事前の防災対策
2011年10月28日、じばさん三重4Fにおいて開催された『三重大学公開講座 四日市地区リスクマネジメント研究会「企業防災・BCP(事業継続計画)セミナー 第四回」』の詳細です。
第四回目となる今回は、一部として、地域地震情報株式会社 川合一明氏を講師に迎え、「事前の防災対策」というテーマで講義が行われました。警報システムや設備の補強など、安全な空間づくりについてや、安否確認がポイントです。
しかし、いかに警報システムを導入しても、「身を守る動作(緊急対応行動)」がとれなくては、パニックに陥るだけでかえって危険です。緊急時にすばやく身を守ることができるよう日ごろから訓練することが大切です。
対応行動訓練:
①身を守る丈夫な遮蔽物があれば、そこに潜り込む
②丈夫な遮蔽物がなければ、転倒・落下物の少ない場所で「ダンゴ虫のポーズ」
③退避する余裕と安全な場所があれば、屋外に逃げる
④1分後、揺れが治まったら、グループ単位で声を掛け合う
⑤非常階段などを使い、歩いて、より安全な避難場所へ
⑥全員の安否確認
訓練をうまくやるためのヒントとしては、避難ルートを定めて周知徹底することや行動開始の合図は、ベルや効果音源を使って臨場感を持たせることなどです。階段は2列以下で手すりを掴んで降り、大きな声で明確な指示をだすことも大切です。あらかじめ各自の逃げ込む場所を決めておくこと、防護用品は常に身近に置く工夫をして、点呼用のメンバーカードをグループ毎につくって、リーダーが常時携帯しておくことも良いでしょう。訓練は年2回以上、グループ単位はできれば多い方が望ましいとのことです。
二部には、四日市フロント 渡辺俊博コーディネーターによる「安否確認方法の検討」についての講義が行われました。東日本大震災時、通信手段がすぐに利用できたかどうかについては下記のようになっています。
すぐ利用できた 繋がりにくい 繋がらなかった
固定電話: 14.8% 39.8% 45.4%
携帯電話 : 2.5% 32.9% 65.5%
携帯メール : 9.9% 59.8% 30.3%
Eメール: 41.5% 33.8% 24.6%
(震災時首都圏に住む成人を対象にアンケート調査したもの・サーベイリサーチセンター調査)
また、渡辺コーディネーターより、東日本大震災による通信の被災・混雑状況や、固定電話の不通回線数の推移について、わかりやすい資料を元に説明がありました。(総務省資料)
東日本大震災から学ぶ安否確認の教訓としては、次のようなものがあります。
1.通信障害の原因は停電
2.多くの通信基地で停電対策(蓄電池、発電機)があるも24時間で枯渇
3.それまでに災害対策の初動対応を完了しないと必要な経営資源が確保できなくなる
4.したがってスピードが大切。そのために安否確認サービスを利用するのも一案
5.自前で安否確認システムをつくるなら、停電対策が不可欠。(停電でも通信可能なこと)
6.いずれにしても、安否確認の緊急連絡網構築はBCP策定の第一歩
また三部として、再び川合講師による「災害発生後の対応」について講義が行われました。初動対応(発生から数時間)、緊急対応(初動対応後3日以内)、復旧対応(被災後一ヶ月以内)のそれぞれについて、為すべきことについての説明がなされました。
参加者は講義内容をもとに、自社でのBCP策定に向け、各自の計画確認を行いました。周辺地域の被害を想定し、避難ルートなど、事前対策立案について検討していきます。
いよいよ次回は、計画策定の大詰めです。参加者には、開催日までに「緊急連絡網」「従業員安否確認リスト」「取引先の被害状況調査表」をまとめ、社内承認を得るという宿題事項が課されました。