のコンプレッサで圧縮され、温度が80℃まで上昇し、3の凝縮器に入る。この凝縮器の外側に30℃の源泉湯を流す。凝縮器の中の80℃の気体は、水で冷やされ50℃の液体となる。一方、35℃の源泉湯は温められ、42℃の温泉湯ができる。

 ヒートポンプは、このように外部の熱を取り込み、源泉湯に伝えることで温泉湯を作る。最後に、50℃の液体を4の膨張弁を通して急激に圧力を下げる。急激に圧力を下げると、膨張弁を通った液体も、50℃から5℃まで温度が下がる。そして、また1の蒸発器に戻る。

 ヒートポンプを使うと、どれ位経済的かについての目安であるが、電気ヒーターは1kwの電気が入って来れば、1kw分の熱を発散しておしまいである。しかし、ヒートポンプシステムは、1kwの電気を使って、外部の熱を冷媒を使って3kw分汲み上げられるので、電気で暖める時の4倍(1+3)の熱を生み出すことができる。これはまさに冷媒の潜熱を上手く使っていることに他ならない。潜熱とは、「液体から気体」「気体から液体」への変化の様に、相変化のある場合には、気化熱、液化熱という熱の働きがあるのでこれを利用することになる。



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